林宏司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ脳外科医と聞くとわたしから見たら
超一流の技術を持った完璧な人と
思っていたのですが、この作品を
読んで脳外科医に限らず超一流な
人でも当たり前のように私たちと
同じような悩みをもった
人間なんだと改めて思いました。
作品に登場してくる4人の先生たちは
知識と技術を引き換えにちょっぴり
生きることに不器用だが人間味のある
素敵な先生たちでした。
全編通していいツッコミをしてくれる
看護師の小沢真凛はいい味出してます。
医療小説と思って読んだら
人間味あふれる先生たちの
ヒューマンストーリーで
あっという間に完読。
おもしろかったです。 -
Posted by ブクログ
下巻の前半は、苦しい時代。
主人公たちだけが苦しいのではなく、日本そのものが苦しい時代。
歴史を知っている自分たちは、その後の結果を知っている。
それだけに、読んでいて余計に辛いのかもしれない。
一転、後半は、未来への道が続く。
その過程では、またも辛く苦しい時もあるが、みんなそれぞれが未来へと前進をする。
この一冊で、地獄へ堕ちたものたちが大地を見つけ、そこにしっかりと根を張る姿を表していたのかもしれないなー。と、読み終わって思った。
でも、やっぱり残念だなーと思うのは、場面転換のたびに、余韻がぶった斬られてしまうところ。
ドラマという映像をそのまま書き起こしたものだから、仕方がないとは思 -
Posted by ブクログ
この冬に放送されたドラマ「トップナイフ〜天才脳外科医の条件〜」の原作。
最初は難しい話かと構えたが、専門用語についても分かりやすく説明がされていて、医療ものというよりはヒューマンものという印象が強い。そのため、外科医の技術などに重点を置いた医療ものを期待していると少し物足りなく思うかもしれない。
本書は、主な登場人物4人それぞれにスポットを当てた4章立てで構成されており、如何にして現在の境遇に至ったのかが割と大きく取り上げられている。いろいろなものを背負って生きる脳外科医たち、患者たちの脳と心が織りなすそれぞれの物語。ヒューマンものとして、じっくり読みたい作品である。 -
Posted by ブクログ
家族を捨てた50歳、常識外れの53歳、のふたりが最終的にそれぞれの問題に対して自分の中でひとり切りの完結をすることに、年齢的な説得力と重みがあった。
(ドラマは未視聴だけれど、天海さんと椎名さんを想像すると、年齢設定の割に遠くなく、生意気なことに身近にすら感じられた)
極めつけは「やさしい誰かが来てくれるのを待っていたって誰も現れたりしない」という少年期の絶望からの、34歳の決着の仕方だ。
三人を包む「所詮一人だ」という真実と諦めが、徹底的なネガティブにはなっていなくて(深山の場合はやや除く)、絶妙だと思う。
頭でっかち自由人な26歳がこれから拓けていくんだろう、いこうな、という雰囲気なのはき