八杉龍一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
402P
ダーウィンって生物学のイメージだけど、地質学者でもあるんだよね。科学で地学結構好きだからダーウィンの本面白く感じるんだろうな。
「我々は作用の働きを知り、どんなに深く陸地の表面が浸食されたか、またいかに多くの沈積物が堆積したかを学ぶことによって、過去の時間についての観念を最もよく得ることができるのである。ライエルが十分述べているように、堆積累層の広がりと厚さは、地殻が他の場所で受けた浸食の結果であり尺度である。それゆえ過去の時間の持続期間について何かを理解するためには、積み重ねられた地層の大堆積を自ら調べ、泥を押し流す小川や海岸の断崖をすり減らす波を観察しなければならない。周囲 -
Posted by ブクログ
446P
「しかし奇形を何らか明瞭な境界線によって軽微な変異と区別することはできない。一緒に生活している多くの個体中に現れるこのような構造の変化のすべては、極めて軽微であるか非常に顕著であるかにかかわりなく、生活条件が各個体に及ぼす不確定な効果であると見なすことができる。それは同一の寒さが様々な人に不確定な仕方で影響し、身体の状態または体質に応じて咳や感冒、リューマチあるいは種々の器官の炎症を起こすのとほぼ同様である。」
—『種の起原(上)』チャールズ・ダーウィン著
「その郷土においてほとんど自由な状態に保たれながら、なお子を産まない動物がいかに多いことか! これは一般に本能が損われた -
Posted by ブクログ
ネタバレ進化論を提唱した、ダーウィンの名著。
彼の文章は中々回りくどく、難解であった。
ただ一つ言いたいのは、彼は「創造論者」を避難してはいるが、決して「キリスト教」を攻撃してはいない。
彼が進化論の根拠とするのは、「今知られている動物が、絶滅した動物に比べて少数であることを考えれば、少しずつあゆみがあったと考えるのが当然である。自然は多様性を浪費するが、改革は節約する。自然は飛躍しない。」と述べる。
また古代ギリシャのアリストテレスの著書「自然学」において、自然選択の原理の萌芽を見て取ることができるとする。それは「例えば歯が噛み切るように、または草をすりつぶすようにできているのは、そのた -
Posted by ブクログ
「種の起源の見解が,一般に受容されるときには,博物学に重大な革命がおこるであろう」
上巻に続き,自説に対する批判に応える形でダーウィンは自然選択による変化を伴う由来の論理を確かめていきます.化石記録が不完全であること,種によって地理的分布が広大であること.これに対する論説の中に「日本」発見.「・・・これらオーストラリアの植物は・・北にむかって日本まで・・散らばっている.」あの有名なガラパゴスもでてきますが,イグアナやフィンチの絵もなく,下巻では各論もありません.「生命の最初のあけぼのにおいては,もっとも単純な構造をもつごく少数の種類があっただけであって,変化の速度は極度に緩徐であったと思われ -
Posted by ブクログ
ダーウィンといえば進化論ですが,本書下巻の最後尾の付録に「進化evolution」とようやく,それも,ダーウィンと同時代の博物学者は生物が環境にあわせて身体を変化させること自体は承知している,という文脈で使っています.その原動力が自然選択なのだ,という言い方です.本編では変化を伴う由来,descent with modificationという表現がよく用いられます.迂遠な言い回しが生真面目に訳出されているので,読みにくいです.ですがおそらく,当時としては平易な語り口で書かれており,現代で一般的な科学エッセイとに相当すると思います.目を引くイラストなどは一切なく,唯一の写真は著者ご本人の肖像写
-
Posted by ブクログ
ダーウィンの『種の起原』は、予想を超えて、
ボリュームのある作品である。
何か、もっと短いものだという印象があったのであるが。
読み始めて、
八杉龍一氏の訳がかなり注意して翻訳しているのだと思うが
なかなか、その中に入り込めない。
言葉は、ゴツゴツしている。
この『種の起原』は・・1859年11月に出版されている。
いまから、約150年前のものだ・・が。
その『古さ』を感じさせないのは、どういうことだろう。
博物学というジャンルは、
今の時代になくなってしまったのだろうか。
非常に新鮮に感じる・・
今風に言えば、エコロジストのような感じである。
地質学、植物学、動物学、人間学・・・
広 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻に引きつづき彼の難解で冗長な文章に付き合わされるはめになるのだが、要するに「昔の動物より今の動物が高等であると私は考え、それは生存競争に勝ってきたからだ。」「進化というのは、目的ではなく偶然である。かつ、爆発的に増える。」「退化は、その器官を使わなくなったからで、これも適応進化である。」
勘違いしないでいただきたいのは、進化は目的によるものではない。キリンの首が長いのは、高いところの草を食べるためではなく、たまたまである。爆発的に増え、環境に合うものだけが生き延びた。これが適応進化である。ただ結果的に見れば、「環境の目的に沿うように進化しているように見える。」ので、アリストテレスまではそ -
Posted by ブクログ
本名がチャールズ・ロバート・ダーウィン。
自分ではロバート(だか、ロベルトだか)をつかわなかったそうです。
わりに読みやすいのは無夜がこの手の「遺伝」とか自然淘汰が大好きだからでしょうか。
1990年に発行となっているので、和訳が合うってこともあるのでしょうか。
これはもう、進化に関するテキストですね。
起源ではなく、起原。どちらも同じ意味ですけれど、無夜は原より源の方がなんとなく好きです。
内容を……書くととりとめがありません。ので、やりません。
読むのに時間がかかりました。岩波で上下本、だいたい400ページ×2ってとこですね。
それでもとても読みやすい。ですが、実りがあっ -
Posted by ブクログ
言わずと知れたダーウィンによる生物学における世界古典の傑作。
環境について語るなら、まずこの一冊を・・・ということで、いつかは読みたいと思っていた。
この本を自分の頭で理解し消化しようと思うと、生物学についてのある程度の知識も必要では?という難しさは感じる一方で、生命の神秘さ、生態系というものの尊さを感じずにはいられない。
ダーウィンは、公の仕事としてアメリカへの航海から動物学の著作をまとめ、地質学の本を出版。そして、1856年に種の起源について大著の執筆に着手したほか、地質学、植物学、人間学に及ぶ巨大な業績を残したという。
「自然選択」の作用や「進化論」といった尊い研究結果をムダにしな