朝日新聞取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2018年時点。
経済的にも軍事的にも大国となった中国が、経済力を背景に、人権や国内の財政状況に口出しをされたくない途上国の支持を取り付け、新たな世界秩序を生み出そうとしている姿を浮かび上がらせた。
中国国内でのルールの先進国との違いも先進国と考え方の違いの溝を深めているのではないか。
国際会議で支援を受けた途上国が中国批判に口をつぐむことも。途上国のみならず、イタリアなども多額の開発費を得た。多くの支持を取り付け、海洋やサイバーなど覇権を握ろうとしている。民主主義さえも今後どうなることやら。
一方で、中国の融資は利息が高く、国内企業を使うため、債務に苦しみ、国民の不満が高まるなど、綻び -
Posted by ブクログ
一気に読めるような、大変引き込まれる本でした。
(読み終わってすぐ友人に貸したので正確に感想をかけません)
印象に残った点
・亡くなった方々の氏名が一切公開されず、その点で他の重大犯罪と違うということ。その背景には障碍者への根深い社会的差別があるということ。亡くなった方々の氏名が非公開である理由は、「その家族が公表を拒否したため」とされている。被害者家族の中には親族に障碍者がいたことを秘密にしている場合もあった。もちろん、そのような判断の背景には社会的な無理解と差別がある。
・優先保護法の歴史。つい最近まで、私が生まれた後も存在していた法律のこと。国家によって子どもを産めないように同意のない手 -
Posted by ブクログ
これは読んでる間ずっとキツかった。
500ページ近い厚さの本で、その中に性被害者から性加害を行った当時者、被害者家族と加害者家族、また支援者や専門家など性暴力について104人の声が収められている。
扱われるケースも様々で、兄弟や父、母など家族内や親戚など近しい間柄での性暴力から、学校や塾、習い事、クラブ活動、部活などの環境で、その立場を利用しての性暴力もある。
また性被害は圧倒的に女性のほうが多いのだが、男性の性被害も当然にある。特に20代に至るまでの性被害は結構多いということがわかった。
また、それは同性愛や少年愛、小児性愛といった性的指向を抱いた加害者からの性被害も当然あるのだが、性加害相 -
Posted by ブクログ
これまでの熟年離婚といえば、「ザ・家父長制」といった夫のふるまいへの積もり積もった妻の恨みが、夫の定年などを機に爆発し離婚、捨てられた夫は身の回りのことも満足にできず孤独死まっしぐら… というのが定番イメージだが、最近はそればかりでもないらしい。
まず、タイミングが夫の定年退職より前の役職定年の時期に前倒しされる。バブル世代が役職定年を迎え、収入が減るタイミングで不和に陥るケースが多いらしい。まさに金の切れ目は縁の切れ目というわけか。もっとも妻から金ヅル以上の価値を見出されていない夫の側にも大いに問題があるのだろう。
また、「フキハラ=不機嫌ハラスメント」というのも増えているようで、これは -
Posted by ブクログ
韓国ドラマやK-POPなど日本でも韓国カルチャーに触れる機会が増えたが、その裏にある韓国社会の急速な変化について知れる本だった。
過熱する受験・就職競争によって若者を中心にものごとを「経済」や「交換価値」で見るようになり、子ども、女性、高齢者、地方在住者などへのネガティブな感情が広がっている。その姿は、日本の若者のタイパ志向や「成長」への囚われにも通じる。多様な価値観に対する想像力が求められる。
少子高齢化、移民問題、都市部への一極集中など、日本とも共通する問題が多く、お互いに参考になりそう。
文体としては、まさに新聞記事のような簡潔なもので読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
韓国ドラマにハマり、色々な作品を観る中で、ノンフィクションの韓国も知りたいと思い、手に取った。日本と同様に少子高齢化や移民受け入れなどの問題に向き合っている韓国がどのような政策を取り、またそこに住んでいる韓国人がどのような気持ちで、それらの課題に向き合っているかなど、とても分かりやすくまとめられていた。日本に住んで日々の生活を送っていると、そう言った課題に対する視野が狭くなる時があるが、こうやって他国が向き合っている課題やそこにいる人の考えを本を通して出会うのは、自分の見ている世界を広くするのにとても良いと思った。韓国以外にも、他の国の本も読んでみたいと思った。
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Posted by ブクログ
2019年に起きた京都アニメーション放火殺人事件を追ったルポルタージュ。
事件のあらましから犯人の生い立ち、裁判の経緯、被害者の人生、遺族の言葉、識者の見解までの詳細を報告する。この殺人事件は、30人以上が死亡する衝撃的な事件だったので、その日のことはよく覚えている。犯人は、自分のアイデアを京アニに盗用されたという勝手な思い込みだけで犯行に及んだ。決して許せない事件ではあるものの、彼の不幸な生い立ちと孤独な人生、それが犯罪に至った経緯を知ると、もう少し社会のサポートがあれば防げたのではないかと思った。(これは結果論でしかないが)アメリカでは格差と分断が問題視されているが、日本でも生活環境の格