小松貴のレビュー一覧
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2014年出版。筆者が32歳の時に出版された初作。「フィールドの生物学」と有るが、固くない。固い部分もあるが、ベースが無頼な感じで楽しい。文章が固くないし、人付き合いが苦手な事、18禁ゲームの2次元キャラを愛でている事、食えなくて辛く不安定な事なども盛り沢山。子供の少ない(ほぼいない)環境で幼少を過ごし、虫に強く惹かれた事と相まって、ひたすら虫と戯れ・経験値を上げ、2歳の時点で虫取りのコツを習得してるとか並じゃない。
多くの博物的な書籍は、個人的に好きだけど大抵は眠くなる。が、この本では全く睡魔が寄り付かなかった。
この本は筆者32歳で出版されているが、現在は43歳。2022年以降は研究職のポ -
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昆虫の生態に関する記述を通して、「人間もまた生物の一種である」という視点を意識させられた。
メスがフェロモンを放出してオスを呼び寄せる場面で、「人間のオスも同じように、知らぬ間に“呼び寄せられている”のかもしれない」と気づかされる。なのに、オスは自分の魅力でメスを引き寄せていると思い込んでいる様子に滑稽さを感じた。
昆虫の話を面白く感じられるのは、それぞれの生態に込められた「エッセンス」があるからであり、自分の仕事の話もこうした視点で丁寧に切り取って積み上げていけば、面白く語れるのではないかとも感じた。
昆虫の「暗いところが好き」「湿ったところが心地いい」といった、生まれ持った性質に従って -
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ネタバレ著者の小松貴博士が、自身の研究やプライベート?の中で見つけることが出来た節足動物の発見記がベースとなっている。
ただ単に対象生物の特徴や珍しさを記載するだけでなく、その生活史や発見記録からどのような生態なのかを想像し、戦略的に見つけるための方法を記載している点が、他の書籍とは一線を画する点であり、非常に面白いと感じる。
また、著者は生物多様性を意識した環境保全について本気で考えており、書籍の中でも環境関連の問題提起や、読者に対してどうしてほしいか、といった注意喚起もあり、好感を持っている。
あと、書籍中に記載されている節足動物に関する知識が非常に興味深いものが多い。 -
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いやー,面白い本だった。
著者は,「好蟻性昆虫」を主な研究対象としているようだけど,本書の題材は,その研究に付随しながら,著者の好奇心のおもむくまま,もっと多岐にわたる。
で,そんなマイナーな研究をちびちびとやっている話かというと,そうじゃない。
文章が上手だからなのか,「研究が大好きだ」と言うことが伝わるのからなのかは知らないが,この極めてピンポイントでしかない話題を,たのしくドキドキしながら読ませる力がある。
文章力があるんだろうなあと思う。研究者然としない文体は,とても好感が持てて,「おれも研究者になりたかったなあ」って思ったりもした。
著者の小さい頃を知っている知り合いの話では,その頃 -
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ネタバレ『裏山の奇人』ということで(一体どんな奇人なのかしら///)とゲスなときめきを抱いて読む。
腐心してカラスの仲間になることに成功し、心満たされた翌日にはカラスに攻撃されたくなり攻撃対象になるように努力したりと、奇人といえば奇人なのかなと思う。
でも文中のそこかしこに(こんなことするオレって奇人だろ?)っぽい雰囲気が漂っていてそこが個人的に残念です。
真性の奇人かどうかはさておいて、昆虫や動物に対する愛情のほとばしり方が素晴らしいです。
私も幼い頃に野生動物にちょっかいを出しては玉砕し続けた過去があるので、著者の忍耐力には脱帽しました。到底かないません。
動物や虫の習性を逆手にとって観察・推 -
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昆虫研究者である小松貴氏の著書、彼の専門はアリに寄生する生き物「好蟻性生物」なのだそうだ。多くの生物学者と同じく、小松氏も子供の頃から生き物好きだったらしい。しかも二歳の頃にアリの巣に住み着くコオロギを発見するなど、好奇心だけではない鋭い観察眼の持ち主だったようだ。
