石塚由紀夫のレビュー一覧
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資生堂が働き方改革、特に子育て世代の女性を中心としたものの取り組みを紹介したもの。
女性活躍のことを本気で考えたいのであれば、ぜひ一度読んでもらうと良い本だと思いました。特に子育て支援制度だけでは女性活躍とはいえないということを痛感しました。
読むと考えさせられる部分が少なからず出てくるのではないかと思います。
女性活躍の施策というと、子育て支援制度になることが多いが、これはあくまでも女性が働き続けることができるのであって、社員のロイヤリティー(忠誠心)とエンゲージメント(帰属意識)を高めることもあるが、限定的である。ここに、やる気とモチベーションを高める施策が加わって、初めて女性活躍の舞台が完成することを忘れてならない。
さらに、男性管理職や夫の巻き込みも重要。子育て職員=戦力外という空気が女性社員のやる気やモチベーションを削ぐ。ただ、女性社員だけが悪いのではないことに注意したい。
以下は資生堂の具体的な事例を書いたものです。興味があればお付き合いください。
まず、素直に資生堂が行った子育て世代の働き方改革を知ると悪い印象が生じてしまうが、しっかりとした配慮のもとに行われたことに注意したい。簡単に背景は書いたものの、著書ではもっと丁寧に紹介されています。
・資生堂は子育て支援制度が充実しており、国内トップクラスの状態。
・もともと資生堂は約8割が女性社員で、特に現場(ビューティーコンサルタントと呼ばれる化粧品コーナーで販売する方)の女性の約1割が子育て支援制度を活用。
・他方、子育て支援制度を活用することにより同僚がフォローする必要があり、業務内容や時間・曜日(休日出勤)に不公平さがあり、不満も出つつある。また子育て支援制度を活用している職員自身も後ろめたさがあり。
そうした中、
・管理職はマタハラや子育て支援制度活用者への使えない烙印を押しがちで、コミュニケーション不足。
・子育て支援制度活用者本人もマミートラックという簡単な事務作業やルーティンワークといった仕事の質が落ちた業務をして、キャリアアップが望めないし、やる気も削がれる状態になっていた。
会社としても子育ての大変さも理解して配慮した上で、子育て世代にもフルタイム職員と同じような働き方が少しでもする(遅番、休日出勤など)ように要請。無理強いはしないし、今後のキャリアや子育てと仕事を両立してるからこそ得られるスキル(効率性など)を評価する会社の方針なども丁寧に伝えて、子育て世代の女性の働き方改革を進めて会社と社員のウィンウィンの関係を築いている。
以下は面白い考察と思ったものを紹介です。
・子育て支援制度を充実させた企業ほど損をする傾向あり。
例として、将来を期待する女性社員が出産を機に子育て支援制度をフルに活用し、ようやく子育てがひと段落したところで、夫の海外赴任についていくため辞めるというもの。退職時の挨拶で女性社員は「子育て支援制度で子育てに集中することができ、そのおかげで夫は仕事に集中できて海外赴任のチャンスを掴めた。ありがとうございました。」
これでは、子育て後に女性社員を期待した会社、子育て支援制度による穴をフォローした同僚などは何も得をせず、子育て支援制度と関係ない夫の会社だけが得をした形になる。正直者が馬鹿を見る典型で悲しい社会現象。 -
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ネタバレ少し前の状況ですが、今でもまさにこんな感じの会社や組織は多そう。なぜ、女性活躍推進なのか、ダイバーシティって何、みたいな人におすすめ。
コロナで非正規雇用の女性は煽りを食らい、女性の自殺者の比率も上がってしまい、女性活躍推進は後退しているのが現実です。2018年刊のこの本の中にも、書かれていますが、形だけの女性活躍推進は意味がない。将来的に人手不足が予想され、その解消に女性活躍が必要で、企業のために役に立つ働き手になってほしいのだとしたら、そのように育てる環境やシステムを工夫しなければならない、という内容には、深く共感しました。
第6章で紹介している、ダイキン工業の女性活躍推進に関する取り組み方針の冒頭で「意欲・能力ある人材には男性と同等に修羅場を与え育てるとともに、競争社会で勝ち抜いていく覚悟を求める」と明記し、後段で「数字合わせの女性優遇の登用は行わない」と断言している。のくだりでは、こういう企業もあるのか、と嬉しくなりました。
東京海上日動火災と東京海上ホールディングスのアンコンシャス・バイアス研修での永野CEOの挨拶の「3つのK」の話も良かった。「期待して」「鍛えて」「(活躍の)機会を与える」。
