村木美涼のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
意外な展開
社会人1年生の青年・坂出が、寂れた住宅街のアパートに引っ越す。変わり者揃いの住人たちが次々と接触してくる中、初めは戸惑いがちだった坂出も彼らとの交流を深めていく。学生時代の仲間・藤井との関係も次第に変わり始め…。
作品紹介を読んだ時の印象とは全く異なる話だったことに驚き。ある種、坂出の自分探しの物語とも言える。後半、藤井の説明台詞が多すぎたのは少々興醒め。 -
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皆さんのレビューで初めてミステリー大賞作品だと知った。
タイトルだけでは内容が分からない。読み始めると私の好きな、小さなアパートの住民同士の交流の話で興味を引かれた。主人公の社会人一年生・坂出も地味だが真面目で穏やかで好感持てる。
しかし読み進めると様々な違和感を感じる。
全く姿を現さないが『回覧板』なるメールで些細なことでもマメに送信する大家。それだけでなく坂出が入居する日も坂出の名前も住民全員に知らせている。
新たな入居者である坂出の勤務先まで大家に問い合わせ、勤務先に押し掛ける住民一家。
有無を言わせず部屋に押し掛け食事を振る舞う女性住民に、彼女に誘われ一緒に食事を食べに来る住民。
大 -
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岬の心療内科似通うふたばは、クリニックのテラスで出会った湯本守をもっと知りたいと思った。しかしクリニックの看護師たちは、クリニックにはその名前の人はいないと言う。
会社社長の藤倉は長い間探していた幻の絵画がみつかったと聞き色めき立つ。
店舗を中心に紹介している不動産屋の連城美和子は、喫茶店を開業したい長谷部に最適な物件を紹介する。
免許更新に行った営業マンの御通川は、自分に行方不明人捜索願いが出されていることを知らされ驚く。
全く関係のなかった4人が、少しずつ繋がっていく。最後まで4人が直接かかわり合うことはないのだが、一人の青年を軸にした謎が解き明かされていく。一人の人間が殺され、詐欺でそれ -
Posted by ブクログ
大学を卒業後、あるスポーツショップに就職。配属先は、この春完成したショッピングモール内。住む場所はその近くにあるアパートにした。そこの住民は、個性的な人達だらけで、良い意味でお節介である。最初は普通だった生活が、次々と起きる不思議な現象にじわりじわりと不穏な雰囲気を纏っていく。
「箱とキツネと、パイナップル」という謎の題名でしたが、読み終わってみると重要な鍵を握っていて、不思議な感覚がありました。はっきりとした答えがないまま終わったので、モヤモヤ感満載でした。
中盤までは、ミステリー?と思うくらい、ちょっとお節介な住民と共にハートウォーミングな生活を送っているのですが、ある出来事を境に雰囲気 -
Posted by ブクログ
大学を卒業後、職場近くのレトロなアパートに引っ越した坂出。そのアパートでは、大家さんがまめに回覧板メールを送信してきたり、住人も個性的な方ばかり。アパート前の空き地に出現するキツネの噂。大家さんのご主人の亡くなり方。坂出の亡くなった弟の話。アパートの日常そして坂出の周りに起こる不思議なこと。すべては解決するのか。新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作品。
タイトルだけでは想像もつかない内容だった。確かに箱もキツネもパイナップルも出てくるんだけれど。坂出の過去にまつわることが原因だけれど、全体的に重くならず、独特なふわふわ(?)空気感。そのふわふわが絶妙か。でも嫌いではない。 -
Posted by ブクログ
心療内科に通う短大生の相沢ふたばは、治療所で大学生の湯本守に出会う。守をもっと知りたいと思うふたば。が、彼は姿を消した。看護師に守の行方を訊くが、「そんな名前の患者は知らない」との答えが…/壁紙販売会社の社長藤倉一博は、数年来探し求めていた幻の油絵、〈六本の腕のある女〉をようやく見つけ出す。だがまもなくそれが贋作ではとの可能性が浮上し…/
四人の視点で代わる代わる話が進むので、どうしても進行はゆっくりに。それが作品全体のさらさらした手触りに繋がっているのかもしれないけど、ちょっと焦れた。物語が繋がっていくのも良かったんだけど、重なったところで鮮やかに景色が変わる、というのではなくただどこかで