村瀬学のレビュー一覧

  • 「あなた」の哲学

    Posted by ブクログ

    本書は、児童文化を専門とし

    現在は、同志社女子大学教授であるである著者が

    「あなた」という概念について論じる著作です。


    筆者は「おひとりさま」ブームなどに疑問を呈した上で、

    それらが前提とする哲学的な「他者」概念とは異なる

    日常の感覚に根ざす「あなた」概念の重要性を解説します。


    「あなた」概念が、「怪物」としての「他者」とは対極に位置するという指摘や

    フーバーやニーチェの訳をめぐる考察など

    興味深い記述は多くありました。

    なかでも、個人的に印象深かったのは、

    認知症の妻との生活を描いた、

    耕治人の小説『そうかもしれない』に関する箇所です。


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    2010年06月27日
  • 『君たちはどう生きるか』に異論あり! 「人間分子観」について議論しましょう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本を読んで初めて「君たちはどう生きるか」を読んだともいえる本だと思う。

    著者は第二の主人公を北見くんであると言っていたが、私はおじさんであるとこの本を読んで敢えて思った。何故ならおじさんは作者である吉野源三郎が写し出されていて、だからこそ本人の葛藤そしてそれを私達に提示しているからだ。

    おじさんは共産主義的な思考を持ちながらもその中に内包するファシズムに無意識的に違和感を持っている。
    労働者の素晴らしさを説いたかと思えばナポレオンの虐殺記録を英雄視したりするように

    だからこそ、そこを解決する部分はとってつけたような説明をする。つまりは作者自身がその問の解をまだ見つけられていないからだ

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    2024年11月02日
  • 『君たちはどう生きるか』に異論あり! 「人間分子観」について議論しましょう

    Posted by ブクログ

    ここまでかと思うほどコテンパン。確かに時代背景深く読まず乗っかる風潮にひと釘刺したのか。子どもたちに薦めたのを後悔しましたよ。

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    2020年10月11日