松宮宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
バブル時代の田園都市線終着駅近く。
まあ、それは混んでいました。
長い路線なので各駅で通勤することは、理屈では可能でも現実的ではありません。
彼も一人のサラリーマンとして思うところがありました。
私もこのあたりに住んでいたので、いまでも目に浮かびます。定年が延びてます。60、65になってあんな混雑の中の通勤は無理です。
これはいけないことだ、とわかっていながら会社の方針に沿って開発を進め、人々は浮かれはしゃいでいましたね。それがバブルでした。
お金だけでなく、自然も、人々の暮らしも、大きく変わってしまいました。
利益を上げたから、上りつめたから。もういいだろう。
あとは悠々自適だ。痛勤とは無縁だ。
奥さんがパンを焼いています。
そこそこおいしい。
でも、電車の中で出会った ”しあわせパン” は極上のパンだったのです。
そして、それは自分と無関係ではありませんでした。 -
Posted by ブクログ
皆さんの感想にもある様に、タイトルから想像するストーリーから良い意味で裏切られる一冊。
パン屋と聞くと、どうしても小麦の焼ける香ばしく、素朴な香り。
そこに絡まる温かくも優しいヒューマンストーリー。
と、私は勝手にあらすじをあらかた枠決めして読み始めてしまったのですが、冒頭から空にはヘリコプター、環境ジャーナリスト、農薬空中散布のきな臭さ極まりないワードの数々。それだけでこれは右往左往の物語で、ちょっと息抜き程度に開いてしまった事を少し後悔してしまいました。読み進めると、またそれも違ったと気付きましたが。
ただ、人として、日常の中で瞬発的についてしまう悪態や呟きの描写が結構リアルで、特に1話では乗り手、3話では乗せ手の電車のシーンの主人公達にはかなり共感しました。生活する、生きていくって綺麗事だけじゃないよね。寧ろ小さいうんざりの積み重ね。
ただ、極たまーに起こる奇跡のような不思議な出来事で、人生が変わる。そういうお話しでした。
3話とも書き方を変えていたので、それも1話1話新しい気持ちで読めたのも良かったです。
結果的に、最初のイメージとは全然違いましたが、息抜きには本当に丁度良い内容でした。
表紙絵の素朴な手書きタッチのブールやバゲット、食パンは確信犯だったと読み終えて思いました。
手に取った時の印象は薄いのに、読んでみてなるほどね、と思える表紙がある本って結構ずっと印象に残りますね。 -
Posted by ブクログ
表題合わせて3つの短篇集。
表題のパン屋、は不思議な話で終わってしまいました。
一体どこから現れて、どこへいったのか。
とんとんと楽しい状態になったのは確かですが
上へ上へと押し上げられるよりは
奥さんと楽しい…日々かもしれません。
2話目の配達おばあさんが凄いです。
とっさの事とはいえ、それができるとは…。
いや、むしろ人が死ななくてよかったね?
最悪誰が死にそうな気がしますが、さすが物語。
3話目は…何が起こって何に繋がるのか。
終わりよければすべてよし、ではありますが
そう思うには結構純粋に生きていたようです、主人公。
人に使われるより、自分の采配で、が
性にあってると思います。
遅かったか早かったか、です、多分。 -
Posted by ブクログ
著者は大阪生まれの大阪育ち。『まぼろしのパン屋』も関西が舞台だったように、本作もやはり関西が舞台です。なじみのある土地の話にはついつい評価が甘くなってしまうというもの。
神戸の郵便局に勤める主人公のタケシは、自分よりずっと稼ぎのいいはずの兄から妙なことを頼まれる。指定された時間にATMへ行き、金を下ろしてほしいと。勤務中に局から出てよそのATMへ走ることなど不可能だが、小遣いをやるからという言葉に釣られて承諾。腹の調子が悪いと上司に偽って、たびたび兄の頼みを聞くように。ところが知らず知らずにうちに振り込め詐欺の片棒を担いでいたとわかり……。
そう、神戸駅なんぞが出てきたからには評価が甘くなってしまうものなのですが、上記のような展開では萎えるばかり。どう考えても怪しい話なのに、こいつはバカじゃなかろうかと思ってしまいます。これが第1話で、第2話はマイナンバーの配達に右往左往させられるタケシ。下町の人情噺と言えなくもないけれど、設定が駄目駄目すぎて興味が続きません。B級グルメ小説を謳っているわりには、出てくる食べ物の印象が弱い。もっとヨダレが出そうになるほどのお好み焼きの描写希望。神戸に免じて甘々で★3つにしておきます。