【感想・ネタバレ】種の起原 下のレビュー

あらすじ

自然淘汰と適者生存の事実を科学的に実証して進化論を確立し、自然科学の分野においてはもちろん、社会観・文化観など物の見かた全般に決定的な影響を及ぼした著作として、この『種の起原』の名を知らぬ人はないであろう。底本には一八五九年の初版を用い、最終版たる第六版までの各版の異同をくわしく記した決定版である。

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Posted by ブクログ

402P

ダーウィンって生物学のイメージだけど、地質学者でもあるんだよね。科学で地学結構好きだからダーウィンの本面白く感じるんだろうな。


「我々は作用の働きを知り、どんなに深く陸地の表面が浸食されたか、またいかに多くの沈積物が堆積したかを学ぶことによって、過去の時間についての観念を最もよく得ることができるのである。ライエルが十分述べているように、堆積累層の広がりと厚さは、地殻が他の場所で受けた浸食の結果であり尺度である。それゆえ過去の時間の持続期間について何かを理解するためには、積み重ねられた地層の大堆積を自ら調べ、泥を押し流す小川や海岸の断崖をすり減らす波を観察しなければならない。周囲の至るところに過去の記念碑が見られるのである。」

—『種の起原(下)』チャールズ・ダーウィン著

「昔南アメリカに棲んでいたオオナマケモノと他の類縁の巨大動物が、ナマケモノ、アルマジロ、およびオオアリクイを彼らの退化した子孫として後に遺した、と私が想像しているのかどうかを嘲笑のうちに質問する人があるかもしれない。こんなことは寸時も認められるはずはない。これらの巨大な動物は完全に絶滅して子孫を遺さなかったのである。しかしブラジルの洞穴には、南アメリカに今も生きている種と大きさやすべての他の形質において密接に近縁である多くの絶滅種がある。そしてこれらの化石のあるものは、現存種の実際の先祖であったかも知れない。忘れてはならないことは、我々の理論では、同じ属のすべての種はある一つの種の子孫であるということである。」

—『種の起原(下)』チャールズ・ダーウィン著

「なぜなら形態は古ければ古いほど、そこから広く分岐してきた群の共通祖先と一層近い関係にあり、従ってそれと類似しているからである。絶滅形態が現存形態の直接の中間者であることは稀であり、他の絶滅した異なった形態をとおしての遠い回り道によって中間者であるにすぎない。我々はなぜ密接に連続する累層の生物の遺体が、緊密に類縁であるかを明らかに知ることができる。なぜなら彼らは世代連続によって密接に結びついているからである。我々はなぜ中間の累層の遺体が形質上中間であるかを明らかに知ることができる。」

—『種の起原(下)』チャールズ・ダーウィン著

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

生き残る強い種(個人・家族・組織)になるためのヒントがあるかもしれないと思い、購入しました。
内容も勉強になりますが、「神が人間を創造した」と皆が信じていた時代に、全く異なる理論を構築・主張して世間を納得させたという事実に感動を覚えました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「種の起源の見解が,一般に受容されるときには,博物学に重大な革命がおこるであろう」
 上巻に続き,自説に対する批判に応える形でダーウィンは自然選択による変化を伴う由来の論理を確かめていきます.化石記録が不完全であること,種によって地理的分布が広大であること.これに対する論説の中に「日本」発見.「・・・これらオーストラリアの植物は・・北にむかって日本まで・・散らばっている.」あの有名なガラパゴスもでてきますが,イグアナやフィンチの絵もなく,下巻では各論もありません.「生命の最初のあけぼのにおいては,もっとも単純な構造をもつごく少数の種類があっただけであって,変化の速度は極度に緩徐であったと思われる.・・・世界の歴史ぜんたいは,いま知れられているところでは,無数の子孫の祖先である最初の生物が創造されていらい経過した諸時期に較べれば,ただ一片の時間にすぎないとみられることになるであろう.」時間スケール感覚の鋭さ以上に気になるのは,生命は生命から由来しているが,一番最初の生命は・・神様が創ったかな?と言ってしまっている点でしょうか? 下巻の付録にようやく進化という言葉が見られます.「進化」には前進発展的な意味もあり,変化はあくまでランダムで,それが自然選択によって徐々に方向性がつけられていく考えを伝えたかったとすると,ダーウィン自身にとってはあまりしっくりとする表現ではなかったのかもしれません.

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2018年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻に引きつづき彼の難解で冗長な文章に付き合わされるはめになるのだが、要するに「昔の動物より今の動物が高等であると私は考え、それは生存競争に勝ってきたからだ。」「進化というのは、目的ではなく偶然である。かつ、爆発的に増える。」「退化は、その器官を使わなくなったからで、これも適応進化である。」

勘違いしないでいただきたいのは、進化は目的によるものではない。キリンの首が長いのは、高いところの草を食べるためではなく、たまたまである。爆発的に増え、環境に合うものだけが生き延びた。これが適応進化である。ただ結果的に見れば、「環境の目的に沿うように進化しているように見える。」ので、アリストテレスまではそう考えていたのだ。しかしダーウィンはこれは違うのだということを、考古学的に証明したということである。

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2012年08月18日

Posted by ブクログ

本名がチャールズ・ロバート・ダーウィン。
 自分ではロバート(だか、ロベルトだか)をつかわなかったそうです。

 わりに読みやすいのは無夜がこの手の「遺伝」とか自然淘汰が大好きだからでしょうか。
 1990年に発行となっているので、和訳が合うってこともあるのでしょうか。
 これはもう、進化に関するテキストですね。
 起源ではなく、起原。どちらも同じ意味ですけれど、無夜は原より源の方がなんとなく好きです。
 内容を……書くととりとめがありません。ので、やりません。
 読むのに時間がかかりました。岩波で上下本、だいたい400ページ×2ってとこですね。
 それでもとても読みやすい。ですが、実りがあったことはあまりないのですね。だってこれは、高校生物のスタンダード。誰もが知っている、一般水準の学説であるから。
 だからすんなり頭に入ります。
 知識を増やすというより、ダーウィンが載せている例の中で、迷信のたぐいを見つけて、にやにやしながら「実はそれは嘘なんだよ」と優越感に浸るのも一興かな、とか。ダーウィンの頃にはわかっていなかったことを私達は知っているわけで、「実はこうなのに」とほくそえむ。そういう楽しみをしてはいかが?

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2011年05月24日

Posted by ブクログ

絶滅した種とそれよりもっと古い種、祖先の状態と現在の状態との間において中間的な結合環が見つからない問題について、地質学的記録の不完全さを原因としているが(230頁等)、ここだけ説得力が弱い気がした。

付録として、初版から第6版までのダーウィン説に対する批判への反論が加えられている。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

 上巻でほぼ書きつくした感じがするので、下巻は補足として読めばいいと思う。付録で、前の版への批判の回答があるのでそれは読むといいかもしれない。

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2012年04月19日

Posted by ブクログ

地質学・植物学・動物学など、博物学のはば広い基盤の上に立つダーウィン(1809‐82)の進化論の根底には、自然的存在としての人間の本質の解明ということがある。『種の起原』刊行後、科学は長足の進歩をとげたが、人間と社会、そして文明の問題を考える上で、ダーウィンの思想はつねに検討すべき重要な課題としてわれわれの前にある。

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2009年10月07日

シリーズ作品レビュー

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