佐藤亜紀のレビュー一覧

  • スウィングしなけりゃ意味がない
    大好きな作家さんの佐藤さん、今回は、ドイツ第三帝国下のスウィングボーイズの物語。
    佐藤亜紀さんは、不幸な事件のせいもあって、あまり話題にはされてませんが、実は好きな人がメチャ多い作家さんです。最近だと黄金列車もすごく良かった。
    ナチスに頽廃音楽とレッテルされた音楽や美術作品は多々あるなか、ドイツに浸...続きを読む
  • バルタザールの遍歴
    再読。
    一度目に読んだときが佐藤亜紀作品デビューだったので、落ち着いて読めていない部分も多かったと思う。
    一度目も楽しかったんだけど世界観への順応とか歴史の知識とかにエネルギー使ってしまい本編を純粋に楽しむ余裕なかったかもしれない。双子であるにも関わらず身体がひとつという設定にいちいち興奮していたみ...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    戦時下の青春小説。

    日に日に締め付けが厳しくなっていく戦時下、敵性音楽であるジャズをどうにかして聴き続けること。この話を貫いているものは反戦の精神でもなく戦争がもたらす教訓的なものでもなく、ジャズという名の人間性ではないかと思う。

    主人公エディがつるんだり巻き込んだり丸め込んだりする人達は、ユダ...続きを読む
  • 天使・雲雀
    舞台は第一次世界大戦前後のヨーロッパ。
    サイキック集団が跋扈する魑魅魍魎の中を泳ぐように生き、したたかに漂流するゲオルクエスケルス。
    登場人物が全員オーストリア人とかロシア人とかだから名前が覚えにくい事おびただしい。
    人物相関図付けてあげようとは誰も思わなかったのか。
    何回もコイツ、誰だっけ?と読み...続きを読む
  • 天使・雲雀
    エネルギーを要する作品でした。歴史的な背景がわからないと迷子になる。知らない用語が当然のようポンポン出てきて「ちょっとまって、これ何のこと言ってんの?」ってなる。検索しながら読んだ。

    主人公たちの使う特殊能力を脳内で再現するために五感を総動員して第六感的な感覚を何とかして創り上げるという作業が必要...続きを読む
  • 天使・雲雀
    主人公は『感覚』という異能が使える。

    相手の心を読んだり、相手を動かしたり、相手の心と頭脳を壊したり・・・

    そんな彼はオーストリア帝国の間諜として働く。そして舞台は第一次世界大戦のヨーロッパ!!!


    主人公ジョルジュのサクセスストーリーと言ってしまっては言葉が軽すぎるかもしれないが、読んでて痛...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    「西暦二○○○年の人間はまた別な風に弾くだろう、って先生は言ってる。今みたいな音楽を普通に聴くようになった人たちには、ベートーヴェンはまた別のものに聴こえるだろう、先生が聴き始めてからでもずいぶんと変わったって。それはいいことでも悪いことでもある、って。得るものと失うものがあるから」

    2017年に...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    この本は実在したスウィング・ボーイズの話です。私はスウィング・ボーイズなる存在を知りませんでした。ナチス体制のハンブルグで、ジャズによって規制に抗った少年たち。ナチスに抵抗した若者というと私は白バラしか知りません。スウィング・ボーイズもエーデルヴァイス海賊団も知りませんでした。だから小説としての面白...続きを読む
  • 小説のストラテジー
    ブンゲイ批評
    かかった時間もこまぎれなのでわからない。というか、読み終わったのは半年くらい前だと思われる。

