中北浩爾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平成31年現在、一強状態にあるとされる自民党について、党の文書や機関紙・一般紙の記述や数量的なデータ、そして関係者へのインタビューなどを駆使し、派閥、総裁選挙とポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織と個人後援会、理念といった多様な視覚から、包括的に分析、その実像に迫ろうと試みている。
本書では、1980年代半ばを55年体制下の自民党の完成期と位置づけ、それとの対比で現在の自民党を捉えており、衆議院での小選挙区比例代表並立制の導入をはじめとした1990年代の一連の政治改革及び民主党の台頭を要因として、自民党は組織や理念の点で大きな変貌を遂げたと分析している。自民党の強みであった派閥や友好団体による固定票、地域組織等は弱体化しつつも、連立を組む公明党の存在を含め、自民党が保持するリソースは他党を圧倒し、それらを安倍政権も活用しており、長年にわたって築かれた自民党の優位は、簡単には覆らないだろうと結論づけている。
本書により、過去及び現在の自民党の姿を、包括的に理解することができた。特に、衆議院の選挙制度について、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へと変更した政治改革の、自民党の在り方への影響の大きさを認識した。また、現在、「一強」といわれる、自民党、そして安倍政権であるが、近年の自民党の絶対得票率の低迷や政治的リソースの弱体化に鑑みると、必ずしも盤石とはいえないということも感じた。
本書について欲を言えば、他の政党よりも充実していると思われる自民党の事務組織についても、言及してほしかったと思う。しかし、現時点での自民党の全体像を捉えるのに、最良の一冊であると感じた。 -
Posted by ブクログ
おつかれさーっす。
「日本共産党」さまにはこの言葉しかない。
新しい見方もあるし、いつまでも公安監視団体ってのもやっぱりどうかと思ってはいたが。
なんつか、命懸けのサークル活動というか、見えないものを見ようとして、チラッと見えたものに縋って、手を伸ばしては裏切られ続けて、それでも理想は必ず実現できるんだと信じてというか、実現できたものが理想に違いないと信じて。
理念に現実がついてくると考えていると思われる割には、その理念を、少数の指導者によって何気に変更させてきた。
異分子は認めず、「俺の信じる共産主義こそ正しく、正統であり老舗であり本家である」ことにこだわる。異論は排除する。何故ならそれは、正しくないから。
生き延びることを優先して来た故に、本来実現する理想すら変容して来ているのに、それが矛盾なく両立している。
信じろって言われてもなあ。
変容したって言われてもなあ。
その辺、著者の主張に違和感を感じた。
仮に政権取ったり、「革命」起きたらまた、変わる可能性がある。
全てが「共産革命」実現のための手段である可能性は、全然否定されない。
現実に飽き足らない部分てのは必ずあるので、その受け皿として、存在し続けることはあるんだろうが、その先には一歩も踏め出せない気がする。 -
Posted by ブクログ
立花隆『日本共産党の研究』を読んだのは随分前のことになるが、3.15や4.16における大量検挙、武装共産党から非常時共産党、そしてスパイリンチ事件と、戦前の共産党が弾圧により党としては壊滅していた史実は大体記憶に残っていた。
本書は結党から100年になる共産党について、その歴史を辿りつつ、現在の活動状況や組織の現状を具体的に紹介するものである。
戦後の共産党については、個人的には、1950年のコミンフォルム批判から所感派と国際派の分裂、対立、幹部の地下潜航、山村工作隊等による武装闘争、そして55年の六全協による武装闘争方針の放棄、この辺りまでが関心範囲であった。本書で一連の流れが掴めたし、ソ連、中国等の影響がいかに大きかったかも、良く分かった。
「第3章 宮本路線と躍進の時代」以降の記述は、これまであまり類書もないのではないかと思われるし、信頼し得る資料やデータに基づく客観的な分析が行われており、大変勉強になった。当事者たる共産党の党史では不都合なことはあまり書かれないし、対立する者たちの記述はあまりにバイアスがかかっていそうなので、そうした意味からも本書は、政治学者の書いた一般書として貴重なものだと思う。
