荒井良二のレビュー一覧

  • ゆきのげきじょう

    Posted by ブクログ

    荒井良二さんの絵本は、以前、長田弘さんとのコラボである、「水の絵本」、「空の絵本」を読みまして、その時の感想で、『大胆でラフなタッチでありながら、情景の目まぐるしい変化を丁寧に描いている』といったような事を書いたのですが、今回、新たに思ったのは、荒井さんの表現される絵って、まるで子供に見えている世界の情景を描いているのではないか、ということです。

    まず、私は、表紙の少年の顔に何か惹きつけられるものを感じ、しばし釘付けになる。
    それは、メランコリックでありながら、何かを必死で訴えたい、真っ直ぐな思いも感じられそうではあるが、どこかカラフルで夢に現れそうな光景とも思われる。

    しかし、それは私が大人だからそう思うのかもしれないと感じ、お子さんが見れば、おそらく何の違和感もなくて、物語本編の、人と造形物とのやや非現実的な構図も一切気にならず、夢中で読んでいくのでしょう。

    そして、その後の劇場の場面において、登場するのは皆、子供が描いた絵が動いているような者達の共演に、私は更に置いてけぼり感を増し、そこでのハイライトである、自然の凄まじさと美しさを剥き出しに描いたようなシーンに溶け込んでいる、少年の姿を見て、ああ、ここは子供だけの居場所なのかもしれないなと感じられました。

    また、私がそう感じられたのは、荒井さんの絵だけではなく、子供時代の、どう整理したら良いのか分からないような、やるせない感傷を繊細に表現している物語もあったからだと思います。


    ちょうちょが好きな友達の為に、お父さんが大事にしている、ちょうの図鑑を見せてあげたら、引っ張り合いになり、ページが破れてしまった。
    友達は貸して欲しかったらしく、夢中で図鑑を放さなかった事に気付かず、少年は、お父さんの大事な図鑑を必死で守ろうとした結果であった。

    別に誰が悪いわけでもないとは思いつつも、こんな時、根拠の無い不安感が押し寄せるのだろうし、おそらく、この少年はお父さんが大好きなのだろう。お父さんになんて言ったらいいのか。もしかしたら、友達を傷付けてしまったのかもしれないと、後悔に引きずられてばかりの少年の思いは、無心にスキー板を履いて、外に滑りに出る行動へと駆り立てる。まるで、そうする事で何かが吹っ切れるのではないかと、思っているかのように。せっかく、春になったら一緒にちょうちょを捕りに行こうと約束していたのに・・

    そんな事を、一人で思い悩んでいたのかと思っていたら、あれよあれよと、少年の住む世界は目まぐるしく変化していき、少年も思っていたほど弱くなくて、ホッとしたのも束の間、気が付いたら、またも置いていかれたのは私一人だけだったが、不思議と嫌な気分ではなく、子供の悩みは、一瞬一瞬がとても大きく感じられて必死なんだけれど、気が付いたら、あっという間に過ぎ去っている。そんな繰り返しで、子供は成長するのかもしれませんね。

    0
    2023年01月21日
  • きんのことり

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    みんなに嫌われることで落ち込んでいた北風さんですが銀杏の木にお願いされ、捨て猫のために葉をすべておとし、捨て猫を助ける手助けをします。
    銀杏の木と子猫に元気をこちらまでもらえる心がじわっと温かくなるお話。

    0
    2015年05月19日
  • きんのことり

    Posted by ブクログ

    みんなから嫌われてしまう「きたかぜのこ」
    こねこを助けたい「イチョウ」に必要とされ、戸惑いながら手を貸す
    その後の結果に、なんとなく自分の存在を感じ、「イチョウ」の優しさを「きんのことり」に変えて共に旅立つ

    0
    2013年05月25日
  • きんのことり

    Posted by ブクログ

    あまんきみこさんのお話が読みたくて購入した。寒い風を吹かせるので皆から疎まれている北風の子。その北風を遠くから呼ぶ声がする。題名の「きんのことり」にどう繋がっていくのかと思っていたら、「こう来たか」という感じ。あまんさんのシンプルな表現の中にある「色彩感覚」を荒井さんも見事に表現している。大人になってもいいものはいいんだなと素直に感心。

    0
    2009年10月07日