橋本勝雄のレビュー一覧

  • 読書セラピスト

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    題名からしての推測を大きく離れた読後感。
    スタジオを開いたコルソの最初の客はパロディ夫人(ここでなんか笑えるところ)汗顔の時間となった最初のセラピーはコルソの心に澱を残した・・で後日上がった死体。夫に嫌疑~その後は操作や背後事情の語りが無く、コルソの商売ぶり?が淡々と続く。
    乾いた語りながら コルソの教養の凄さに圧倒されるばかり。
    まるで手相観のお婆さんの様に「読んだ本の履歴を聞くだけ」ばっちりの相性本を推奨できるという天才肌。

    とはいうものの、ド・パルデュー似を数か所で呟く彼・・装丁からすると細身イケメンのイタリア人と結構のずれが有る。
    読書セラピストという民間資格が有る無は別として、この

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    2022年11月02日
  • 読書セラピスト

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    ローマのアパートで読書療法のスタジオを開いたヴィンチェ・コルソを訪れる文学に救いを求める女性たちに適切と思われる本を紹介する物語。アパートに引っ越してきて2週間後、近所の老婦人パロディの失踪事件が発生し、真相を探ることにもなる。物語のストーリーよりもクライアントに勧める様々な本、未読の本に興味をそそられる。

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    2022年05月13日
  • 読書セラピスト

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    元国語教師のヴィンチェは、恋人と別れ、職もなく、ローマのワンルームで読書セラピーを開業する。
    癖の強い女性客を相手に内心冷や汗をかきながら対応する日々。
    そんな中、階下に住む、老婦人が失踪した。
    警察や隣人たちは同居の夫が殺したのではと疑うが。
    ヴィンチェは行きつけの本屋の友人から、失踪したパロディ夫人が残した小説のリストを手に入れ、彼女の失踪を考え始める。

    心理的症状を緩和する本を薦める読書セラピストが、失踪した老婦人の謎にせまるというので、もっと淡々と冷静に展開していくかと思えば、生い立ちから彼女との確執とか悶々と長々と語られて、何度も挫けそうになった。
    欧米文学もあまり読んでないから、

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    2022年05月07日
  • 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集

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     19世紀後半の、日本では全く知られていないイタリアの作家たちによる幻想短編集。
     怪奇小説であっても全体的にあまり暗いトーンを感じず、明るい雰囲気がある。
     無数の作品から選び出したアンソロジーなのだろうから、確かに様々なアイディアによる短編が集まっており、それはなかなか楽しい。が、「これは」と身を乗り出すようなものは見つからなかった。まあ、何となく楽しんで読めばいい、という本ではあるだろう。

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    2022年04月29日
  • 読書セラピスト

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    読書セラピストが下階の失踪事件容疑となり、さまざまな女性の話を聞きながら、容疑を晴らすストーリー。
    小説を前にする子どもにかかれているが、あのキラキラした目を見るとあの頃に戻りたいと思ってしまう。

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    2022年03月23日
  • 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集

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    「知られざる」イタリア19世紀作家のの幻想短編集。とくにアッリーゴ・ボイト『黒のビショップ』、ルイージ・カプアーナ「夢遊病の一症例』、ヴィットリーオ・インブリアーニ『三匹のカタツムリ』が面白かった。とくに『黒の…』は極めて劇的、と思っていたら、ヴェルディのオペラの台本作家ということで成る程と納得。
    イタル・カルヴィーノの評価が19世紀の文学の評価に(評価を下げる方向で)影響をあたえているというのも興味深い話。

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    2021年03月22日
  • 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集

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    編訳者によれば、
    リアリズムが重んじられたために発展が遅れたものの、
    19世紀半ば、E.A.ポオ作品の輸入と、
    独自の文学運動の波によって花開いたという
    イタリア幻想小説から選りすぐられた9つの短編が収録されている。
    主なテーマは「死者の帰還」「強迫観念」「奇譚」といったところ。
    もっと“変な話”を期待していたが(笑)
    意外にアッサリした理知的なトーンで、やや拍子抜け。

    以下、ネタバレしない範囲で全編についてザッと。

    ■イジーノ・ウーゴ・タルケッティ「木苺のなかの魂」
     Uno spirito in un lampone,1869
     狩猟に出た青年男爵Bが喉の渇きを覚え、
     木苺を摘んで食

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    2021年02月08日
  • 19世紀イタリア怪奇幻想短篇集

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     イタリアの幻想味のある文学というと、カルヴィーノやブッツアーティを読んだことはあるが、本書は「19世紀」という括りでまとめたものである。こうした入手しやすいアンソロジーでなければ、おそらく一生読むことのなかったであろう作品に出会えたことに、先ずは感謝を申し上げたい。
     
     また解説で、イタリア文学に関する一個の幻想文学論を読むことができたことで、文学史的な知識も得ることができ、大変参考になった。

     幻想文学好きであれば、気にいる作品がきっと何編かはあると思う。

     