共産党と言うと、“敵の出方論“や民主集中制が問題視されるが、著者は、最近に至る綱領・規約の改正の推移や内容を詳しく記述する。ソ連の崩壊等共産主義に対する逆風があっても、日本共産党の硬い態度がいかがなものかと思われたが、そうした環境の変化に一定程度対応しようとしていることなども、本書により知ることができた。
また、本書では、共産党の野党共闘に対する考え方や実際のアプローチについてもかなりの分量が割かれている。(“民主連合政府“とか、懐かしい言葉だ。)
最近の野党間の選挙協力に関する記述もあるが、小選挙区制などの選挙制度が非常に大きく議席数に影響してしまうし、共産党にとってはあまりメリットがないので、これは難しい問題だ。
最後に、「弱体化する党組織とこれから」として、党員・機関紙の減少と高齢化、逼迫する党財政の現状がデータと共に紹介される。こうすれば良いという確かな道が見えている訳ではない。「共産党はどのような道を歩んでいくのか」との問いかけをもって、本書は終わる。
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Posted by ブクログ
自民党の結党から今日までの組織構造や社会基盤の変容を、選挙制度や党組織の「改革」を巡る抗争を軸に描いている。
本書の白眉は、1980年代における自民党復調の契機としての「日本型多元主義」(自民党の分権的構造と日本社会の「集団主義」の肯定)の抽出で、大平正芳内閣や中曽根康弘内閣でブレーンを務めた香山健一の思想と行動に着目し、通説に反して新自由主義とは本質的に相容れず、理念的にも前後の時代を通して党内「リベラル」派の優位と攻勢が続いたことを明らかにしている点にある。この点は著者の以前からの主張だが、日本における新自由主義政治の出発時期、特に「第二臨調」の位置付けや中曽根内閣の評価を巡る研究状況に一石を投じたものとして評価できよう。
他方、1980年代以前に比べて、90年代以降の叙述は理論的にも実証的にも緻密さを欠き、単なる権力闘争的な政局史になっているのが惜しまれる。特に本書は現在の自民党がなぜ多元性を失い、「右派」のヘゲモニーが確立したか?という主題を前面に出しているにもかかわらず、「右派」台頭の具体的メカニズムについては、90年代末に公明党との連立を神社勢力をはじめとする「右派」に納得させるために、「右派」的政策を実施せざるをえなかったとか、民主党政権時代に利益誘導政治にも新自由主義にも拠ることができず、理念的な「保守」にアイデンティティを見出すしかなかったという類の外因的・消極的要因しか提示されていない。同時代史は史料的制約もあって困難ではあるが、もう少し構造的な解析を望みたいところである。
もう一点。本書では縦軸として「右派」と「リベラル」の対立・抗争を重視しているが、そもそも本書における「リベラル」の含む範囲が極めて広く(前述の「日本型多元主義」も「リベラル」に位置づけているが、いかに香山が大戦の「侵略への深い反省」を口にしていても、その家制度擁護や個人主義の否定は一般的感覚では到底「リベラル」とは言えまい)、それぞれの時代ごとの両者の境界の揺らぎが十分に考慮されていない。この点ももう少し詰めて欲しいところである。 -
Posted by ブクログ
我が国における、デモクラシーの在り方を探るため、選挙を軸に小選挙区制導入からの政治史をまとめた本。キーワードとしているのは、参加デモクラシーとその対立概念である競争デモクラシーである。
小選挙区制導入以後の選挙を軸にした政党政治の変遷については、よくまとめられていると思う。しかし、冒頭で筆者が示す枠組みが整理し切れていない印象を受ける。枠組みの提示の際に、筆者は多くの論者の概念について触れているものの、このせいで筆者独自の枠組みが見えづらくなっている。この枠組みの曖昧さが、のちの分析に響いてしまっている印象を受けた。
上記で示した問題点は、筆者独自の見解の見せ方の問題であるとは思うが、何とかならなかったのか。この点が非常にもったいないというのが、正直な感想である。