佐藤亜紀のレビュー一覧
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18世紀ベルギーフランドル地方
商家の娘ヤネケと幼馴染のヤン
とてつもなく賢いヤネケに実験され、
ヤンは彼女を慕い、ヤネケは子を身籠る
そして、ヤネケは「ペギン会」に入って好きなように生きていく
また次なる興味のために
ヤンのその後は波瀾万丈
あれよあれよと市長になる
2人の妻は尽くし続けて早くに亡くなる
寂しく残された男ばかりの食卓風景は
なんだかせつないばかり
時代の流れの中で、ヤネケやヤン
そして息子のレオ
それぞれが駆け抜けていく!
読むにあたり
歴史にも触れざるを得ないだけに
なんだか賢くなった気分になれる(笑)
女性としての生き方の多様性
男性の女性への考え方の多様性
今も昔も -
Posted by ブクログ
大好きな作家さんの佐藤さん、今回は、ドイツ第三帝国下のスウィングボーイズの物語。
佐藤亜紀さんは、不幸な事件のせいもあって、あまり話題にはされてませんが、実は好きな人がメチャ多い作家さんです。最近だと黄金列車もすごく良かった。
ナチスに頽廃音楽とレッテルされた音楽や美術作品は多々あるなか、ドイツに浸透していたスウィングジャズにハマった悪ガキの物語、ゲシュタポの排斥が進むなかで、隠れてスウィングスウィング、ある意味楽しい青春譚が繰り広げられるものの、時代の流れは暗雲立ち込め、ハンブルク大空襲を山場に生活瓦解となるなかで、そのような陰鬱さを感じさせないスピードで悪ガキが走り続けた物語。悪ガキベース -
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再読。
一度目に読んだときが佐藤亜紀作品デビューだったので、落ち着いて読めていない部分も多かったと思う。
一度目も楽しかったんだけど世界観への順応とか歴史の知識とかにエネルギー使ってしまい本編を純粋に楽しむ余裕なかったかもしれない。双子であるにも関わらず身体がひとつという設定にいちいち興奮していたみたい。
そういう基本設定と話の筋もわかった上で改めて読んでみたら、メルヒオールとバルタザールはじめ登場人物をより深く理解することが出来たと思う。
注釈もないまま当たり前のように引き合いに出される馴染みのない文学作品とか演劇の台詞とかには「分からないやつは読むな」と言われているような気持ちになるけど -
Posted by ブクログ
戦時下の青春小説。
日に日に締め付けが厳しくなっていく戦時下、敵性音楽であるジャズをどうにかして聴き続けること。この話を貫いているものは反戦の精神でもなく戦争がもたらす教訓的なものでもなく、ジャズという名の人間性ではないかと思う。
主人公エディがつるんだり巻き込んだり丸め込んだりする人達は、ユダヤ系、ユーゲントのスパイ、戦争捕虜、ゲシュタポなど立場を問わない。
エディにはイデオロギーはなく、ジャズを聴き続けるため、前線行きを逃れるためにあらゆるものを利用し、あらゆる理不尽に心を痛める。
ジャズを含むアーリア的でないもの全てを根絶やしにしようとイロニーのかけらもなく愛国精神を説くナチス。
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舞台は第一次世界大戦前後のヨーロッパ。
サイキック集団が跋扈する魑魅魍魎の中を泳ぐように生き、したたかに漂流するゲオルクエスケルス。
登場人物が全員オーストリア人とかロシア人とかだから名前が覚えにくい事おびただしい。
人物相関図付けてあげようとは誰も思わなかったのか。
何回もコイツ、誰だっけ?と読み返した。
でも読み返すことで面白さは倍増する。
ギゼラが最後の最後に出てきた時は快哉を叫んだ。
初登場から一体何年経ってる設定なの?
