例えばマイノリティやフェミニズムに目配せしたような題材の小説があったとして、にもかかわらず作者自身の古臭い考え方が文章から露呈しているもの(社会的なものでしかないジェンダー観を所与のものと捉えてるっぽい、地の文で男性は苗字で女性は名前で表記するという慣習を疑問に思ったこともなさそうな書きぶり等)が少なくない中で当たり前に著者はそんなこともなく、物語を楽しむために不快な部分に目を瞑ることもせずに読める貴重な作品集でした。こういう作家さんが増えていくといいな。長編のババヤガは既読でしたが、こちらは短編集でより多彩な味付けを楽しめました。