佐橋亮のレビュー一覧
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米中国交正常化への過程を博士論文で扱った著者がその続編となるような本をということで、まだ現在進行形で史料は乏しいながらも同時代のアメリカの記事や論考をもとに、アメリカの対中政策の変化を書いている。
冷戦期に対立から対ソの観点から米中は接近する。これ以降、アメリカには政治改革、市場化改革を進め既存の国際秩序に貢献するという3つの期待があった。90年代以降に台湾問題や技術流出等を巡って警戒感は強まりつつも、関与指示派が多数を占めていた。しかし、オバマ政権で中国の脅威が認識され、緩やかに戦略転換が始まる。トランプ政権では3つの期待への失望から関与政策が見直された。
アメリカの対中政策の見直しはかなり米国の独りよがりで変わってきているところがある。著者は米中関係が米ソ関係と違うことは認識しながらも、冷戦から参考にすべきことは多いとする。 -
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昨今の国際情勢を見るにつけ、落ち込む事の多さにやるせ無い思い。そんな中で、本書のタイトルと参加者名から、明るい展望は示されていないであろう事は分かっていながらも、今起こっている事、今後起こるであろう事を整理出来る事を期待して読んだ。
ほぼ予想通りの展開で、"そうだよなぁ、やっぱり"、との思いが強く残った読後。
以下、各氏の発言で明確に言語化され印象に残った点。
・中国やインド、ブラジル、南アフリカ、イランなど、世界の国々は明らかに西洋の勝利よりロシアの勝利を望んでいます。地球はもう西洋の傲慢には我慢ならないのだと思います。(p.32)
・米国との同盟関係に裏付けられていた安全の感覚は、危険な幻想になるでしょう。(p.37)
・私が日本の長い歴史を学んで思うのは、その伝統は中立性にあるということです。同盟によって戦争に巻き込まれることではありません。(p.45)
・「狂気」「正気」という(略)指標に照らせば、今の世界では、権威主義国の方が「正気」を保っている(三牧氏p.61)
・(トランプのゼレンスキーへのあしらいについて)人に屈辱感を与えることを楽しむという背徳的な人格が表れていると感じる(p.66)
・「頼りにならない、極めて危うい本性を持つアメリカ」に国の生存を委ね続けて良いのか、という重要な問題意識(三牧氏p.76)
・違った意見や考え方を持つ人を敵とか裏切り者とみなす。人々を統合するより分断するナショナリズム(大野氏p.134)
・もし米国が台湾を巡って、日本を中国と対立させるように仕向けたとしても、最後は日本を放り出して、倒れるままにするだろう(p.174)
・目指すべき中間の道とは、一極集中でも、個人主義でもない「多元主義」です(タン氏p.199)
・(AIの時代、人間に残されたこと、若い学生たちに教えるべきは)「好奇心」「協力」そして「共助の精神」です(タン氏p.213)
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・エマニュエル・トッド、オードリー・タン、モニカ・トフトら複数の論者が、2030年に向けた国際秩序と日本の進路を多角的に論じる構成となっている。
・出発点は「西洋の敗北」が現実となった今、世界はどこへ向かうのかという問いである。
・トッドはアメリカをニヒリズムに陥ったプロテスタンティズムの危機として位置づけ、対米同盟への過度な依存に警鐘を鳴らす。
・その上でトッドは、平和主義的中立ではなく武装した上での非同盟という選択肢を示し、日本の核武装も一つの案として提起する。
・ウクライナ戦争やガザ侵攻、AI技術の台頭を背景に、戦争への欲望とテクノロジーの暴走を人類共通の課題として扱う。
・オードリー・タンはデジタル民主主義の経験を通じ、テクノロジーと社会の意思決定の関係を論じる。
・他の論者は地域紛争や安全保障、移民・教育・コミュニティ形成といった先進国共通の課題にも言及し、単一の結論よりも多面的な視点の提示に重きを置いている。 -
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ウクライナ戦争から予想される、西洋(欧米)の敗北という書籍の流れを踏襲し、今後の世界の見通しが書かれている。
興味深いのは日本の出版社から刊行されているので、論点が「日本はどうするのか?(どうなるのか?)」が描かれている点。
当然ながら朝日新聞が刊行しているので左派的な見方が多く、当然ながらアメリカファーストなトランプが大統領の非難は多い。
もちろん共助という考え自体は悪いとは思わない。
経済的合理性、効率が進展し、自由主義が蔓延している現代社会では、格差が開き、断絶が起きていると感じることが多い。
こういった権力の集中や民族の分断が加速している世界で、どのような切り口があり、そういった対応が求められるかが語られている気がする。
しかしながら、先の選挙にしてもそうだが、世界の潮流に影響され日本でも右的な思想がぶり返してきていると感じる。
これは代表的な左派の衰退と腐敗も原因としてあるように思えるが、世界で助け合うことが理想であっても、毎日もやしばかり食べている家庭が、よその家庭に焼肉をごちそうするということはなかなかできないなぁとも感じる。
また左派的な考えも多様化してきていて、派閥内でも分断が起きているような気もする。
興味深かったのはオードリー氏の「プルラリティー」という考え方
デジタル技術を用いて新たな合意形成の仕組みを作るという流れには希望を感じる。
アンコモン・グラウンド(まれな一致点)を見つけることが、今後の世界には必要なのかと思う。 -
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エマニュエル・トッドとオードリー・タンまでの章はメッセージが明確で面白い。
それ以降については、とにかく自分の発言に責任を持ちたくないのか、どっちつかずなよく見る中庸な意見しかなく、つまらない(そういうのは社説や記事で読んでるからわざわざ本で読む必要がないと思っている)。
勿論、学者やインテリの態度としてそんな簡単にスタンスを踏めないのはわかるし、
この世の全てのことはグレーなわけでそんな簡単に白黒つけられないのも重々承知だが、
周知の事実として、グレーなことしかないこの世の中を語る時に「この問題は、(この世の常ですが、)グレーなのです!!」と言われてもねぇ…と思ってしまう(笑)
そんなこと一定の教育を受けた者なら誰でも言えることなわけで、そんな中身のない当然のことをシンポジウムに登壇して言う必要あるのかな?
という訳でトッドとタン以外の後半の章に関しては、大学院生レベルの中身のない、悪い意味で批判のしようがない論の羅列だった。
シンポジウムに登壇するなら、批判を恐れずにスタンスを踏んでほしい…
その覚悟がないなら辞退してほしい。意味がない
というわけで後半は紙面の無駄。
トッドとタンの章は読む価値あり(そこだけなら★5つ)。
オードリータンの本、『プルラリティ』も買ったから読んでみる。 -
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エマニュエル・トッドをはじめとする対談集をまとめた一冊。一見、表紙の方々が一堂に会して対談したものと勘違いして購入してしまったが、それぞれ別々に開催されたイベントであった。『西洋の敗北』を出版した後の反響や、不安定な国際情勢において日本の良さをどのように生かしていくか、示唆を与えてくれるもの。親日家であるエマニュエル・トッドが広島の原爆資料館を視察してもなお、日本の核武装を推奨していることについて、いろんな対談者が質問しており、興味深い内容であった。東アジアにおいて日本が極めて微妙なパワーバランスの中に位置していることを痛感させられた。