【感想・ネタバレ】読書セラピストのレビュー

あらすじ

悩める人々に読むべき本を処方する、読書セラピーを始めたヴィンチェ。ある日、彼のスタジオの階下に住む婦人が失踪、状況証拠から夫が殺人の容疑をかけられる。読書家の彼女が残した本のリストからヴィンチェは真相を探る……。彼女はどこに消えたのか? 本当に夫に殺されたのか? 「失踪」「別の人生」「入れ替わり」といったテーマの読書歴のある彼女の真実は? シニカルで文学的で不思議な味わいのビブリオ・ミステリ。本書は、イタリアのミステリの賞・シェルバネンコ賞を受賞している。

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Posted by ブクログ

後半ではミステリー要素が漂うものの、ほぼ全編に文学的素養が詰め込まれ、実に豊かな読書体験となりました。これほど教養の何たるかを突きつけられたことはありません。このような会話をしてみたい、と心底思ったし、膨大な読書経験の中からこれと思う場面が引き出せるヴィンチェは尊敬しかできません。たくさん本を読んできましたが、自分の人生を象ってはいないなあ、としみじみ思ってしまいました。ミステリーばかり読んでるから仕方ないんですけどね。ヴィンチェの語りで文学の素晴らしさを改めて感じました。文学を学んでいた学生時代も思い起こされ、素敵な余韻に浸れました。こういう作品も読んでいきたいな、と思えています。そして、私もヴィンチェのドアを開けてみたいです。

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2022年03月21日

Posted by ブクログ

教職の仕事がうまくいかず、新しい仕事を始めたヴィンチェ。
彼曰く、[女性に対して無責任]な主人公は、読書セラピストとして、女性に踏み込んだ助言をして顧客を怒らせてばかり。
仕事では失敗が続き、不安を抱えながらの暮らしの中で、同じアパートに住む老婦人の失踪事件に引き寄せられるように手がかりを集め紐解いていく。
イタリアの街並みの様子や、彼の質素な暮らしを感じる描写から、隠されていた事実が明らかになった時のヒヤリとした静かな感覚は、予想外の恐ろしいものでした。
読書好きな方、ちょっと変わった推理モノを手に取ってみたい方にオススメです。

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2022年11月08日

Posted by ブクログ

表紙がハマスホイという時点で買ってしまうわけですが、”読書セラピスト”ってちょっとマユツバ(すみません)などと思いながら読んだ。だって、職業として成り立たせるのは相当難しいよね。まあ、本を紹介するセラピスト、ということで。

ミステリ度は弱いと思うけれど、ミステリ仕立ての読書案内、として面白かった。本の選択も幅広く、意外なものもあるし。出てくる本を知らなくても楽しめるとは思うが、でもやっぱり『ウェイクフィールド』は読んでいたほうが、より意味付けが深まるんじゃなかな。

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2022年02月26日

Posted by ブクログ

題名からしての推測を大きく離れた読後感。
スタジオを開いたコルソの最初の客はパロディ夫人(ここでなんか笑えるところ)汗顔の時間となった最初のセラピーはコルソの心に澱を残した・・で後日上がった死体。夫に嫌疑~その後は操作や背後事情の語りが無く、コルソの商売ぶり?が淡々と続く。
乾いた語りながら コルソの教養の凄さに圧倒されるばかり。
まるで手相観のお婆さんの様に「読んだ本の履歴を聞くだけ」ばっちりの相性本を推奨できるという天才肌。

とはいうものの、ド・パルデュー似を数か所で呟く彼・・装丁からすると細身イケメンのイタリア人と結構のずれが有る。
読書セラピストという民間資格が有る無は別として、この資格・・頂けないなぁ~読んだ主体の主観がかなり反映する感想になるのは当然、それを手立てとしてセラピーするってドロドロ過ぎない?
文中、ややもすると脳内レイプっぽい妄想をするコルソの呟きには湿ったモノも感じたし。

ただ、筆者スタッシ氏はローマ大学の司書あるだけの教養がもろに反映されていて才能の豊かさに驚嘆した。

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2022年11月02日

Posted by ブクログ

ローマのアパートで読書療法のスタジオを開いたヴィンチェ・コルソを訪れる文学に救いを求める女性たちに適切と思われる本を紹介する物語。アパートに引っ越してきて2週間後、近所の老婦人パロディの失踪事件が発生し、真相を探ることにもなる。物語のストーリーよりもクライアントに勧める様々な本、未読の本に興味をそそられる。

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2022年05月13日

Posted by ブクログ

元国語教師のヴィンチェは、恋人と別れ、職もなく、ローマのワンルームで読書セラピーを開業する。
癖の強い女性客を相手に内心冷や汗をかきながら対応する日々。
そんな中、階下に住む、老婦人が失踪した。
警察や隣人たちは同居の夫が殺したのではと疑うが。
ヴィンチェは行きつけの本屋の友人から、失踪したパロディ夫人が残した小説のリストを手に入れ、彼女の失踪を考え始める。

心理的症状を緩和する本を薦める読書セラピストが、失踪した老婦人の謎にせまるというので、もっと淡々と冷静に展開していくかと思えば、生い立ちから彼女との確執とか悶々と長々と語られて、何度も挫けそうになった。
欧米文学もあまり読んでないから、詳しい人はもっともっと楽しめるんだろうなあ。続編もあるようだし。
「彼女の身体は、T.S.エリオットの『荒野』に劣らず荒れ果てていて、オフェーリアと同じ狂気を、あるいは五十九歳でウーズ川に身を投げたヴァージニア・ウルフの最後の視線、あるいは、マルデルプルタの波に身をゆだねたティチーノ州生まれの若き女性詩人、アルフォンシーナ・ストルニの最後の視線を含んでいた。
いくつもの溺死の例がぼくの心に浮かんできた。自宅プールに落ちるグレート・ギャッツビー、深淵に飲み込まれるエイハブ船長、身投げするマーティン・イーデン、首に石をつけられ沈むピノッキオ。」

「想像するとか、思うとか、違いないとか…自分が物語の語り手と同じ表現を使っているのに気がついてる?」

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2022年05月07日

Posted by ブクログ

読書セラピストが下階の失踪事件容疑となり、さまざまな女性の話を聞きながら、容疑を晴らすストーリー。
小説を前にする子どもにかかれているが、あのキラキラした目を見るとあの頃に戻りたいと思ってしまう。

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2022年03月23日

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