荒谷大輔のレビュー一覧

  • 使える哲学 私たちを駆り立てる五つの欲望はどこから来たのか

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    ネタバレ

    一般的に当たり前、とされていることを、哲学的な議論を参照しながら、本当に当たり前か?と問うてる。しっかり哲学、というか教養、をしている感じがして面白い

    「哲学は何よりも実践です。日常生活において当たり前になっていることをもう一度疑い、あらためて考え直すことで、全く当たり前では無い事実を私たちの日常の中に探り当てることが、本来の意味での哲学なのだと思います。」とのこと。

    富について
    ・マルクスの価値形態論
    第一形態:それぞれの物に対する個人の欲望の強さが「価値」を決定している、主観的なもの。(自分はリネンが不要でコメが欲しい、ある人はコメは不要でリネンが欲しいという時の交換のイメージ)。個々

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    2025年09月06日
  • 資本主義に出口はあるか

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    280P

    資本主義にも問題点があってそれをどうするかみたいな本て、資本主義って言うものがどういう世界観かっていうのを冷静に切り離して見られるのが良い。あまりにも資本主義の中に生きすぎてるから分からなくなってくるけど、自分のこういう価値観は多分資本主義だから思うことなんだろうなというのが分かって楽しい。

    荒谷大輔
    1974年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、江戸川大学基礎・教養教育センター教授・センター長。専門は、哲学・倫理学。著書に、『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社選書メチエ)、『「経

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    2024年07月02日
  • 使える哲学 私たちを駆り立てる五つの欲望はどこから来たのか

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    著名な思想家が、それぞれの時代の宗教や文化に「引っ張られている」ことが浮き彫りになった。自分自身の思考も、現代特有のクセがついていることを自覚させられた。

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    2021年09月09日
  • 資本主義に出口はあるか

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    右とか左とかよくわからないと思っていましたが、本書を読み現状がねじれの状態にあることを含め、基本的な整理ができるようになりました。

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    2020年12月19日
  • 資本主義に出口はあるか

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    右/左という対立軸をロック/ルソーという思想的対立に読み替えながら、現代に至るまでの資本主義を概観する快作。軸を読み替えただけで、ここまで鮮やかにわかりやすくなるのかと、感銘を受けた。
    最終章に関しては、そういうオチにならざるを得ないのだろうと思いつつ、やはり現実的な話にはなりえないなとも思ってしまった。とはいえ、多くの本では逃れがちな「じゃあ、どうすればいいの?」という面に正面から向き合ったという点で評価されるべきであるし、筆者の論に同意できないとしても、それまでのロック/ルソーの議論の展開の仕方で文句なしの★5である。

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    2020年05月11日
  • 資本主義に出口はあるか

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    題名だけをみると、リーマンショック後に多く出版された資本主義批判本が連想され、ある点では実際にその通りではある。しかし、本書は他書のように富の偏在に直接焦点を当てるのではなく、現在の特に旧西側自由主義国家に見られる混乱の原因がその思想的根幹をなす「自由」と「平等」が全く異なる仕方で人々に諒解されていることにあると指摘し、その発生の起源に立ち戻り徹底的に問い直そうとする試みに特色がある。

     本書はその自由主義内部の断絶が、そのルーツである2つの社会契約説の相反する立場にあることを指摘するものだが、出色なのはその異なる立場が現在も民主主義の「保守」と「リベラル」の中に保存されているという一貫した

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    2020年01月13日
  • 資本主義に出口はあるか

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    インパク知9・9
    かかった時間120〜150分

    めっっっっちゃおもしろい!!!

    個人的にはサピエンス全史と同じ種類のおもしろさ。帯に書いてあるのだが「ロックとルソー」で近代以降の社会を説明しきっている。

    ロックが、あくまで労働者としての個人の意思決定に委ねた自由な経済活動を肯定する立場なのに対して、ルソーは一般意志的な概念?の参与者としての個人の確立を教養主義によってめざし、結果として存在するはずの、文化や民族の連帯に基づけば福祉も必要だろうという立場である、と分析したうえで、産業革命はロック的で、それの揺り戻しとしてルソー的な理想が目指されたけど、それは革命やら全体主義やらオカルティズ

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    2019年10月20日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    面白いテーマだった。資本主義からの脱却をしてお金を使わずに生活できることを目指して色々画策された本でした。面白くサクッと読めた。

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    2025年10月18日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    面白いテーマ。各界激賞!神田昌典さんも評価してた。
    「ペイフォワード」を連想しつつ読み始める。

    1,2章はアダム・スミスに始まる資本主義経済の構造論。
    ルソーも登場。
    平等、自由になるはずが資本家に富が集中し、マルクスが登場。
    このあたりは格調高かった。

    3章から贈与経済のおはなし。
    例が思い切り身近。
    苦学生に無償で食事を提供する食堂の人。無事苦学生は卒業し一人前に。
    父とも仰いでいたが、いつしか足が遠のき、食堂の人は憤る、、、
    今さらお金を渡せばいいものでもない。
    マオリ族も登場。豊かな家が他の家をもてなし、いつしか上に立つ。
    ヒエラルキーが生まれる。「ハウ」「シニファン」、、、

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    2025年07月03日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    資本主義の歴史からそれによる落とし穴までを丁寧に解説した後、急にブロックチェーンによる贈与経済の提案が始まる。ちょっといきなり感はあったが、案のひとつとしてはアリだなと思った。資本主義一択の世界に対して一石を投じる本だと思う。

