イギリスの作家「モー・ヘイダー」の長篇ミステリ作品『喪失(原題:Gone)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いていますね。
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【アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長篇賞受賞! 】
当初は単純な窃盗と思われたカージャック
...続きを読む事件。
だが強奪された車の後部座席に乗っていたはずの少女はいっこうに発見されない。
捜査の指揮を執る「キャフェリー警部」の胸中に不安の雲が湧きだしたとき、今回とよく似た手口の事件が過去にも発生していたことが判明した。
犯人の狙いは車ではなく、少女だったのか!
事件の様相は一変し、捜査に総力が注がれる。
だが姿なき犯人は、焦燥にかられる警察に、そして被害者の家族に、次々と卑劣きわまる挑発を……屈指の実力派が、MWA賞最優秀長篇賞の栄誉を射止めた力作。
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2010年(平成22年)に発表された「ジャック・キャフェリー警部」シリーズの第5作… 「キャフェリー警部」は、シリーズ開始当初、ロンドン警視庁・圏内重要犯罪捜査隊に所属していましたが、シリーズは第2作で打ち切られ、数年の時を経て「ウォーキングマン」という脇役を伴い、ブリストル市のエイボン・アンド・サマセット警察・重大犯罪捜査隊に異動させて再開したシリーズです、、、
小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。
11月の下旬のある日、スーパーマーケットの駐車場で、買い物を終えた女性「ローズ・ブラッドリー」がサンタクロースのゴムマスクをつけた男に車を奪われるという事件が発生した… 車に娘の「マーサ」が乗っていたとの連絡を受け、重大犯罪捜査隊が捜査に乗り出す、、、
その指揮を任された「ジャック・キャフェリー警部」は、当初、誘拐目的ではなく単なる車両窃盗事件だ、娘はすぐに返されるはずだ、と安易に考えていた… だが、以前、一緒に仕事をしたことのある潜水捜査隊の「フリー・マーリー巡査部長」からの指摘により、未遂に終わったものの過去に同様の事件が2件あったことを知る。
念のため2件の被害者たちに話を聞いた「キャフェリー警部」は、犯人の目的が車ではなく、社内の少女かもしれないと考えるようになる… やがて犯人から、それを裏付けるような内容の手紙が届く、、、
だが、懸命の捜査を進める「キャフェリー警部」をあざ笑うかのように、犯人は常に一歩先んじて警察の裏をかきつづけるのだ… やがて有力な容疑者が浮上するが……。
2012年(平成24年)のエドガー賞受賞作で、同じく候補だった「東野圭吾」の『容疑者Xの献身』よりも評価された作品だということで期待が大きかったのですが… 良くできたミステリだとは思いましたが、それほどかなぁ… というのが率直な印象、、、
とはいえ、序盤はやや冗長な印象があるものの、真相が徐々に明らかになっていく中盤以降は読者をグイグイと引っ張っていく展開で愉しめました。
気になったのは「フリー・マーリー巡査部長」に感情移入し難いと感じた部分かな… 前作までを読んでいると印象が違ったのかもしれませんけどね、、、
「プロディ」の言動は、序盤からちょっと怪しいと感じていましたけどね… 及第点の面白さでしたね。
以下、主な登場人物です。
「ジャック・キャフリー」
重大犯罪捜査隊の警部
「パルッツィ(ロラパルーザ)」
重大犯罪捜査隊の部長刑事
「ターナー」
重大犯罪捜査隊の部長刑事
「プロディ」
重大犯罪捜査隊の刑事
「フリー・マーリー」
潜水捜索隊隊長の巡査部長
「ウェラード」
潜水捜索隊隊長の副隊長
「トム」
フリーの弟
「ジョナサン・ブラッドリー」
教区牧師
「ローズ」
ジョナサンの妻
「フィリッパ」
ジョナサンの長女
「マーサ」
ジョナサンの次女
「ダミエン・グレアム」
セールスマン
「ローナ」
ダミエンの妻
「アリーシャ」
ダミエンの長女
「ニール・ブラント」
市民相談局員
「シモーン」
ニールの妻
「クレオ」
ニールの長女
「コーリー・コステロ」
マーケティング・コンサルタント
「ジャニス」
コーリーの妻
「エミリー」
コーリーの長女
「ニック・ホリス」
家族連絡担当官、刑事
「ミスティ・キットスン」
行方不明の女性
「ウォーキングマン」
ホームレス