ジグムント・ミウォシェフスキのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シャツキは一度ワルシャワに帰ったらしいが、現在は北部の地方都市オルシュティンで本業以外に講演を仕事を依頼されたりしている。前作までの事件ですっかり事件を解決する一匹狼の保安官イメージをまとったシャツキは、ポーランドで最も有名な検察官となっているらしい。しかも常にぴしりと決めた硬派ファッション。白髪。五十代に手が届きそうな年齢。
彼は、一人娘のヘレナ、新しい恋人・ゼニアと三人で奇妙かつ綱渡り気味の生活をしている。ヘレナはすっかり大人に近づき、本書ではとても重要な役を割り振られる。
ポーランドの町は相変わらず暗く、被征服国家としての歴史の重さに打ちひしがれている。季節は12月で、雪になり切らぬ冷たい着氷性の霧雨と分厚い雲に覆われている。
事件もまた相変わらずエキセントリック。見つかった白骨は過去のドイツ兵の亡霊だとばかり思いこんでいたものの、一週間前に溶かされたものと判明。なんて奇妙な!
新しい街なのでシャツキを取り巻く捜査陣はまたも新たなキャラクターばかり。風土描写ばかりではなくキャラにも決して手を抜かないのがジグムント・ミウォシェフスキという作家である。シャツキを取り巻くのは、個性豊かな存在感抜群の男女ばかり。前作で印象的な登場を果たした精神分析医クレイノツキも相変わらずの個性とドンパチの的中度を誇るが、解剖医のフランケンシュタイン博士(まさに実名までもが)は衝撃的なまでに印象に残ることだろう。
取り上げられるテーマはDV。家庭内で決して誰にも気づかれることなく精神的に追い詰められてゆく静かな被害者たちと、仮面の加害者像が、時折カットバックのように挿入される。無名で。そして次第にシフトアップ。街の緊張が高まり、シャツキの表情がこわばる。静かな家族たちとその裏側に奥行きを見せる影なる暴力。
街に跋扈する復讐の足音。過酷なまでの制裁。後半は、なぜかシャツキ自身が巻き込まれてゆくことで物語に疾走感が生まれる。ページターナー。予断を許さぬ展開。予測を超える真相。シャツキの物語の終焉はどうなるのか? やはりこの三部作は順番に読まなくてはいけない。日本の読者にとって如何に不幸な出版順序であっただろうか? 順番通りに読むことのできた幸福が、この本を閉じるときにしっかりと胸を満たしてくれたのは言うまでもない。 -
Posted by ブクログ
フランケンシュタイン博士。テリー・サバラス。ピーター・セラーズ。これらの有名人を想像させる人物が次々と登場する。軽口を交えながら、どこに向かうのかわからないシャツキ最後の事件を追う。何せポーランドの彷徨えるスター検察官テオドル・シャツキの三部作の最終編なのだ。好奇心の向かう先は、どのようにシリーズを閉じるつもりなのか? この一点に尽きる。
読者のツボを読み取ってであろう。エキセントリックなシーンで始まる序章はこれから始まる物語のクライマックスであろうかと思われる。
続いてシャツキのその後の変化が、語られる。時代は、前作『一抹の真実』でサンドミエシュを舞台にした連続殺人事件の三年後。シャツキは一度ワルシャワに帰ったらしいが、現在は北部の地方都市オルシュティンで本業以外に講演を仕事を依頼されたりしている。前作までの事件ですっかり事件を解決する一匹狼の保安官イメージをまとったシャツキは、ポーランドで最も有名な検察官となっているらしい。しかも常にぴしりと決めた硬派ファッション。白髪。五十代に手が届きそうな年齢。
彼は、一人娘のヘレナ、新しい恋人・ゼニアと三人で奇妙かつ綱渡り気味の生活をしている。ヘレナはすっかり大人に近づき、本書ではとても重要な役を割り振られる。
ポーランドの町は相変わらず暗く、被征服国家としての歴史の重さに打ちひしがれている。季節は12月で、雪になり切らぬ冷たい着氷性の霧雨と分厚い雲に覆われている。
事件もまた相変わらずエキセントリック。見つかった白骨は過去のドイツ兵の亡霊だとばかり思いこんでいたものの、一週間前に溶かされたものと判明。なんて奇妙な!
新しい街なのでシャツキを取り巻く捜査陣はまたも新たなキャラクターばかり。風土描写ばかりではなくキャラにも決して手を抜かないのがジグムント・ミウォシェフスキという作家である。シャツキを取り巻くのは、個性豊かな存在感抜群の男女ばかり。前作で印象的な登場を果たした精神分析医クレイノツキも相変わらずの個性とドンパチの的中度を誇るが、解剖医のフランケンシュタイン博士(まさに実名までもが)は衝撃的なまでに印象に残ることだろう。
取り上げられるテーマはDV。家庭内で決して誰にも気づかれることなく精神的に追い詰められてゆく静かな被害者たちと、仮面の加害者像が、時折カットバックのように挿入される。無名で。そして次第にシフトアップ。街の緊張が高まり、シャツキの表情がこわばる。静かな家族たちとその裏側に奥行きを見せる影なる暴力。
街に跋扈する復讐の足音。過酷なまでの制裁。後半は、なぜかシャツキ自身が巻き込まれてゆくことで物語に疾走感が生まれる。ページターナー。予断を許さぬ展開。予測を超える真相。シャツキの物語の終焉はどうなるのか? やはりこの三部作は順番に読まなくてはいけない。日本の読者にとって如何に不幸な出版順序であっただろうか? 順番通りに読むことのできた幸福が、この本を閉じるときにしっかりと胸を満たしてくれたのは言うまでもない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシャッキ検察官との付き合いも3作目となると、この残念さ加減にも愛着が湧いてきた。
どこまでも女関係ダメ人間のわりとどうでも男女関係が・・・いやそんなことやってるヒマあるなら睡眠とれよ。
だが、1人おうちにいると、さみしくなって元妻に電話して、冷たくされて逆ギレ。どこまでも残念である。睡眠とれよ。
さて、事件はというと、これがまた壮大な話が展開して、やっぱり秘密警察が!なんと事件関係者が!