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    2025年05月01日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    資本主義のオルタナティブとして、ブロックチェーンを使った贈与経済を提案している。面白い議論だったが、自主的に参加しようとするのか、普通に贈与されたら贈与し返そうとするのではないか、贈与が繰り返されるコミュニティならば仕組みは不要ではないか、といったあたりが疑問。ただ贈与経済を広げていくことは大事だと思うし、贈与の記録が残ることに思いがけない効果もあるかもしれない。導入できる機会、コミュニティを探してみたい。

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    2025年03月30日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    前段の資本主義の考え方や贈与の格差の整理は役に立った。

    本題である贈与経済の実装へのチャレンジについては、ブロックチェーンで実現するかどうかも含めてなかなか実装は難しいだろうなぁと感じているので、読んでてモヤモヤが残るのは確かだが、どうすれば新たな経済システムをつくっていけるのか、にもがく様子の記録を残してくださってることは評価したい。

    それは無理だろう、意味がわからない、と切り捨てるのは簡単だが、「よくわからない」を自分の中に蓄積していけなければ結局新しい仕組みに「乗るだけ」の自分になってしまう。社会実装は私たちがどう受け止めるか、どう育てるかも重要なファクターだと思う。

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    2025年02月06日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    まずは哲学的な観点から資本主義の歴史と贈与について。本題以降はそこから。

    資本主義と贈与が結びつくのはなかなか難しいのではないかと思っている。贈与をブロックチェーンに乗せてシステム化した上で経済の概念に当てはめていく、というのは提案として面白いがなかなか難しそうだと感じる。

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    2024年06月26日
  • 資本主義に出口はあるか

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    古典派経済学のアダム・スミスの道徳感情論と国富論の関係について述べている点は評価できるが、その解釈が蜂の寓話的であり疑問。読者に誤った認識を与えるものとなっているのではないか。
    きちんと解釈すれば、古典派経済学の自由はロック的よりはルソー的、またはその中間というか止揚的となると思う。

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    2023年05月02日
  • 資本主義に出口はあるか

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    荒谷大輔(1974年~)氏は、東大文学部卒、東大大学院倫理学科博士課程単位取得退学の哲学者。江戸川大学基礎・教養教育センター長兼社会学部人間心理学科教授。
    本書は、前半で、18~21世紀の様々な社会思想の展開を、ジョン・ロック(1632~1704年)とジャン=ジャック・ルソー(1712~1778年)の思想の対立で描き、後半で、それらを踏まえてできている、我々が生きる「この社会」をゼロから見直してみようと提案するものである。
    論旨は概ね以下である。
    ◆ロックの社会契約論は、(但し書き付ではあるが)「私的所有」を核とし、17世紀の名誉革命後の英国の進むべき方向を示すと同時に、アダム・スミスを祖とす

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    2021年10月28日
  • 資本主義に出口はあるか

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    ロックとルソーは、それぞれに王政に代わる近代的な社会システムを構想したが、この二人の社会契約論の著者の対立は、右/左が問題になる最初の場面での軸となった。ロベスピエールは、ルソーのように生きることを誓ってフランス革命をテロリズムに導いた。より穏健な改革を求めた人々は、ロックの名誉革命を範にブルジョワジーの権利を代表した。

    ロックは名誉革命が実現する中で社会契約論を書き、私的所有を核とした近代社会の構想は、イギリスにおいて自由経済政策を推し進めたホイッグ党の理論的支柱となった。ロックの議論を基にアダム・スミスによって展開され、デイヴィッド・リカードが体系化した理論が、今日の経済学の原型となった

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    2020年02月07日
  • 資本主義に出口はあるか

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    これはいい。こういう試みこそもっと活性化させるべきなんだろう。ロックとルソーが描いた自由と平等をベースに、これからの社会のあり方を人文科学の観点から探ろうとする。もちろんここで提言されていることが正解というわけではない。だけど今とは違う社会システムを模索する議論がもっと沸き起こっていいはずなんだ。今こそ社会科学の出番なのだ。

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    2020年01月13日
  • ラカンの哲学 哲学の実践としての精神分析

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    ラカンのテクストを年代順にとりあげ、その哲学的な意義を解明する試みです。精神分析の実践の場面からラカンのテクストを読み解くのではなく、あくまでテクストに内在的な解釈をおこなっているところに、本書のもっとも大きな特徴があります。

    ラッセルのパラドクスやうそつきのパラドクスに対するラカンの考えを整理している箇所や、晩年のボロメオの環をめぐる議論につきしたがってていねいな検討をおこなっている箇所は、個人的には興味深く読めましたが、不毛な試みに感じる読者もいるかもしれません。ただし、本書がめざしているのは、あくまでラカンのテクストの整合的な解釈を示すことであり、そのかぎりにおいて本書の議論はじゅうぶ

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    2019年12月15日
  • 資本主義に出口はあるか

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    ネタバレ

    以前より英米系の自由と仏独系の自由ってだいぶちがうよなあ~って思っていた所へ、ロック/ルソーの違いから説き起こしてる本書に出会ってので読んでみることにした~

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    2019年09月22日
  • 贈与経済2.0 お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす

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    文体が堅苦しくてちょっと読みづらい。
    前半は抽象的一般的な話で、だんだん面白くなってきたところ、後半は急に具体的な実装の話になってしまってついていけなかった。
    解決策ももうちょっと抽象的なところから始めてほしかった。

    自分の考えとしては、選挙を通じて税の使い道を選ぶのではなく、税を納める先を選びたい。ふるさと納税の拡張。政策単位で納税したい。
    株式会社で利益を法人の所得税として納めるのではなく、社会に向けた事業にお金を使って経費とするとか。

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    2025年12月07日