朝日新聞取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近、テレビや新聞で「子どもと貧困」についてよく耳にするようになったが、これは、そのテーマについて新聞に掲載された記事をまとめたり、現状を示したもの。
貧困家庭の子どもの思いや、学校の先生、スクールソーシャルワーカー、子ども食堂、児童相談所等の現状や取り組みがリアルに描かれています。
でもこれは一部分の切り取り。
17歳以下の6人に1人が貧困時代。
自分の生活とは全く別世界だと思っていたことが案外身近で起こっていることに、危機感を覚えました。
一見して貧困とは分からない家庭が増えているそう。
思い返せば、小学校の時、夜逃げした親子が何組かいたが、その時はどうしていなくなっちゃったんだろう…と思ったけれど、そういった背景があったのかもしれない。
地域とのつながりが薄くなって、貧困に気づけない、その本人も助けを求められず苦しんでいる、子どもはその犠牲になる…負の連鎖を断ち切るために、国の政策はもちろんだけれど、地域のつながりも増やしていかなければ、このような状況は悪化の一途をたどることでしょう。
自分にできることは何か、それを考えさせられた1冊でした。
2017/02/15 b -
Posted by ブクログ
2018年時点。
経済的にも軍事的にも大国となった中国が、経済力を背景に、人権や国内の財政状況に口出しをされたくない途上国の支持を取り付け、新たな世界秩序を生み出そうとしている姿を浮かび上がらせた。
中国国内でのルールの先進国との違いも先進国と考え方の違いの溝を深めているのではないか。
国際会議で支援を受けた途上国が中国批判に口をつぐむことも。途上国のみならず、イタリアなども多額の開発費を得た。多くの支持を取り付け、海洋やサイバーなど覇権を握ろうとしている。民主主義さえも今後どうなることやら。
一方で、中国の融資は利息が高く、国内企業を使うため、債務に苦しみ、国民の不満が高まるなど、綻びも見え始めた。気候変動や貿易の枠組みでは自らを途上国と強調するしたたかな一面も。
米国がトランプ政権を生み出して弱体化する一方、拡大を続ける中国とどう向き合うか、世界はどうなるのか考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
一気に読めるような、大変引き込まれる本でした。
(読み終わってすぐ友人に貸したので正確に感想をかけません)
印象に残った点
・亡くなった方々の氏名が一切公開されず、その点で他の重大犯罪と違うということ。その背景には障碍者への根深い社会的差別があるということ。亡くなった方々の氏名が非公開である理由は、「その家族が公表を拒否したため」とされている。被害者家族の中には親族に障碍者がいたことを秘密にしている場合もあった。もちろん、そのような判断の背景には社会的な無理解と差別がある。
・優先保護法の歴史。つい最近まで、私が生まれた後も存在していた法律のこと。国家によって子どもを産めないように同意のない手術をされた人がいたということ。ナチスに遡るまでもなく、戦後日本をみればそこには重大な障碍者差別と異常な人権侵害があったのだと知った。
・職員の人々の労働環境の問題。加害者の行為は全く容認してはならないが、職員の苦悩は確かにあるらしい。入居者に腹が立ったり、職員が少なすぎることで入居者一人一人と向き合う余裕がない、というような。
・青芝の会の活動。
・朝日新聞記者の苦悩について。本書の特色は内容の豊富さだけでなく、事件を追った記者の葛藤も載っていること。亡くなった被害者の氏名が全く明かされなかったために、この事件の取材は特別な困難が伴っていた。その中で取材を行うことはまた、特別に被害者家族とも世論とも摩擦を生み出していた。記者の葛藤も相当あったようだ。
結論としてはかなりの力作と思います。事件の詳細、事件の特殊性、施設職員の思いと苦悩、障碍をもつ当事者の思い、日本社会の問題、そして「共生」とは何か。多様な視点から学ぶことは多く、今後このようなことが起こらないためにはどうするべきなのか示唆に富む一冊でした。 -
Posted by ブクログ
これは読んでる間ずっとキツかった。
500ページ近い厚さの本で、その中に性被害者から性加害を行った当時者、被害者家族と加害者家族、また支援者や専門家など性暴力について104人の声が収められている。
扱われるケースも様々で、兄弟や父、母など家族内や親戚など近しい間柄での性暴力から、学校や塾、習い事、クラブ活動、部活などの環境で、その立場を利用しての性暴力もある。