    小説とは何か、が、ずっとわからなかったのだが、この本でようやく、なんとなく「小説で書き手は何をやりたいのか」がぼんやりと見えてきた(遅い)。
    筆者の、小説というコミュニティに参加することに対...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    いやはや、佐藤亜紀かっけー、おもしれー。
    ナチになびかなかった人たち、なんだけど、政治的な意図を持って抵抗するんではなく、ただやりたいことをやりたいだけ。ジャマするヤツにはなびかない、こびない、屈しない。ただやりたいことをする。かっけーわ、スウィングボーイズ。
  • 小説のストラテジー
    話が難しいですが、その分だけ小説の深い部分について言及しています。なんだか、必要なことはすべて古代ギリシャ人が語りつくしているって感じです。
  • 陽気な黙示録 ――大蟻食の生活と意見~これまでの意見編~
    この方の刺し方えぐり方、素晴らしいですね。われもまたいずれかくありたし。中でも「ある老人の死」「言葉を使って何ができるか」「物書きの業」お気に入りです。
  • 陽気な黙示録 ――大蟻食の生活と意見~これまでの意見編~
    当初、岩波書店『陽気な黙示録』や四谷ラウンドから発刊されたエッセイ集の再録集かと思っていたのですが。
    読んでみて「おおおっ!」その後、新聞や雑誌に寄せた文章が初収録されている!!
    これは購入した甲斐がありました!(嬉)

    内容は相変わらずといおうか、なかなか辛辣で、時々ふっっと考え込んでしまったり落...続きを読む
  • 天使・雲雀
    特殊な〈感覚〉の表現が凄すぎる…。分かりやすい名付けはないのに、〈感覚〉のイメージが掴めるという不思議さ。その奇妙な手ざわりが面白くて、〈感覚〉が駆使される場面だけ、繰り返し読んでしまった。
    物語は、第一次世界大戦前の不穏な政治情勢のなか、〈感覚〉を武器に間諜として動くジェルジュの、同じく〈感覚〉を...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    ボンボンが悪ガキしてるわー、というところから、時代そのまま地獄のような状況に突き落とされていく、その情緒の行ったり来たりが、『状況に酔う』ということのない視点を通じてなされ、読みふけってしまった。ちょっとだけ、些細なことだが受け入れがたいところはあった、けれども。
  • 黄金列車
    第二次世界大戦末期、ロシア軍が攻めて来る中、ユダヤ人から没収した財産を記者に積み込んだ黄金列車がブダペストを出立する!

    主人公は大蔵省の官吏のバログ

    武力も無く、権力もなく、誰が敵か解らない中、知恵と機転だけで窮地を乗り越えていかなければならない!

    黄金列車はユダヤの財貨を守り抜いて終点へ辿り...続きを読む
  • スウィングしなけりゃ意味がない
    実在したナチス政権下のスウィング・ボーイズ。上流階級のおぼっちゃんのかっこつけ、お遊びでありながら、音楽への熱狂や一体感がすごい。若くして戦況の変化に直面しつつ、己は常に自由たらんと踊り続けるかのような生き方を、ナチスドイツを背景にしながら鮮やかに描き切っているところも見事と思う。
  • ミノタウロス
    帯の「目を背けるな。未曾有の時代を生きる現代人、必読の書」に ふ~~ん と思い、読み終わってからは、なんで必読??

    人という存在から獣に近い存在にひたひたと自然の流れの中で移っていくのにすくんでしまった。一度してみると二度目三度目とどんどん平気になっていきエスカレートしていく。面白いわけではなく興...続きを読む
  • バルタザールの遍歴
    怠惰な金持ちが投げやりになって落ちぶれていく物語

    第一次大戦から第二次大戦の間のヨーロッパの雰囲気は世界史の教科書でしか読んだことがなく、世界観がなかなか掴めない。インディージョーンズやサウンドオブミュージック、チャップリンの映画の世界観をイメージしながら読み進めるが、なんとなくピンとこない。

    ...続きを読む
  • 天使・雲雀
    戸惑いの「天使」と、手に汗握る疾走感の「雲雀」。
    話がいきなり飛んで、多数の人物の名が入り乱れたため「天使」を読み終えた時は混乱をきたし、星2だと感じていたが「雲雀」の中盤からどんどん話と登場人物が収斂してきて最後の100ページは一気読みだった。
    ストーリーは抜群に面白いが、文体、構成、いきなりの登...続きを読む