中北浩爾のレビュー一覧

  • 自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体

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    どちらかと言うと自公政権の本というよりは日本における連立政権の仕組みの本。選挙制度なども含めた連立政権のダイナミズムを描いている。
    当たり前と言えば当たり前かもしれないが、驚くのは連立政権ごとに意思決定のシステムが驚くほど違う事である。政府側に意思決定の比重を置くのか、政府の外で幹事長を中心に意思決定を行うのか。党首を閣内に入れるか、それとも党首とは別の人間を閣内に置いて党首は政策討議に専念するのか。こうしてみると面白い。

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    2025年10月19日
  • 自民党―「一強」の実像

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    ネタバレ

    自民党の55年体制崩壊後〜安倍内閣までの分析。
    2017年出版。
    55年体制とその後の大勢の最も大きな変化の要因は、中選挙区制に変えて小選挙区比例代表制を衆議院に導入した1994年の政治改革にある、とする。

    with chatgptでの簡単な理解
    背景:なぜ「改革」が必要とされたのか
    55年体制の限界:中選挙区制(1選挙区から3~5人選出)では、自民党の候補者同士が同じ区で競争する「同士討ち」が常態化。選挙は政策より「地盤・看板・カバン」(地元基盤・知名度・資金力)が重要で、派閥や企業・団体献金への依存が強まった。これが政治腐敗(リクルート事件など)や金権政治批判に直結した。

    政権交代の現

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    2025年09月10日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    日本共産党の結党から現在までの100年間の歴史を理解するのに非常に良い教科書のような本。日本共産党はソ連共産党に対する従属から自主独立路線への転換、暴力革命路線から平和革命路線への変化を経て、ソビエト、中国いずれの共産党とも異なる変化を遂げた。
    最近は野党連合政権を主張するなど閉塞感の打破を模索しているが、党員の高齢化と減少やしんぶん赤旗の売上低下など、党財政は悪化の一途を辿る。民主集中制のような強力な党内統制は党員の獲得の足枷となっている。また、アメリカ帝国主義と大企業・財界を敵とみなすことや、日米安保条約の破棄などの主張は野党連合政権を困難なものにしている。
    日本共産党の先行きは決して明る

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    2025年01月10日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    大多数の国民にとって日本共産党はよくわからないけど何だかいかがわしい存在と認識されている。その『いかがわしさ』の原点を明らかにした労作である。
    2023年の松竹氏除名の経緯を重大な関心を以て眺めていたが、1950年代の大混乱を知って様々な疑問や違和感が完全に氷解した。そしてこの政党が今より党勢を拡大したり、ましてやマジョリティを握って自称共産主義とやらに移行する事は絶対にないと確信する。あまりにも民主主義に対する理解が一般国民と違いすぎる。
    先の衆院選でも唐突に『自由時間の創出』と言い出したが、結果は『手取りを増やす』政策を訴えた国民民主に完敗した。民意が全く読めていないと言わざるを得ない。こ

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    2024年12月05日
  • 自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体

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    「政策からみれば、公明党は民主党と近い。だけれども、体質は自民党と近い。政治は理屈じゃなくて、情だからね。自民党は本当に懐が深いよ。」公明党の漆原元国対委員長の言葉だが、案外これが本書の真意を端的に伝えているのではないか。急いで付け加えるが、ここに旧態然たる談合体質と政策不在の野合だけを読み取るのは早計だ。政治とは日々の妥協であり、合意形成のプロセスである。55年体制と呼ばれた自民党の一党支配がかくも長く続いたのは、この妥協を重ねながら丁寧に合意形成していく柔軟性があったからだ。対する民主党はあくまで政策理念に拘り合意形成プロセスを軽視した。ここに失敗の最大の原因がある。

    自民党は通念に反し

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    2023年12月30日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    非常に読みごたえがあった。学者らしく、事実に基づいた筆致には感銘を受けた。ただ政治には感情も伴うので、完全な客観性はないと思う。世界の共産党が衰退している中で、したたかに生き悔いてきた日本共産党は原理的でありながら、時の情勢に応じた現実性もあったから生き延びてきたと思う。ただ現在の内部状況(大衆組織の弱体化や高齢化の事だが)を、どう生き延びるかは、これまでの経験だけでは乗り切れない。100年ということで様々な意見も出ているが、外部の意見も取り入れながら開かれた組織が生き延びると思う。公式100年史と並行して読むとより面白かった。

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    2023年09月01日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    Wikipediaより正確で、学術書より読みやすい。戦前の非合法な時代から、90年代以降の小選挙区制導入や党員高齢化の苦しい時代まで、現在の課題も踏まえて俯瞰した一冊。内容について志位委員長が批判したようだが、どこがおかしく問題なのかさっぱりわからん。

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    2023年07月09日
  • 自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体

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    『自公政権とは何か』というタイトルだが、現在の自公政権のみならず過去の連立政権すべてについて非常に丁寧な分析が行われており、「連立政権とは何か」というタイトルの方が中身をよく表しているのではないかと思う。

    現代の日本では、1政党が衆参の両院の過半数を握ることは難しく、連立政権の構築とその円滑な運営が極めて重要となる。必然的に似通わない部分をもつ異なる政党が力を合わせるにあたっては、各連立与党・政府が政策立案過程において交渉と妥協を重ねることになる。意見集約のプロセスをどのように形づくれば円滑な政権運営に繋がるのか、歴代の連立政権はそれぞれ様々な試行錯誤を行ってきた。本書はその歴史を詳細に描写