また性被害は圧倒的に女性のほうが多いのだが、男性の性被害も当然にある。特に20代に至るまでの性被害は結構多いということがわかった。
また、それは同性愛や少年愛、小児性愛といった性的指向を抱いた加害者からの性被害も当然あるのだが、性加害相手が異性愛者であったとしても厳しい上下関係が規律として定められている場所(例えば寮や施設、部活など)では、自分より下の相手を支配するという欲望が性暴力という形で現れることも多いのだという。
そして男性の場合は自らのマスキュリニティが侵されたという被害者意識=恥として植え付けられることが多い。そのため自分の中でそれは性被害ではないと思い込むことも多いとのこと。そして性被害を受けた当事者が今度は性加害者として、自分がかつてはやられたのだから上に立った自分が今度はやる側に立つという性加害の再生産も男性の場合は起きやすいらしい。
また自分が性被害に遭ったということを信じられなかったり、恥ずかしさなどの理由から記憶から消してしまうことも結構あるらしい。それが理由で(本人はそれが理由だと気が付いていない)躁鬱性や無気力、無感情、逆に激しい暴力性や反抗などが発露することもあるとのこと。
本書の中には60歳近くまで自らに起きた性被害を思い出せないままでいたのに、あるきっかけで思い出した人も出てくる。こういった人たちは理由もわからないまま傷による性格性が表に出ることから周りから面倒な人として見られたりして「何で自分はこうなんだろう」と思い詰めてしまう人も多いんだとか。
一つ一つの体験にはそこで苦しみ、悩み、大きな傷を負ってしまった人々が出てくる。その後の人生にも影響を与え、他人や特定の場所が怖くなったり、フラッシュバックを繰り返したり、鬱病や眠れなくなったり、なかには自ら命を落としてしまった人たちの話も出てくる。
性暴力は魂の殺人と呼ばれる。
男性の中には性暴力は軽いものだと見てしまう人もいるが、本書を読むとその性暴力の被害の度合いに関わらず被害者のどれだけが心に傷を負ってしまうことがわかる。
そしてその傷は癒されるまでに長いカウンセリング期間を必要とする。何なら癒されないまま付き合っていくしかない人もいる。
この本は特に子どもに限ってはいるのだが、読めば性暴力による影響がどれだけ長い年月そして深く暗い影を落とすかがわかる。
特に性暴力が軽く見られる日本で、子どもたちを社会が守り、未来をつくるためにも多くの人が性暴力についての問題意識を持つべきだと感じた。 -
Posted by ブクログ
これまでの熟年離婚といえば、「ザ・家父長制」といった夫のふるまいへの積もり積もった妻の恨みが、夫の定年などを機に爆発し離婚、捨てられた夫は身の回りのことも満足にできず孤独死まっしぐら… というのが定番イメージだが、最近はそればかりでもないらしい。
まず、タイミングが夫の定年退職より前の役職定年の時期に前倒しされる。バブル世代が役職定年を迎え、収入が減るタイミングで不和に陥るケースが多いらしい。まさに金の切れ目は縁の切れ目というわけか。もっとも妻から金ヅル以上の価値を見出されていない夫の側にも大いに問題があるのだろう。
また、「フキハラ=不機嫌ハラスメント」というのも増えているようで、これは夫ばかりが加害者とも限らない。自分が何に不満を感じていて、何をどう変えたいのか、落とし所をどこにもってきたいのかを言語化できずに、ひたすら不機嫌を撒き散らす。読んでいて不快だったが、自分もこのようなことをしていないかは、常に気をつけないといけないだろう。
他人同士が寄り添って暮らすためには、思いやりが不可欠だと改めて実感した。この本で紹介されていた人たちのような末路を辿らないためにも、パートナーへの慈しみと対話をこれからも大切にしていきたい。 -
Posted by ブクログ
韓国ドラマやK-POPなど日本でも韓国カルチャーに触れる機会が増えたが、その裏にある韓国社会の急速な変化について知れる本だった。
過熱する受験・就職競争によって若者を中心にものごとを「経済」や「交換価値」で見るようになり、子ども、女性、高齢者、地方在住者などへのネガティブな感情が広がっている。その姿は、日本の若者のタイパ志向や「成長」への囚われにも通じる。多様な価値観に対する想像力が求められる。
少子高齢化、移民問題、都市部への一極集中など、日本とも共通する問題が多く、お互いに参考になりそう。
文体としては、まさに新聞記事のような簡潔なもので読みやすかった。