モー・ヘイダーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
低く垂れ込める灰色の空と降りしきる雨。光も届かぬ危険な地底と淀んだ運河。描かれる情景も人間関係もどこか北欧ミステリを彷彿とさせる。
犯行目的が上手い具合に隠され、二転三転する事態はミステリとしては巧妙なのだと思う。が、あまりにも進まない捜査状況が読んでいてもどかしく、犯人が利口というよりは警察が無能すぎるのではないかと思ってしまう。加えて、キャフェリーとフリーのあの隠蔽が悪い意味で気になって事件に集中できず、さらには二人に共感も魅力も感じられないとなれば、必然ページを捲る手が遅くなるというものだ。ただ、シリーズ途中作品のようなので、それゆえの共感欠如なのかもしれない。
犯人側の視点がなく、 -
Posted by ブクログ
冒頭のエピソードが、いきなりげげっというスプラッタな感じ。それもあってか、途中まではなかなか話に入り込めなかった。半ばくらいからはズンズンと読み進めて、結局は一気読みに近かった。引き込まれるストーリーだと思うが、自分の好みとしては前作の「喪失」の方が良かったように思う。サスペンスの質がちょっと神経に障る感じがするもので。
本書はシリーズ中で「喪失」に続くものらしいが、「喪失」より前の作品は絶版だったり未訳だったりするそうだ。それでシリーズ全体での位置づけが見えないせいかもしれないが、二つの事件が並行して語られる必然性がよくわからなくて、その点が残念。 -
Posted by ブクログ
ローズ・ブラッドリーの車が、とある男に奪われた。その車には、幼い娘マーサを乗せたままだった。突如起きたカージャック事件だったが、重大犯罪捜査隊警部であるキャフェリーは、同時に連れ去られた子供に関しては、すぐに戻されるだろうと見ていた。
しかし、24時間経過してもマーサは見つからず、事件は複雑な様相を呈する。
ジャック・キャフェリー警部、フリー・マーリー巡査、ジャニス・コステロの視点を移りながら物語は展開していく。その他、ニック、ウォーキングマン、ポール・プロディなど魅力的なキャラクタが作品を彩る。
なんだかよくわからない関係性をたいして説明もなくさくさく飛ばして行くな、と思ったらこれシリーズ