そしてちゃんと結ばれるのね。
ハッピーエンドなんだ。其れにも吃驚。
読み応えあります。
読んだら疲れます。でも心地よい疲れです。
500頁以上有りますがオススメです。 -
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ネタバレエネルギーを要する作品でした。歴史的な背景がわからないと迷子になる。知らない用語が当然のようポンポン出てきて「ちょっとまって、これ何のこと言ってんの?」ってなる。検索しながら読んだ。
主人公たちの使う特殊能力を脳内で再現するために五感を総動員して第六感的な感覚を何とかして創り上げるという作業が必要だったんだけど、これが癖になるほど楽しかった。(私としては泥酔したときの感覚がいちばん役立った)
登場人物がやたら多いがみんな魅力的なのでさほど混乱しなかった。小狡いキャラクターすら心から憎むことができない魅力を持っており2作品を通してそれがジワジワ漏れ続けいつの間にか何となく好きになっている。
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「西暦二○○○年の人間はまた別な風に弾くだろう、って先生は言ってる。今みたいな音楽を普通に聴くようになった人たちには、ベートーヴェンはまた別のものに聴こえるだろう、先生が聴き始めてからでもずいぶんと変わったって。それはいいことでも悪いことでもある、って。得るものと失うものがあるから」
2017年に日本人の作家が大戦末期のドイツを描く。綿密なリサーチが彼らのステップを“歴史”から開放する。自由なステップは素敵な飛躍を生み、それが祈りを携えた小説となる。読者は史実の手触りと自分の足元が変容する感覚を味わう。読み終えた僕が思いを馳せたのは、遠いドイツの風景ではなく、もっとそばにあるファシズムの過去 -
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この本は実在したスウィング・ボーイズの話です。私はスウィング・ボーイズなる存在を知りませんでした。ナチス体制のハンブルグで、ジャズによって規制に抗った少年たち。ナチスに抵抗した若者というと私は白バラしか知りません。スウィング・ボーイズもエーデルヴァイス海賊団も知りませんでした。だから小説としての面白さだけでなく歴史を知るという意味でも興味深く面白かったです。
白バラは反戦のビラを撒くのに対して、スウィング・ボーイズはただカッコいいことをしたかったり好きな音楽を聴いたり踊ったりしたいだけ。自由でいたいだけ。ビラを撒く恋人にエディは「それってユーゲントとどこが違うの?なんで青年が先頭に立って旗を掲 -
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当初、岩波書店『陽気な黙示録』や四谷ラウンドから発刊されたエッセイ集の再録集かと思っていたのですが。
読んでみて「おおおっ!」その後、新聞や雑誌に寄せた文章が初収録されている!!
これは購入した甲斐がありました!(嬉)
内容は相変わらずといおうか、なかなか辛辣で、時々ふっっと考え込んでしまったり落ち込んでしまったりするんですが。
それでも、こうして読む事ができるのはやはり嬉しいものです。ふふ。
という訳で、…まぁ、多分佐藤亜紀が好きな人は絶対購入済だとは思うんですけど。当初のワタシのように、「ああ、書籍でもう持ってるよな」なんて思った人は、ぜひ購入してみてください。 -
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知らなかったな、「ペギン会」。修道女のように教会に使える女性達が集まって暮らしていた組織。ベルギーのフランドル地方にあった。修道女のように「キリストの花嫁」ではなく、ペギン達はそれぞれ経済活動をして、身を立てていた。敷地内に家を購入して暮らす者もいた。
この小説のヤネケという女性の生家は亜麻糸の仲買商人の裕福な家で、彼女は子供の頃から恐ろしく頭が良かった。もうひとりの主人公のヤンという男性は、12歳の頃、ヤネケの父親に引き取られ、ヤネケとは義理の兄妹として育った。二人は仲良く、実験好きのヤネケの「性の探求」にヤンが付き合わされているうちに、子供が出来てしまった。
ヤンは二人で家庭を持って子供を -
Posted by ブクログ
ネタバレはあ〜とっても面白かった。
誰もが自分の望みを持つ。その果たし方に時代性が出る。ヤネケにもヤンにも望みがある。2人にとって愛は意志であり、自分の欲するところを主張はするが、相手の意に反することを強制はしない。いたって現代的な倫理観と理知的な関係性だ。時代風のヤンがそういった態度を身につけていることがむしろ驚きなのだが、ヤンには体験から真摯に学ぶ才能がある。ヤネケが奇矯に見えるのは、彼女の所有欲が極端に低い上に実利主義だからだろう。
個体の能力や特性にはばらつきがある。様々な制約はあれど、それは普遍の真理みたいなもので、その中で自由に生きることができる。その哀しみ、苦しみ、開放感、喜びが、読ん