佐藤亜紀のレビュー一覧

  • スウィングしなけりゃ意味がない
    イカした小説だった。ナチスが幅を利かしていた時代のハンブルクを舞台に、ジャズにかぶれた連中(スウィング・ボーイズ)がしたたかにしなやかに生き抜いていく物語。
    レジスタンスのように真っ向から抗うのも尊いけど、この小説のスウィング・ボーイズのように軟派を装ってカッコつけ、相手にしないようでいて器用に裏を...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    第2次世界大戦前夜から戦中にかけ、いわゆる敵性音楽であるジャズに魅了されたドイツのティーンエイジャーたち、"スウィングボーイズ"の物語。
    懇切丁寧なガイド付き小説とは違い、あれ、これについてなんか説明あったかな? とポヤポヤしているとあっという間に置いていかれそうな、まさしくインプロヴィゼーションが...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    ナチス政権下ドイツの、新たな局面を見せてくれる快作。大戦に突入する中、あくまで自分たちのやりたいことを貫いた青少年。戦時には避けられない不条理や死の描写も出ては来るけど、抑制の効いた筆致の妙もあり、いかにも”戦争もの”というところからは、一線を画す仕上がりになっている。終戦とともに迎える本作のクライ...続きを読む
  • バルタザールの遍歴
    主人公の貴族が絵に描いたように転落していきます。え、まだ落ちるの?というところまで。ですが、本人たちはあまり気にしていないようなので、読んでいて不思議と「辛さ」や「悲壮感」を感じることはあまりありませんでした。また、決して性格が悪いわけではないのですが、ダメ人間です。あそこまでダメになれるのは、自分...続きを読む
  • 吸血鬼
    毎回思うのだけど、
    これは日本人作家の小説なんだろうか…
    この人の描く海外の世界はちゃんと現地のもののようだ。
    読みづらささえ、構築してしまう。
    .
    吸血鬼とは誰だったのだろう。
    そこにはまだ科学だけでは納得いかない心情と、理論だけではいかない領地運営、過去の夢が混じり合っている。
  • 吸血鬼
    1845年
    オーストリア帝国の支配下にあるポーランドの田舎の村ジェキ!ゲスラーは若き妻を伴い新たな役人として着任した。

    クワルスキーは元詩人の大地主!?
    かつて名を馳せた詩人は自分の現在を燻らせている・・・

    ジェキを訪れる際にアクシデントがおき、ゲスラーはヤレクと言う謎の男と出会う・・・
    謎の男...続きを読む
  • 天使・雲雀
    ある青年の青春と恋をまぁこんなにとっつきにくく書けるなんて凄い!!
    深謀遠慮渦巻く奇奇怪怪な物語
    疲れたー
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    西欧社会を舞台として純文学と大衆文学の間を自在に往来する独自の小説世界で知られる著者が、ナチス政権下のドイツで、政権への反発心から禁止されたスウィングジャズに耽溺した少年たちの姿を描いた一冊。

    特に明確な政治思想があるわけではない。だが、ヒトラーユーゲントに代表されるようなナチスの姿は余りにも”ダ...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    佐藤亜紀さんの作品は10年前に読んだ『ミノタウロス』以来だと思います。相変わらずひとつひとつの文章の密度が驚くほど高くて、相当な力作かつ労作であることは疑いないのですが、自分の場合はあまり物語に入っていくことができませんでした。
    それは一にも二にも登場人物の問題で、現代の「反戦平和」に何となく染まっ...続きを読む
  • 小説のストラテジー
    小説を書く人、読む人の立ち位置を考察し、その関係性をつまびらかにしていこうとしている本。

    早稲田大学での著者の講義を基にしているとのことだが、完全にリライトされているのか、口語的な平易さはなく学術書に近い感すらある。

    また、例示に西洋文学の古典作品が多く、そもそも西洋文学に疎い身にはかなりの難読...続きを読む
  • 陽気な黙示録 ――大蟻食の生活と意見~これまでの意見編~
    佐藤亜紀女史のちくま文庫版エッセイ集の2冊目。こちらを先に購入し、後でちくま文庫版外人術を手に入れる。正直、佐藤さんのエッセイは創作よりも文体が尖っていて一遍目を通すだけでズタズタになる。よって2冊とも偶に開くだけの積み本になっている。
  • 陽気な黙示録 ――大蟻食の生活と意見~これまでの意見編~
    佐藤亜紀の小説はとても面白いし好きだけど、エッセイは苦手だ。読んでいる間ずっと怒られているような感じで(もちろん自分の勉強不足のせいなんですが)、とても疲れる。バカが小説を読まなくなったら、出版社も書き手も彼らの方を向かなくてよくなり文学市場はもっと落ち着くとかそんなことが書かれているもんだから、私...続きを読む