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    2023年01月14日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    自民党や公明党の分析で定評のある政治学者による日本共産党研究。国際比較と歴史研究を併用しつつ明らかにしたのが、1961年に確立された宮本顕治路線の独自性である。それは、ソ連・中国からの自立性の徹底的な追求や、時代状況に合わせた政策メニューの提供といった「柔軟性」を与えたと同時に、革命という最終目標や中央集権的な党内運営(民主集中制)の堅持という点では、「教条性」を併せ持つものであった。そして、この宮本路線が、現在も日本共産党の方向性を大きく規定している。

    事実、宮本路線の下、日本共産党は1960~70年代に大きく伸長する。中野重治らの除名といった組織分裂にも関わらず勢力を拡大していく過程を、

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    2022年12月18日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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     中国共産党結党より1年遅れて、日本共産党はコミュンテルンの日本支部として結成され2022年7月15日に創立100周年を迎えた。スパイ、裏切り、特高警察による弾圧や公安警察による謀略、創価学会からの盗聴事件、暴力革命路線との決別、中露共産党の干渉との闘い、紆余曲折の100年ながら、100年続いた政党の価値は高い。
     著者の中北浩爾氏は、「あとがき」でコロナ禍の2年だったからからこそ膨大な資料をすみずみまで調査、研究し、日本共産党の研究が行えたとしている。また、「はじめに」の冒頭では、「紆余曲折を経ながらも野党共闘は徐々に深まり、共産党の一切の関与なき政権交代を考える事は難しくなっている」としつ

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    2022年10月23日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    勉強になった。よくいる反共学者でも御用学者でもない筆者の精緻な分析に学ぶところが多い。
    一貫して日本共産党を支持してきたが、金カネカネの世の中でここまで国民のために力を尽くしてきた人々に心からエールを送りたい。
    いろいろあっても歴史は前に進むものだと思えた。

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    2022年09月20日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    日本共産党の歴史を現在に至るまで解説した本。

    政治的スタンスに関係なく、現在の共産党に至るまでの道筋を詳述した本なので単純に面白い。

    【すごくざっくりのまとめ】
    戦前の結成当初は、当然のことながらかなり弾圧を受けました。
    戦後、民主化により合法性を獲得したが、ソ連崩壊などの情勢変化により政治的スタンスを変えていく。(天皇制の打倒→対米従属の打破。憲法の評価など)
    そして現在の姿に至る、ということ。

    【もう少し詳述】
    もう少し、日本共産党の特質について詳述すると。
    ①二段階革命論
     国民の多数の支持を得て国会で安定した過半数を占めることによって平和的に社会主義・共産主義に移行することを目指

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    2022年09月19日
  • 自民党―「一強」の実像

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    『日本共産党』に続き読んでみた。
    良し悪しはわからないけれどどの党にも偏らず新書の範囲にあり得ない濃さをコンパクトにまとめていると思う

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    2022年09月17日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    今年100年の共産党。自分が選挙権を得てから、いや選挙というものを知ってから、ずっとある政党は自由民主党と日本共産党だけになってしまいました。著者はそれぞれについて中公新書を書いている人です。日本の政治の両極を俯瞰した視点から見つめる、というスタンスそのものが、この新書の存在価値を高めているようにも感じます。未読ですが自民党の方の副題は『「一強」の実像』。で、日本共産党の方の副題は『「革命」を夢見た100年』。細かいですが「夢見た」という過去形に、この党の「これから」の難しさが表象されているような気がしました。知ってるつもりで知らない日本最古の政党の「これまで」がテンポよくまとめられいます。「

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    2022年09月10日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    当然ながら真偽の程はわからないのだけれど
    著者は自民党と題する本も書いておりそちらも大批判等は起きていないようで
    本書も礼賛でもなく罵倒でもなく信頼していいものかなと思う
    日本共産党を誉めるも貶すも本書を読んでからと
    今後はきっとなるのだろう

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    2022年08月20日
  • 日本共産党 「革命」を夢見た100年

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    外部とのあらゆる関わりのなかで、それでもしぶとく生き延びてきた政党の100年の歴史が、ほんとうに緻密に記されている。

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    2022年07月07日
  • 現代日本の政党デモクラシー

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    20代前半の若者としては、自分の生まれてなかった頃から小学生くらいまでの政治状況が、割と左でもなく右でもなく忠実に書かれていると思う。
    今の政治がどのように形作られてきたかが丁寧に書かれていた。
    初学者にしては分からない単語とかもあったからある程度(高校生政治・経済レベル)は知ってから読むべき
    特に、民主党政権の生まれから崩壊までは面白かった。まあまとまりのなさがわかった。

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    2021年11月15日
  • 自民党―「一強」の実像

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    派閥の性格の変化、事前審査制度の変化などから自民党の政治的強さを論じている。中北さんの政治史系の本は読んだことあったが、現代の政権を分析している本は読んだことなかった。しかし、非常に緻密な分析をしており読みごたえがある。

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    2021年06月19日
  • 自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体

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    プロ野球とリトルリーグ

    理論、事例検証、当時の報道や関係者インタビューをしっかり織り混ぜて作られた良書。国対関係者等普段表から見え辛い人々によくここまでインタビュー出来たなと筆者の機動力に感心。

    本書出版後に筆者が出演したYouTube番組も読後ご覧になられると面白いです。
    https://youtu.be/RM1JzLBICLU

    タイトルは現与党と野党の力関係について上記番組での筆者の言。

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    2019年06月03日
  • 自民党―「一強」の実像

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    これは非常によくまとまってる良書ですよ。さすが中公。章の間にやや重複は見られるものの。財界はその他業界団体と異なる位置付けという認識はなかった。発見であった。

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    2017年06月13日