ジャン=バティスト・マレのレビュー一覧
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ネタバレ世界の中心都市としての世界コミュニケーションセンターを建造するという話は、今まで全く一度も聞いたことがないし、本書のタイトルから全く現在には存在しない・受け継がれてもいないのだと思った。
本書は19世紀末〜20世紀序盤(第一次世界大戦前後)に理想都市を追い求めた彫刻家(一応建築家ではないはず)とそれを支援するオリヴィアという二人の理想家のノンフィクション。
本書の見た目と話題からして若干読みづらいかな?とおもったのだけど、とても読みやすくて一気に読んでしまった。
本書の実質的な主人公であるヘンドリックとオリヴィアが構想していた理想都市は、元々の構想が壮大だっただけでなく、要求仕様が膨れ上がる -
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トマト缶にまつわる真実の話。
世界的な産地はおよそ三カ所。
南欧、中国、アメリカ。
このうち、中国とイタリアに焦点を当てている。
①中国
元々国内でのトマト加工品の消費はほとんどなかった。余った土地と労働力でトマトの生産と濃縮をして、ほぼ全量を輸出していた。安かったことから、シェアが急速に拡大する。
この濃縮トマト生産は利益率が低かったので、世界の主要メーカーは自社生産をやめて中国の濃縮トマトを加工して自社製品を作るようになっている。中国の3倍濃縮トマトを輸入して水を足し、イタリアの工場で2倍に変えてイタリア産として売られている。世界のイタリア産トマトは実は中国産という実態や、ラベルを変える -
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食料品はついついまとめ買いをしてしまっています。
トマト缶は以前は200円くらいしたと思うのですが最近は100円で売っているし、まとめ買いすれば1缶70円ぐらいにもなっています。
こんなに安くていいの?という疑問もあったのですが、安いのはありがたいのでやっぱり買っていました。
そんなところにこの本を見かけたので読んでみました。
フランスのジャーナリストによる、トマト缶生産過程と流通のルポタージュですが、その問題点として資本主義の問題点、労働者搾取問題などの根本に話が及んでいます。
まずは原材料であるトマトの収穫。
トマト加工品と言うと、八百屋で売られる赤く丸く瑞々しい姿を思い浮かべるが、 -
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トマト缶の原料は、いつも見ている丸いトマトではなく、加工用の濃縮トマトかも知れない。
2倍濃縮というのは、煮詰めて濃縮したのではなく、3倍濃縮に品種改良されたものを薄めたものかも知れない。
原料のトマトは、貧困地域(新疆ウイグル自治区とか)で低賃金労働によって搾取されて栽培されたものかも知れない。
何も気にしなければ、こうしたものを購入している可能性はありますね。需要があれば、供給もある。コーヒーのフェアトレードというのは認知されてきたと思いますが、トマト缶の世界にも同じような話があるのですね。
スーパーで何気なく手に取るトマト缶の値段の差は、こうした背景があるということを知ること、行動を変 -
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帯に書いてある「イタリアで出版禁止」の文言を見て、「全世界に向けて蓋を開けたのに肝心の場所で封をするってどうなの?」と一人ツッコミを入れた。トマト缶に限らず食料品の製造工程には生産者や工員の労働環境や添加物など何かしらの問題がついてくる。トマト缶に限って、今(と言っても刊行されたの3年前だけど)言わなきゃいけない「黒い真実」とは?
落ち着いた語り口調だけど調査で訪れた場所や人々の様子を克明に描写してはって、写真が一枚もないのにページをめくる手が止まらなかった。ハインツ社の栄光から全世界に散財する忌まわしき生産過程に至るまでの大博覧会。
思い込みが覆される時ほどゾッとするものはない。自分にそ -
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原産地偽装という事ではなく、それはルールとして表示義務がないのなら、悪い事ではないのだろう。加工食品におけるそんな話は山ほど転がっているから、トマトを一つの例に、色んな食材の話が紹介されるのかと思った。しかしこの本、全てトマト。オールトマト!故に、取材が深い。
最も悪いのは何か。原産地を隠したマーケティング?ウイグル問題?収容者の強制労働?添加物?賄賂?アフリカ人への雇用条件?それとも、新疆からガーナまでの一帯一路の覇権思想?違法なのかはグレーだが、単純に、こんなものは食べたくない。こいつらは良心的ではないし、知識的にも資本的にも弱い者を、狡賢く搾取している。そんな風に感じてしまう。
搾取 -
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たまには小説を離れドキュメンタリーなどを読んでみた。
普段目にする、手にする、食にするトマトペースト。大手スーパーに堂々と並ぶこれまた大手メーカーのトマト加工品の裏舞台を暴く、その取材の尽力には脱帽する。
他国の技術は貪欲に吸収し、そして自国の技術は一切公開しない中国大陸の恐ろしい真実。
この濃縮トマトの缶詰は氷山の一角で養殖ウナギやミルクパウダー、有害物質の検知でなんども問題になる食の安全を崩壊させる中国だが、決して中国そのものが悪いのではない。コスト重視、販売拡充、利益追従、安く売れればなんでもいい、そして安けりゃ安いほどいいという需要と供給が完全一致した市場が人権無視、安全無視の商品を生 -
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さて問題です
濃縮トマトの生産と輸出の国はど~こだ?
イタリア?フランス?トルコ?
正解は中国でした~!
「でもスーパーのトマト缶ってイタリアが多くない?」
実はそれって…
さてさて、トマト缶の恐ろしい真実を知って本当にその缶を買えますか?
世界各国のスーパーに並ぶトマト缶
農産物の加工品と思ったら大間違い!
ラベルのトマトとは似ても似つかないトマトを使用
中国産の濃縮トマトをイタリア産として販売する会社
イタリアのトマトの収穫などで奴隷のように働かされる人々
今やトマトは麻薬以上に利ザヤを稼げるアイティムに!?
アグリマフィアたちが狙うトマト市場
カポラーレとゲットーの存在
さらに世界中が -
Posted by ブクログ
中国・新彊ウイグルの生産地で収穫されたトマトが世界中に輸出されている。特にアフリカやヨーロッパで消費されるトマト。中国の軍や、イタリアのマフィアが関わりながら。
資本主義の行き着くところ、人間の欲望の行き着くところのディストピア。3倍濃縮のトマトを水で薄めて、大量の添加物を加えて、2倍濃縮のトマト缶として売り出す。南イタリアのイメージを添えて。実際には、トマト缶の中身の60%は添加されたトマト以外の物質で、トマトは中国で生産、加工されているにも関わらず。
酸化して真っ黒になった濃縮トマト、異様な匂いのする濃縮トマトが、添加物によって赤い濃縮トマトに蘇って、そして流通していく。資本主義にと