村木美涼のレビュー一覧
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登場人物は4人。相澤ふたばは心療内科に通う短大生。藤倉一博は100年前に早世した画家の作品に魅入られた中小企業の社長。連城美和子は不動産会社の営業、喫茶店を買いたいと言っている長谷部が半年ほど物件を決めきれずその対応をしている。御通川(ミツカワ)進は自動車免許の更新に行くと、妻と小学生の娘と平穏に暮らしている自分に家出人捜索願が出されていると言われ、その後警察署へ出頭。
この4人の話が7つのシーンとなって次から次へと場面が変わりながら彼らの置かれた状況が変化して行きます。4人の置かれている年齢、立場に何ら共通点の無いまま、30年前の大雪そしてその事を思い出させるかのような数日前の大雪、こ -
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坂出和也がカスミ荘に入居して出会う様々な人物とのやり取りをまとめたものだが、出てくるキャラクターが特異で楽しめた.特に和也の友人の藤井が凄い.まず会ったのが103号室の前原翔真、でかい中学生で両親と住んでいる.201号室は新藤紗耶香、部屋には妙な柱が鎮座している.コンビニ店長の梅下は105号室.銀行員の北白川は205号室.203号室の早瀬は化学の高校教師で紗耶香は教え子.第二週の紗耶香の悲鳴の件、第3週のキツネ注意報の件、第4週の梅下の盗聴の件はそれぞれ面白かったが、和也の内面を藤井が解き明かす第5週が最高.弟の智也の失踪に絡む和也の心の問題.翔真の出自の話.面白い話がてんこ盛りの一冊です.
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ミステリといっても、殺人とかのハードなものではなくて、生活や人にまつわる謎なので、楽しめました。
が、推理は全くできませんでした。
それでもカスミ荘の人たちの個性的なこと、それぞれの人生が面白くて、十分楽しめました。
北白川さん、早瀬先生、梅下くんなど、男性たちがとてもユニーク。
大家さんのまめな回覧板の文章とか、主に推理する、冷静な藤井が、彼女じゃないって言わないなら・・・という可愛いことを言うところがすごく気に入っています。本筋と関係ないところにハマってすみません。最後にはちゃんと、えっ?!そうだったのか!!と思いましたから許してください。
他の作品もぜひ読みたくなりました。 -
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看護士をしている美咲は、職場で知り合った照明事務所で働く森本が手伝う写真展を訪れる。まだ準備段階の写真展は、元銭湯をそのままギャラリーにしたというちょっと変わった会場。森本の友人の写真展なのだが、その被写体は街に捨てられた粗大ゴミなのだ。そして美咲は、その写真の中に忘れられない冷蔵庫を見つける。
中学生の頃、自分にピアノを弾くことの素晴らしさを教えてくれたピアノ教室の先生・由貴奈との忘れられない思い出。美咲は、カメラマンの中野が 冷蔵庫の写真を撮った時のイキサツを教えてもらおうとするのだが…。
なぜ冷蔵庫?粗大ゴミの緑の冷蔵庫?設定が意外すぎるのに、ストーリーは淡々と違和感なく進む。読み終 -
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ネタバレ大学を卒業したばかりの坂出和也の新居は、一見普通のアパート・カスミ荘101号室。103号室には、中学一年生の一人息子・翔真がいる前川家、105号室にはコンビニ勤めの梅下、201号室にはアルバイトの進藤、203号室には高校の化学教師・早瀬、205号室には銀行員の北白川が住んでいるが、隣室の102号室に住む鈴木だけは正体不明で見かけることすらめったになかった。
チャイムが鳴ったり鳴らなかったり、和也の部屋を覗くかのような不審者が現れたり、隣の空き地に「キツネ注意報」の立て看板が立てられたりと、不審な出来事が続く。同時に、和也は子どものころから見る悪夢に悩まされていた。彼を気づかう大学時代の友人・