ブリヂストン元社長の著書。過去の体験に基づき、リーダーシップ論を展開する。非常に共感。
人間には防衛本能があるため、困難に直面したときに「逃げたい」と思うのは自然な反応。おそらくすべての人間に共通する「条件反射」のようなものです。そして、「条件反射」だからこそ、これを克服するのは難しい。
しかし、他者や環境のせいにするのを踏みとどまって、自らの力で困難に立ち向かうことができれば、確実にリーダーシップに一歩踏み出すことができます。そのときはどんなに情けない状況であっても、たとえ結果が最悪に終わっても一向に気にしなくてよい。逃げたか、まともに取り組んだか。問われるのは、ただたっだこの一点です。
合目的的であることに徹すればいいのです。
「合目的的である」とは、目的に合致する言動に徹するということです。ある部署のリーダーを任されているのであれば、その目的は、その部署に課された目標を達成すること。であれば、その目的に適うことだけをやり、目的に適わないことは一切やらない。これを徹底することによって、結果として、自然と人格は備わってくる。私は、そう考えているのです。
部下の「自尊心」を傷つけることほど愚かなことはない―。
私は、常々そう考えてきました。
ミスをした部下を怒鳴りつけて、「だからお前はダメなんだ」などと人格否定に走る上司を見るたびに、気分が悪くなるとともに、「なんて愚かなんだろう……」とため息が出たものです。
…
なぜなら、自尊心とは、人間が生きていくうえで最も重要なものだからです。
しかし、人間とはどこまでも度し難いものです。
どんなに気を付けていても、間違った心が忍び寄ってくる。だから、結局のところ、
「自分は未熟な人間である」
「他者より絶対に優れているところはない」
「他者からしか学べない」
という自覚を持ち続けるしかないのではないでしょうか。
現物・現場・現実―。
この「3現」を自らが体感することが、ビジネスで結果を出す鉄則です。このことを、若いころから身体に刻み込んでおかなければ、優れたリーダーになることはできないと私は考えています。
家入さんは、自分にも他者にも厳しい「剛」の人物でした。しかし、「剛」の人だから豪胆な決断ができるとは限らないと思います。それよりも重要なのは、ひとつのことを延々と、まるで「大河の流れ」のように考え続けること。その緻密で繊細な思考の営みの末に「決断」は生まれるのです。
そもそも、組織における出世などいい加減なものです。
ほとんどが、たまたまそうなっただけ。たまたま、自分の直属の上司が出世したから、それに引っ張られて自分も出世した。たまたま、年次的に適任者がいなかったから、お鉢が回ってきた。そんなものです。
リーダーが仕事をするときには、まず第一に担当する仕事の「理想像」=「あるべき姿」を思い描く。その「あるべき姿」と「現実」の距離こそが、リーダーが自らつくり出した課題なのです。
そして、その課題を解決するための道筋を、メンバーとともに考え出して実行する。その結果、組織に新たな地平を切り拓くという「能動性」こそがリーダーシップ。もちろん、リーダーたる者、ソリューションもできなければなりませんが、クリエイション(創造)こそがリーダーシップの本質だということは、いくら強調してもしすぎることはないのです。