私のところでもアンコンシャス・バイアス研修、必要だと思うな。 -
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「正社員の女性の7割が、自分を”負け組”だと思っている」というデータがあるほど、実感が伴っていない日本の女性活躍推進。その原因と対策について、様々な状況の40人の女性たちの本音を取材し、対策を提言する1冊。
「資生堂インパクト」を書いた日経新聞の編集委員石塚由紀夫氏の2冊目の著書です。女性活躍を取材テーマとしている著者による当事者たちへの丹念な取材によるルポタージュです。
「女性活躍推進法」のもとでの軋轢、"外れている"と感じる専業主婦や非正規雇用の女性、、、立場や状況によって課題が一人一人異なることは、”ママ”として生活していれば日々経験したり、見聞することですが、非当事者(本著の想定読者である男性の経営者や男性リーダー)は、まず何に困っているのかすら見当がつかないため、「女性だから〜男性だから〜」と全体論にして身構えてしまう。だから、本著のようなルポ形式で生身の人間の本音として伝える、というのは大切なことだと感じました。
著者は、個人に属するレベルも含め様々な課題を認識したうえで、それでも「女性」が活躍できるようにすることが日本にとって重要だ、と断言しています。当たり前のことですが、これをデータで示し、論理で示し、理性と感情に訴えと、何度でも言い続け、継続していかないと、これまで続いてきたやり方は変えられないのだと、改めて感じました。 -
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製造部も在宅勤務などと聞き、気になっていた「味の素」。改革の過程もきちんと記載してあり参考になった。ペーパーレス、フリーアドレスのよい面がわかった。
●残業を減らす、できるはずない壁をつきやぶるには、早い段階で労働実態を正確に把握すること。全員に行い、営業の削減すべきは移動と会議ということがわかった。
→移動の工夫、書類処理の簡易化、ネット会議システムの導入、サテライトオフィスの開設·活用
●残業が減らないのは、残りたいという気持ちがあるから→終業時間を16:30とした。夕方使える時間が増えた。
●フリーアドレス、テレワークが進まないのは、ペーパーレスにならないから。紙にすると、てにをは など、細かい作り込みが発生する。共用棚、個人棚を激減させた。捨てていいもの、PDF化できるもの、必要だけど見ないもの(契約書などは外部倉庫へ)、必要なもの。
●製造部も、在宅ワークできないか検討。その人しかできない仕事を減らした。
●仕事時間を減らすだけではなく、創造的なアイデアが生まれる工夫を怠らない。
●長時間労働の是正に取り組むべき理由
*人材枯渇社会の到来
*先進国最低レベルの生産性
*社員の健康管理、メンタルヘルス
*創造性の向上
豊かな時代になった今、組織内に多様な人材を抱えることがカギになる。
*企業の社会的責任
SDGsも見過ごせない。ジェンダーとは、社会的に作られた男女差のこと。生物が生来持つ性差はセクシュアリティ。 -
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資生堂が、それまで早番勤務が基本であった美容部員(ビューティコンサルタント、BC)に対して、遅番や休日シフトにも入るように要請したことは、賛否両論を呼び、資生堂ショックとも呼ばれた。
本書は、そのあたりの経緯、および、広く資生堂の女性活躍推進策について触れた本。
冒頭の美容部員に対する会社の要請が、批判的な意見を呼んだのは、子育て中の女性に冷たいのではないか、とか、それまで女性活躍先進企業と言われた資生堂が、考え方を変えたのでは、といったものであった。
実情は、少し異なるようだ。
資生堂は、BCに対して、遅番や休日シフトに入ることを強制はしていない。一人一人の実情を、全て上司が面談で確認をして、可能な範囲で、という要請をしている。
また、デパートなどの化粧品売り場が活況を呈するのは、夕方や休日であり、早番だけを繰り返していると、そういった時間帯も働く社員に対して、育成上のハンディを負うことになるようであり、また、早番だけの社員がいることは、忙しく働く、遅番や休日シフトもこなす社員のモチベーションに決して良い影響は与えない。
資生堂のBCは、約1万人。
資生堂は、国内での売り上げの多くを、このBCに負っているわけであり、BCの活性化は、資生堂にとっては、非常に重要な経営課題である。
この要請は、脈拍なく行なわれたものではなく、BCの働き方改革の一環として行なわれたものでもある。