橋本勝雄のレビュー一覧
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後半ではミステリー要素が漂うものの、ほぼ全編に文学的素養が詰め込まれ、実に豊かな読書体験となりました。これほど教養の何たるかを突きつけられたことはありません。このような会話をしてみたい、と心底思ったし、膨大な読書経験の中からこれと思う場面が引き出せるヴィンチェは尊敬しかできません。たくさん本を読んできましたが、自分の人生を象ってはいないなあ、としみじみ思ってしまいました。ミステリーばかり読んでるから仕方ないんですけどね。ヴィンチェの語りで文学の素晴らしさを改めて感じました。文学を学んでいた学生時代も思い起こされ、素敵な余韻に浸れました。こういう作品も読んでいきたいな、と思えています。そして、私
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ネタバレ読書セラピストが次から次へと人々のお悩みを、本を処方することで華麗に解決していくのかと期待していた。そしたら、未熟な読書セラピストがカウンセリングに失敗ばかりしているお話だった。
期待外れ。
海外文学は読むけど、文章に海外文学特有のキザな言い回しも読む気を削いだ。
読むのを止めようかと思ったけど、もう8割まで読んでいた。
でも、ミステリーの部分が気になって、どんな結末を迎えるのか知りたくて、ページを進めた。
読んでよかった!そういうことだったのか!
それに途中途中、「失踪」をテーマに扱う『ウェイクフィールド』という作品が出てきたのは、そういうことだったのか!
と、二回膝を打った。 -
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ネタバレタイトルの通りに全て作者の異なる9作品を収録しているのですが、どの作品も面白くて、かなり充実したアンソロジーでした。
以下、特に気に入った作品の感想を記します。
「木苺のなかの魂」
男爵が見た目はそのまま急に乙女になってみんなが戸惑うというお話で、幽霊ものではあるのだけど少しコミカルな感じもあってこのパターンは昔から定番なんですね。
書き出しのところの、人から聞いた話だけど、仮にKとするみたいな感じのパターンも定番ですよね。
「ファ・ゴア・ニの幽霊」
これが一番好き。
ある人物の命と引き換えに幸福を手に入れた主人公の前にその人物の霊が現れるお話。
何がすごいって、このタイトルに -
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偉大なビブリオ本 主人公は、元国語教師。
登場人物は主人公も含めて皆悩み苦しんでいる。それぞれの人物にはそれぞれの事情があって、本を紹介することによってセラピーしていこうとするのだ。うまくいかなくて落ち込むこともある。
登場する本は、いずれも読んだことのない本ばかりだったが、主人公や彼の友達の本屋の店主による本の紹介や分析が素晴らしかった。
読書セラピストという職業が本当にあるのか調べてみたところ、イギリスでは政府公認。イスラエルでは国家資格になっているそうだ。英エセックス大学の研究によると、読書によって軽減されるストレスは68%で、音楽鑑賞やゲームなどよりも上回るそうだ。
イ -
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元国語教師のヴィンチェは、恋人と別れ、職もなく、ローマのワンルームで読書セラピーを開業する。
癖の強い女性客を相手に内心冷や汗をかきながら対応する日々。
そんな中、階下に住む、老婦人が失踪した。
警察や隣人たちは同居の夫が殺したのではと疑うが。
ヴィンチェは行きつけの本屋の友人から、失踪したパロディ夫人が残した小説のリストを手に入れ、彼女の失踪を考え始める。
心理的症状を緩和する本を薦める読書セラピストが、失踪した老婦人の謎にせまるというので、もっと淡々と冷静に展開していくかと思えば、生い立ちから彼女との確執とか悶々と長々と語られて、何度も挫けそうになった。
欧米文学もあまり読んでないから、 -
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編訳者によれば、
リアリズムが重んじられたために発展が遅れたものの、
19世紀半ば、E.A.ポオ作品の輸入と、
独自の文学運動の波によって花開いたという
イタリア幻想小説から選りすぐられた9つの短編が収録されている。
主なテーマは「死者の帰還」「強迫観念」「奇譚」といったところ。
もっと“変な話”を期待していたが(笑)
意外にアッサリした理知的なトーンで、やや拍子抜け。
以下、ネタバレしない範囲で全編についてザッと。
■イジーノ・ウーゴ・タルケッティ「木苺のなかの魂」
Uno spirito in un lampone,1869
狩猟に出た青年男爵Bが喉の渇きを覚え、
木苺を摘んで食 -
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20世紀イタリアの小説家ボンテンペッリ(1878-1960)による児童文学作品、1922年。ボンテンペッリは、未来派のマリネッティ、形而上絵画のジョルジョ・デ・キリコ、メタ演劇のピランデッロなど、20世紀イタリアの前衛運動の影響の中で創作し、のちに「魔術的リアリズム」と称される幻想的な作品を多く発表することになる。
鏡というモチーフには底知れぬところがある。それは鏡によって生起する二種の区別のイメージから来るように思われる。
■第一の区別、形而上学的区別或いは超越的・存在的区別
第一に、個体とその像とに重ねられる階層的区別・対比・隔絶のイメージである。例えば、現実/幻想、現/夢、実/虚、