あらすじ
【ご注意】※この電子書籍は紙の本のイメージで作成されており、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
すてきな劇場の、幕が上がります。
雪のふる小さな町。ある日友達と家で遊んでいた男の子は、ふとした拍子に父さんが大事にしていた本を破いてしまいます。男の子は、スキーを履いてひとりふらふらと雪の中に出ていき、途中でくぼみに落ちてしまいました。そこで男の子は、雪の中に小さな劇場を見つけたのです。
男の子のスキーの場面や、華やかで幻想的な劇場の場面は必見。
雪国の生活の中で起きた、不思議ですてきな物語。
※この作品はカラー版です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
素敵な絵本でした。
雪のなかに見つけた小さな劇場。
幻想的で美しく、
ひきこまれて見いってしまいました。
迎えに来てくれた(助けに、ですね)
お父さんの手の大きいこと。
暖かい家で飲むココアはおいしかったことでしょうね。
Posted by ブクログ
荒井良二が雪を描くのは珍しいような気がする。雪の降る小さなまちのファンタジー。色彩の華やかさがいいね。最後のページの暖かさに、優しい気持ちで本を閉じる。
Posted by ブクログ
荒井良二さんの絵本は、以前、長田弘さんとのコラボである、「水の絵本」、「空の絵本」を読みまして、その時の感想で、『大胆でラフなタッチでありながら、情景の目まぐるしい変化を丁寧に描いている』といったような事を書いたのですが、今回、新たに思ったのは、荒井さんの表現される絵って、まるで子供に見えている世界の情景を描いているのではないか、ということです。
まず、私は、表紙の少年の顔に何か惹きつけられるものを感じ、しばし釘付けになる。
それは、メランコリックでありながら、何かを必死で訴えたい、真っ直ぐな思いも感じられそうではあるが、どこかカラフルで夢に現れそうな光景とも思われる。
しかし、それは私が大人だからそう思うのかもしれないと感じ、お子さんが見れば、おそらく何の違和感もなくて、物語本編の、人と造形物とのやや非現実的な構図も一切気にならず、夢中で読んでいくのでしょう。
そして、その後の劇場の場面において、登場するのは皆、子供が描いた絵が動いているような者達の共演に、私は更に置いてけぼり感を増し、そこでのハイライトである、自然の凄まじさと美しさを剥き出しに描いたようなシーンに溶け込んでいる、少年の姿を見て、ああ、ここは子供だけの居場所なのかもしれないなと感じられました。
また、私がそう感じられたのは、荒井さんの絵だけではなく、子供時代の、どう整理したら良いのか分からないような、やるせない感傷を繊細に表現している物語もあったからだと思います。
ちょうちょが好きな友達の為に、お父さんが大事にしている、ちょうの図鑑を見せてあげたら、引っ張り合いになり、ページが破れてしまった。
友達は貸して欲しかったらしく、夢中で図鑑を放さなかった事に気付かず、少年は、お父さんの大事な図鑑を必死で守ろうとした結果であった。
別に誰が悪いわけでもないとは思いつつも、こんな時、根拠の無い不安感が押し寄せるのだろうし、おそらく、この少年はお父さんが大好きなのだろう。お父さんになんて言ったらいいのか。もしかしたら、友達を傷付けてしまったのかもしれないと、後悔に引きずられてばかりの少年の思いは、無心にスキー板を履いて、外に滑りに出る行動へと駆り立てる。まるで、そうする事で何かが吹っ切れるのではないかと、思っているかのように。せっかく、春になったら一緒にちょうちょを捕りに行こうと約束していたのに・・
そんな事を、一人で思い悩んでいたのかと思っていたら、あれよあれよと、少年の住む世界は目まぐるしく変化していき、少年も思っていたほど弱くなくて、ホッとしたのも束の間、気が付いたら、またも置いていかれたのは私一人だけだったが、不思議と嫌な気分ではなく、子供の悩みは、一瞬一瞬がとても大きく感じられて必死なんだけれど、気が付いたら、あっという間に過ぎ去っている。そんな繰り返しで、子供は成長するのかもしれませんね。