町に伝わる陰惨な伝説、歴史、それを下敷にした2代に渡る怨念が!間にはさまれる老婆の悲しい思い出やら教会の隠された絵やら、ほとんどが顔見知りという閉鎖社会のエピソードなどが、これでもかと続き、ついに謎が解けたら!
うん。間違ってるね。逮捕された人が言う通り間違ってましたー
正解の伏線は、たった1行。
あれか!と、思った時には唖然とした。
これもどんでん返しと言っていいのだろうか?
この作者には、なるほど、確かに毎回驚かせれる。
ポーランドのルメートルと言われてるそうだが、なんかそれは違う気がする。カチリ。と、思った。
ここまでくると全作読まないと気が済まない気になってきた。
シャッキ検察官以外の主人公も残念人物なんだろうかとか、余計な興味が止まらない。
ともかく、ポーランドの歴史や地理や生活については、き毎回、非常に興味無く読んでいる。 -
Posted by ブクログ
シャツキ検事シリーズ第二作。女性が切り刻まれ殺される事件。凶器はユダヤ人が肉用に使う日本刀のように鋭利な刃物。反ユダヤ授業が根底にあるのか?そして第二の殺人が。
意外と楽しめた。ポーランドの反ユダヤ主義蘊蓄がこれでもかと出て来る。教会にユダヤ人がキリスト教徒を惨殺してる絵が飾られている所もあるそうだ。ナチスドイツの迫害以前そして以後も根強く存在してる。事件と関係あるかどうかと関係なくこの話は面白かった。そして真相もわりと好みだった。
そしてバツイチのシャツキは女性にモテモテ、にもかかわらず苦悩を抱える。彼の内面を読むのも(共感なのか反感なのか、その両方なのか)興味深い。
どうでもいいことなのだけれど、作者のミウォシェフスキはグラマーな女性が好きなのだろうか。
「法服を脱いだタタールスカ判事はまさにダイナマイトボディの持ち主だった。見開きページを飾るモデルの女の子のようだった。紫色のブラウスからは胸の谷間がのぞいていた。ナイトクラブでも大胆を思われるほどに」
「国家記銘院キェルツェ分室のとびきり美しい助手は曲線だけでできていた。それでいて余分な曲線はひとつもなかった」
次はやっと三部作最後の「怒り」 -
Posted by ブクログ
ポーランドの作家「ジグムント・ミウォシェフスキ」の長篇ミステリ作品『もつれ(原題:Uwiklanie、英題:Entanglement)』を読みました。
チェコの「ヤン・ヴァイス」の作品に続き、東欧の作家の作品です… 東欧ミステリ、ポーランドミステリは初めてですね。
-----story-------------
予想の斜め上を行くポーランドの怪作小説!
ワルシャワ市内の教会で、右眼に焼き串を突かれた男の遺体が見つかった。
被害者は、娘を自殺で亡くした印刷会社経営者。
容疑者は、彼と共にグループセラピーに参加していた男女3人と、主催者のセラピスト。
中年検察官「シャツキ」は早速捜査を進めるが、調べれば調べるほど事件の闇は深まっていく。
一方で、愛する妻と娘に恵まれながらもどこか閉塞感を抱いていた「シャツキ」は、事件の取材に訪れた若い女性記者に惹かれ、罪悪感と欲望との狭間で悶々とする。
やがて、被害者の遺品から過去のある事件に気づく「シャツキ」。
真実に手が届こうとしたその時、思わぬ事態が……。
日本中のミステリーファンを唸らせたポーランドの怪作『怒り』、その「シャツキ三部作」の第一作がいよいよ日本上陸。
ハードボイルドなのにポップ、凄惨なのに笑える、一度読んだら中年クライシス男のボヤキがやみつきに!?
予想の斜め上を行く傑作ミステリー!
-----------------------
2007年(平成19年)に刊行されたワルシャワ市の切れ者検察官「テオドル・シャツキ」の活躍を描いた「シャツキ三部作」の第1作です。
ワルシャワ市内の教会で、右眼に焼き串を突かれ男が死んだ… 容疑者は、彼と共にグループセラピーに参加していた男女四人、、、
検察官シャツキは早速捜査を進めるが、調べれば調べるほど事件は混迷し、一方で夫婦関係に閉塞感を抱いていた彼は若い女性記者に惹かれ、罪悪感と欲望との挟間で悶々とする… やがて、被害者の遺品から過去のある事件に気づく「シャツキ」。
真実に手が届こうとしたその時、衝撃の事態が起こる……。
終盤、被害者の妻やグループセラピーの主催者・参加者の関係が明らかになる展開が愉しめるミステリでしたが… 私生活がダメダメな「テオドル・シャツキ」の魅力に惹きつけられて、最後まで飽きずに読めましたね、、、
ある理由で髪は真っ白だけれど、顔もスタイルもよくハンサムな、法と正義を愛する男なのですが、家庭では夫婦関係に、職場では中間管理職の息苦しさに耐えながら、取材に訪れた若い女性記者に心惹かれ、彼女からのメールにいちいち小躍りし、罪悪感と煩悩の間で悶々とする… という人間臭さに好感が持て、共感しながら読むことができました。
先に翻訳・刊行されているシリーズ第3作の『怒り』も読んでみたいし、未翻訳の第2作も翻訳してほしいですね。