植田和男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる】 植田 和男 著
著者は言わずと知れた現・日銀総裁。「私の書いた本の中ではかなり売れ」たそうです。見開きで、「左ページに解説、右ページに図」なので、一見読みやすそうです。
初版は2017年ですが、現在でもしっかり通用する内容です。「近い将来、インフレ率が2%に到達すると、財政当局にとっては悩ましい事態になるリスクがあります。それは現在財政を助ける方向に働いている日銀の緩和策が終焉を迎え」、「保有国債を市場で売却するかもしれません」とは、この時、まさか自分が直面するとは思っていなかったでしょう。
簡単と思った文庫本ですが、読み込むとやはり金融は奥深いです。これだけ広範囲の知識が必要となると、「とても自分は日銀総裁にはなれないな」と実感した一冊です(当たり前ですが…)。(^^) -
Posted by ブクログ
研究界で挙げられている短期金利ゼロ金利下での金融緩和の手法:
1.時間軸政策
2.非伝統的資産の購入
3.(物価目標達成のために)必要以上の流動性供給
時間軸政策は、金融緩和の前借りであり、短期金利を上げても良い状況になった未来においても低金利(ゼロ金利)の継続を約束するもの。したがって、当該未来までの期間を含む現在の長期国債の金利が低下し、それが緩和効果を生むことになる。
短期金利を上げても良い状況になると、中央銀行としては利上げする誘因が生じるが、ここで金利を引き上げると、市場から信認されなくなり、次回以降この政策が使えなくなるというデメリットがある。
一方でそうした状況において利上げをしないと、必要以上のインフレが生じるリスクがあるが、そうしたリスクをとって初めて時間軸政策の効果が出ることになる。
本著は2005年に執筆されたものであるが、現在(2023年)の異次元金融緩和の考え方にも通ずるものがある。仮に足元の物価上昇で利上げ(緩和を弱める)することは、時間軸政策の効果が失われることを意味することになるため、やはり物価上昇が安定的・持続的であることを確認できるまで(日本経済が利上げに耐えられる状況になると判断されるまで)は、市場へのコミットメントの通り、強力な金融緩和を続ける必要がある、というのが植田氏の基本的な考え方のようである。