岡真理のレビュー一覧
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岡 真理はアラブ文学研究者だが,ポストコロニアル・フェミニズムという,現代思想の流行のテーマを扱っているため,『現代思想』などにも寄稿していて,いくつか文章を読んだことはあったが,著作を読むのは初めて。
彼女の文章は少し不思議なところがある。もちろん,テーマ的にも難解な箇所があるのに,さらっと読めるのだ。まあ,それは小冊子で書き下ろしという,このシリーズものだからこそかもしれませんが,女性的なのかもしれません(などとフェミニストに対して書くのはどうかとも思いますが)。
本書の中心にはパレスチナ問題がある。はっきりいって私は戦後60年続いているこの問題について知るようになったのは,研究を始めて少 -
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パレスチナ人難民の虐殺事件や第二次世界大戦中におけるホロコースト、あるいはいわゆる従軍慰安婦に関する問題などを手がかりに、記憶の表象可能性の限界を指摘するとともに、そうした限界を超えて語ることへの希望を示そうとする試みです。
ガヤトリ・スピヴァクの『サバルタンは語ることができるか』以来の問題設定を踏襲しており、こうした議論に食傷ぎみの読者は不満をおぼえるかもしれません。たしか内田樹も、そうした批判を展開していた記憶があります。とはいえ、個人的には本書で紹介されているいくつかの議論を通じて、記憶と物語をめぐる問題のさまざまな切り口を見ることができて興味深く読みました。
バルザックの『アデュー -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
或る出来事―しかも、暴力的な―体験を物語ることは、果たして可能だろうか。
もし不可能なら、その者の死とともに、その出来事は起こらなかったものとして、歴史の闇に葬られてしまうだろう。
出来事の記憶が、人間の死を越えて生きのびるために、それは語られねばならない。
だが、誰が、どのように語りうるのか。
記憶と物語をめぐるポリティクスを、パフォーマティヴに脱構築する果敢な試み。
[ 目次 ]
1 記憶の表象と物語の限界(記憶の主体;出来事の表象;物語の陥穽;記憶のポリティクス)
2 表象の不可能性を超えて(転移する記憶;領有することの不可能性;出来事を生きる)
3 基本文献案内
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