石坂しづかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
情景の表現が綺麗だなぁ。
『空には玉ねぎの薄皮みたいに半透明の薄い雲の膜が、ぴったりと貼り付いている。』
『生みたての卵の黄身みたいな、ツルンとした濃いオレンジ色の太陽。』
『クラゲのような薄い雲が広がっている。』
夕『焼け空が広がっている。まるで、地球をそのまま巨大なはちみつのビンに沈めたみたいだった。』
この感性で人の機微を表現しているのだから、読んでいてとても暖かくなる。
凝り固まっている様に見える女性3代に渡る関係性が料理を通して解れていく。
その他にも色々な人間関係が温かい心のこもった料理を通してポジティブな一歩を踏み出せる。
そんな温かい温度を感じる作品でした。
素 -
Posted by ブクログ
ネタバレ15年ほど前に読んだことがあったものの内容を結構忘れてたので再読。当時と印象が結構違った。良い意味で。
夢を叶えるため懸命に働き、実現も近付いてきたかと思われた頃にそれまで愛し合った男性が倫子のすべて、本当になにもかも持ち去ってしまう。
辛うじて残されていた、祖母との思い出が詰まった糠床の存在が救いになったのか直ぐに絶望的な状況から立て直す行動力を見せてくる。かと思えばやっぱりふとした時に涙がこぼれる様子が見られる。そりゃそうだ声も失くしてしまうほどだし。
料理に対する信念が揺るがない倫子。母の最期の望みとはいえエルメスを手にかけることも食と誠実に向き合う姿勢が素晴らしかった。
出生の -
Posted by ブクログ
本当に大切なことは、自分の胸の中に、ぎゅっと、鍵をかけてきっちりとしまっておこう。誰にも盗まれないように。空気に触れて、色褪せてしまわないように。雨風にさらされ、形が壊れてしまわないように。
倫子
大事なものは、なんでも冷蔵庫の中にしまえばいいのよ。そして、必要な時にレンジでチンすれば大抵のものは平気なの。
ルリコ
作中に出てくる、大事なもの大切なものの解釈。真面目で慎重な娘とマイペースで大雑把な母親、2人の性格が色濃く出ている場面かなと思います。二人の関係が物語の主軸となっていたと感じます。母と娘の絡まった糸がほどけた証に倫子の声が戻る。とても、幸せな気持ちになりました。
私にとって母