     

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    2021年01月17日
  • プラハの墓地

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    1週間位かけて読みました。当初は全然内容が頭に入ってこないし、時間をかけても全くページが進まないことに驚愕。勉強してから再度読み直したところ、ぐいぐい入ってきました。後ろに年表があるのですが、1897年からのイタリアを主軸としたヨーロッパの歴史を読みやすく小説の形にした模様です。主人公以外全て実在の人間っていうのもすごい。よく調べて肉付けできたな。挿し絵も沢山載っていて私物だそうです。内容はユダヤ人陰謀説です。そもそも今のユダヤ人って、昔のユダヤ人と人種違うんですよね?昔はもっとアジア人ぽかったらしい。

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    2019年02月03日
  • 鏡の前のチェス盤

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    タイトルからも想像されるようにキャロルの『鏡の国のアリス』的おはなし。挿し絵も可愛く読みやすいです。私的イタリア文学のブームが再び到来しつつある。

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    2018年11月01日
  • 鏡の前のチェス盤

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    悪さをして閉じ込められた少年が、物置でチェス盤と大きな鏡に触ってはいけませんと言われながらお仕置き中。当然の如く鏡の世界のパラレルワールドに突入。そこはチェスの駒が動いていて、少年の住んでいる世界なんてのは、我々を必死こいて真似してかろうじて体裁を保っているそうです。その人達をさらに見下す存在も登場。そうですね、猫の額のような限られた世界で足を引っ張り合うよりも、もっと広い世の中に目を向け、グローバルな視点をもちたまえよ、そういうことなんですね。電車で鞄ぶつけ合っての場所取りはみっともない、そうですね。

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    2018年08月03日
  • 鏡の前のチェス盤

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    20世紀イタリアの小説家ボンテンペッリ(1878-1960)による児童文学作品、1922年。ボンテンペッリは、未来派のマリネッティ、形而上絵画のジョルジョ・デ・キリコ、メタ演劇のピランデッロなど、20世紀イタリアの前衛運動の影響の中で創作し、のちに「魔術的リアリズム」と称される幻想的な作品を多く発表することになる。

    鏡というモチーフには底知れぬところがある。それは鏡によって生起する二種の区別のイメージから来るように思われる。

    ■第一の区別、形而上学的区別或いは超越的・存在的区別

    第一に、個体とその像とに重ねられる階層的区別・対比・隔絶のイメージである。例えば、現実/幻想、現/夢、実/虚、

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    2018年05月27日
  • プラハの墓地

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    ネタバレ

    かなり時間と労力を費やしたが何とか読破。
    ヨーロッパ近代史についてほぼ無知だったので、耳にしたことのある人名や事柄を調べたりしながら読み進めていった。
    ミステリーやスパイ小説の要素もあり、差別・宗教・政治・陰謀etc…。密度と知識の深さがすごい!
    教科書では味わえない歴史のうねりが感じられる作品。
    「主人公のシモニーニ以外は実在の人物」という事実が、
    ある意味一番恐ろしい。
    もう少し読書力をアップさせてから再挑戦してみたい。

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    2017年01月15日
  • プラハの墓地

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    私には難しすぎて正直苦行だったけど(主要なヨーロッパ史が頭に入ってないとあかんなと),読んでよかったと思う。

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    2016年10月04日
  • プラハの墓地

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    エーコでなければその差別表現に物言いがついたかもしれないとも思う、偽書成立のメタストーリー。密度の高さ、知の海の深さに置いてけぼりにされながら、何とかすじだけでも、と追いすがる読書。

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    2016年07月12日
  • プラハの墓地

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    よく考えずに手を出したらとんでないお話だった。

    主人公はユダヤ人嫌いの祖父に育てられたシモニーニ。祖父の死後、公証人のもとで文書偽造に関わった彼はやがてその腕を買われ、各国の秘密情報部と接点を持つようになり、守備範囲を政治的な文書へと広げていく──というストーリー。主人公以外の人物はほぼ全員が実在。さまざまな人種、思想が入り乱れての陰謀、策略の上塗り大会。

    構成も凝っており、主人公とある神父の書簡のやり取りから始まる。主人公はこの神父と自分が同一人物ではないかと疑っており、そんな主人公の曖昧な記憶を埋めるかのように「書き手」が物語を補足する。書簡の中には身に覚えのない死体が登場し、時系列も

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    2016年05月03日
  • プラハの墓地

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    イタリアの近代史を知らないので,人物がよくわからないところもあって,面白さが半減したのかもしれない.表の歴史を知っていての裏の歴史なので,知識のなさが残念でした.できるならば参考文献で人物相関図や,簡単な事件の説明があれば読みやすかったと思います.悪人,シモニーニに魅力がないのも,この本の読みにくさの一因だと思うし,最後もしり切れとんぼのような感じだ.ただ,挿画は素晴らしいの一言.

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    2016年04月30日