石坂しづかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『食堂かたつむり』を読み終えて、涙が止まらなかった。
本を読んでここまで声を上げて泣いたのは、生まれて初めてだと思う。
“命はどれほど大切なものなのか”という問いが、静かに、だけど強く胸の奥に突き刺さった。
物語が進むにつれて、お母さんの倫子への愛情が少しずつ明らかになっていく。
派手に示される愛じゃない。
人目につかないところで、そっと積み重ねられてきた愛。
その存在に気づいた瞬間、胸が締め付けられて、最後の手紙ではもう涙を抑えられなかった。
エルメスのシーンは言葉にできないほど心を揺さぶられた。
様々な事情を理解したうえで、自ら解体されるために歩み寄る姿は、残酷で、優しくて、尊くて、悲 -
Posted by ブクログ
この本を読まないまま死ななくてよかった。途中から泣いてばっかりだった。読んだことがないのに懐かしくなるような小説。母娘の確執は深く語られないけれど、食器を引き合いに出して語られる「おかんと私の価値観は正反対」という言葉が効いている。
作者の小川さんについては全然わからないけど、食べることも作ることも好きなんだなあと伝わってきた。いくら料理が上手くても、飲食店のトイレが汚いとすべてが台無しになる、という一言の説得力よ。紹介されるひとつひとつのメニューも、ほとんど野菜だけで味を整えるジュテームスープも、そしてエルメスを解体するシーンも、食材に、食事という行為にリスペクトがないと思いつかないし書けな -
Posted by ブクログ
本当に大切なことは、自分の胸の中に、ぎゅっと、鍵をかけてきっちりとしまっておこう。誰にも盗まれないように。空気に触れて、色褪せてしまわないように。雨風にさらされ、形が壊れてしまわないように。
倫子
大事なものは、なんでも冷蔵庫の中にしまえばいいのよ。そして、必要な時にレンジでチンすれば大抵のものは平気なの。
ルリコ
作中に出てくる、大事なもの大切なものの解釈。真面目で慎重な娘とマイペースで大雑把な母親、2人の性格が色濃く出ている場面かなと思います。二人の関係が物語の主軸となっていたと感じます。母と娘の絡まった糸がほどけた証に倫子の声が戻る。とても、幸せな気持ちになりました。
私にとって母 -
Posted by ブクログ
ネタバレ食べること、生きること、死ぬこと。
やさしい物語の顔をしながら、
容赦なく命の重さを突きつけてくる一冊。
あらすじやネタバレレビューを読んで展開を知っていたのに、つらすぎて涙が止まらなかった。
読み飛ばしはしなかったけれど、味わって読む余裕はなかった。
物語の冒頭、
インド人の恋人がすべてを持ち去って消えるという展開は衝撃的だった。声を失うほどの出来事なのに、主人公はそれを悲観的に捉えていない。強い人なのかと思ったけれど、それは「向き合わない」ことで保たれていた強さでもあった。
私は自分を弱い人間だと自認していた。
倫子のように切り替えられず、
悲しみや痛みに真正面から向き合い続けてしま -
Posted by ブクログ
小川糸さんのことはこの小説を読む前から知っていた。雑誌『天然生活』で小川さんのすてきなライフスタイルが何度も取り上げられていたからだ。森の中の一軒家で、夜になれば蜜蝋キャンドルに火を灯し、寒くなれば薪ストーブで暖を取る生活。もちろん食事は地元の旬の食材をふんだんに使った手料理だ。それは絵に描いたような「ていねいな暮らし」で、憧れると同時になんてバイタリティのある人なんだろうと感心した。そんなユニークな人が描いた小説が面白くないはずがない。期待をこめて読んでみたが、果たして期待以上だった。
大筋としては「恋人に去られたショックで失声症になった若い女性が、田舎に戻って食堂を開くことになる。温かい