今でも小松氏が研究対象としているアリヅカコオロギにはいろいろな種がいて、アリから直接餌を受け取るスペシャリスト型や、アリに嫌われながらもアリの巣に住み続けるジェネラリスト型など、見た目はほとんど変わらないのに非常に興味深い生態である。
近年、外来生物による生態系の破壊が問題になっているが、小松氏が解説するところによると生態系が -
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好蟻性生物の研究者である著者が幼少から研究者になるまで、裏山をベースに出会った生き物たちや起こった出来事のエピソードを語る。
アリの巣の中にいろんな虫が住んでいることや、アリの力を借りたり騙したりして生きている生物が色々といるのは知っていたけど、そうしたジャンルを好蟻性生物と呼ぶのは知らなかったし、意識もしなかった。生き物の世界は何でもそうだと思うけど、奥深くてユニークで面白い世界だ。その、小さくて狭くてい世界を存分に深掘りしてくれて、とても興味深い生き物たちの生態やエピソードがとても面白い。
また、社会不適合者で生き物マニアで変態(褒めている)の著者が、自分の生活の場からほどない自然を舞台 -
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蜻蛉の幼虫を研究していらっしゃるので
車の中には網、バケツ、パッド、胴長靴、
その他一式をいつも用意されておられる
虫博士の友だち、
野山の道を歩く、それもじっくり観て歩かれる
ので、1メートルを30分は優にかけた観察者になってしまう森の案内人、
そんな素敵な方たちと友達付き合いをしていると
自ずとこの手のタイトルがついた本には手が出てしまう。
そんな友だちに教えてもらったのは
この世の中は不思議に満ち溢れているぞ、
と言うこと。
小松貴さんの周りにいらしゃる方たちも
きっと このことには同意してくださる
と思います。
そうそう、最後の「この裏山の片隅で」の中で小松さんがそこにいるはずの無い -
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昆虫学者に分類学者、その道を究めている人たちって本当に尊敬します。新種の章がすごく興味深く、パリの博物館まで標本を見に行くとか、許可があれば郵送で借りることもできるとか、それも専門家として業績をあげて先方からの信用を得なければならないとか。図鑑に載ってる昆虫さんたちの生態等、先人や今なお研究に励んでくださっている方たちのただならぬ熱意と執念の塊なんだなと思いました。私もカラスと仲良くなったりケンカ(著者のはもっと壮絶)をしてみたい!カエルと合唱なんて、唄の世界だけの話しだと思っていたら、現実にやっている人がいるなんて!
“自然を大切に“の根拠のような本だと思いました。 -
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小学生のころ、夏休みにカブトやクワガタ、セミを採るのに熱中した時期はあったが、いつの間にかその熱は冷めてしまった。多くの人はそんなものだと思う。しかし、著者がすごいと思うのは、虫を発見、収集すべく、極寒の夜中に何時間も待ち受けたり、交通の不便なところや海外の危ないところにまで出向いたりと、その辛さを嘆きつつも、実に楽しそうに虫を探しているところ。一つのことに熱中するというのは本当にすごい。
確かに本書の口絵写真を見ると、美しいなとかすごいなと思えるような昆虫もいるが、紹介されているように何ミリしかないようなムシを一生懸命探すというのはやはり相当に好きでなければできないことだ。著者は昆虫学 -
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本書でも注意しろと書いてあったが、子供の頃アメンボウのことをミズスマシと言う人が沢山いて、しばらく間違えて覚えていた。
本当のミズスマシは見たことがないか、見ても単に「虫」としか思わなかったのだろう。
小さい頃は東京の住宅街である中野区に住んでいたが、今と違って自然がたくさん残っていた。
近所のキャベツ畑にはモンシロチョウの幼虫がいて沢山家に持ち帰ったもんだ。
人が入れる土管があった空き地の草むらにはイトトンボがいた。
哲学堂公園の沼ではヤゴをつかまえて、トンボになるまで観察したこともいい思い出だ。
家の周りの木にはクワガタやカブトムシがいたし、あの奇麗なタマムシも見たことがある。
ミノム