鈴木成一のレビュー一覧
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ネタバレ「今という時代が実は筑紫哲也という人物の記憶を呼び込んでいるのではないか。」
秋ごろ武田砂鉄著の『日本の気配』という本を読んだ時に、奇しくも著者と同じ思いを抱いた。武田氏の著作の訴えが中途半端であったこともあり、「今の時代に筑紫さんが生きていたら・・・」と。
そう思っていた矢先に本屋で見かけた本書。思わず手に取った。
「時代の大きな転換点の渦中に僕らはいたのだ。天安門事件。リクルート事件。冷戦の終焉。そして昭和の終わり。」
確かに、あの頃は、仕事で遅く帰宅しても、『NEWS23』を見てから、あるいは見ながら寝るなんて夜が何回もあった気がする。
今もまた、ある意味、”時代の大きな転換点の渦中“と言えるのかもしれない。そんな時代が故に、”筑紫哲也という人物の記憶を呼び込“んでいるという思いはスッと理解できた。
あの頃を懐かしく振り返えれると共に、またあの頃の活力よ再びと思わないでもなかった。体力では及ぶべきものではないが、そこは知力と、ささやかな経験でカバーか。
『NEWS23』のDNAは、3つ。最終回の多事争論で筑紫さんが語った、『力の強いものを監視し』『少数派であることを恐れず』『多様な意見で社会に自由の気風を保つ』ことだそうだ。ふたつめの意気込みは、知らずに実践できている気がするが、どうだろう。
少数派であることを恐れずにというより、多数派の裏を行ったほうが間違いがない。長いものに巻かれてしくじった時の後悔ってのは救いようがないからね。
「文化の動きの方が省庁発表の官製ニュースなんかより、よっぽど価値があると思っていた。」
『NEWS23』の二部の構成がまさにそうだった。芸能、演劇、映画などなど、実に文化的であり好きだった。今も、書籍や映画のラインナップで、大きな世の流れ、世界の動静はざっくり把握できると思っている。知らずと筑紫さんから教えられていたことなのかもしれないなあ。
とはいえ、まえがきに著者が記した
「テレビ報道はまだ生き残る価値がある」
は、どうかと思うけど。
テレビは家に置かずに10年以上になる。 -
Posted by ブクログ
読む前はデザインに惹かれて手に取ってしまう。
読んだ後はデザインで改めて本の内容・世界観に浸れる。
ずーっと前から気になっていた
装丁家「鈴木成一」さんの本。
こういう大御所のデザイナーの人が語るとき、
(悪く言えば)小難しいく「レベルの高い」感じで
話すことが多いように思うのだけれど、
鈴木さんの語りはそういうところが
あまり感じられなくてびっくり。
「なんとなくデザインしました」とか
「ストックフォトで3時間で作ったんだけど、売れちゃった」
「これは色んな提案したけど通らなかった」
「意図しないイラストが上がってくると困るから、有りもののイラストを使った」とか。
もちろん、経験やセンスや才能に裏付けされたもので
デザインされていらっしゃるのだと思うけど、
そういうフラットな感じがびっくり&好印象。
デザインの仕事は
「なんとなくデザインする」ことも
「有素材で短時間で仕上げる」こともある。
それを「カッコイイ」ことで蓋をしない、かっこよさ。
あと、一緒にお仕事をされる写真家さんやイラストレーターの方を
お一人お一人しっかりと褒めていらっしゃって、
そこも人柄が感じられた。
ああ、「鈴木成一全仕事」集出してくれないかな〜 -
Posted by ブクログ
鈴木成一氏の装丁作品集。
グラフィックデザイン全般を手掛けてきた著者だが、中でも本の装丁が評判がよくあれよあれよという間に装丁の仕事が大半を占めてきた。
手掛けた約8000冊の本の中から120冊を解説付きで紹介している。
装丁の方法にも色々あり、大きく分けて本文の印象、本のつくり、モチーフ、あえてなにも使用しない、などなど。
これらの分類も便宜上のことで、これらの分類にまたがる本もあるし、全く当てはまらない本もあるかもしれない。
書店で手に取るかどうかには装丁も大きなファクターを占めるだろう。
(それだけに装丁にだまされる事もあるが(装丁に想定外・・・アハハ))
だが、売れるためだけを考えるより、その本から受けるイメージを忠実に、遊び心を加えながら決められた装丁の方が結果(売り上げ、つまり人の心を掴む装丁)も出るのではないだろうか。あくまで門外漢の私見だが。
本の印象を決める想定家は第二の作者であるだろう。