渡邊恵太のレビュー一覧
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ソフトウエアの本質はどのようなところに存在するのか。『融けるデザイン』の正統な発展形として捉えることができる傑作です。
本書にはアラン・ケイへの参照が少なくとも10箇所以上あり、ヴァネヴァー・ブッシュに遡るコンピュータ活用の考え方の歴史を、現代につながるよう非常に的確に言語化され解説されています。さらに著者ご自身の最新の研究とその方向性がていねいに記されています。
また書名については、質量が限りなくゼロに近づきながらも、ソフトウエア開発はものづくりであり、だからこその「工業」のネーミングは外せないとの心意気が伝わってきます。
考察の範囲が広くかつとてもユニークなので、ソフトウエアに関わるエンジ -
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「タイパ重視」という考え方や「動画や音楽の再生は倍速で行なう」こともよく聞かれる昨今。本書が書かれた当時よりもインターネット上の情報量が増加しているだろうし、もはや人の頭で情報を取捨選択・咀嚼するのも容易でない。時間がかかるものは私自身も敬遠しちゃうのは理解しており、いかに普段の生活の流れを止めず、かつ情報を意識させずに、自己帰属感のあるよい体験ができるか。デザインを考える上で今後、より意識していきたい。
あと、本文中の「アナログがいい」という記載を見てふと思ったこと。技術書を読むのに一時期、電子書籍アプリを使っていたことがあったが、なかなか読み進められないし読んでもあまり頭に入ってこないなぁ -
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ネタバレ「透明性」と「自己帰属感」って概念を知れてよかった。
これらは開発に携わる人ならば、エンジニアやデザイナー、ディレクターなど知っておきたい概念だろうな、と。
以下、それらの概念についての説明。
透明性 = 道具を意識しないで利用できること。
例)トンカチを利用することで釘を打つことができる。つまり、人の力を拡張している。しかし使い始めると、自分の手の一部かのような意識となる。
自己帰属感=この体はまさに自分のものある、という感覚のこと。
マウスカーソルや、とんかち、鉛筆などには自己帰属感を感じやすい。そして自己帰属感は気持ちのいいものである。
スマートフォンが出た時、iPhoneだけが自 -
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デザイナーとエンジニア向けとありますが、多くの人に読んでほしい名著。
インターネットを理解するために物理世界のメタファーを必要としていた時代から、今はインターネットを前提とした新たな認知の時代に入ってきている。
スキューモーフィズム→フラットデザイン→マテリアルデザインの流れが何故起きたか?は本著を読むと理解が深まると思う。
デザインというのは単にアートやカラーリングやレイアウトの話ではなくて、いうなれば人間の手や草花、自然そのものもデザインだし、認知を定義するものそのものと言い換えても良くて、そうするとこの先生まれてくるであろう新しい概念やサービスが人に受け入れられるかどうかはほぼデザイ -
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ギブソンの生態心理学を基にした、今という時代が必要とするデザイン論。分かりやすく、刺激的。
3章・情報の身体化がクライマックス。カーソルの自己帰属感の議論は目から鱗だった。
・体験することは「私」の存在を発生させる。
・映像を何本も持ち歩くことが可能となったが、2時間の映画を東京のような交通網で観るチャンスはなかなかない。
・パラレルインタラクションの世界では、文脈はデバイスから生活へ、拘束性は配慮へ、利用タイミングは集中から分散へとなる。
・深澤氏は「プロダクトデザイン」と言うと物質としての人が扱う「対象」の方へ注意が行ってしまって物の設計論になってしまうところを、「インターフェイス」と -
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「融けるデザイン」って何?と思って読んでみる。ネット時代のインタフェースデザインの話。
ただし、人対モノのインターフェースという概念を取り払い、新たな定義とその拡張をすることにより最終的にネット時代におけるデザインがどうあるかにつなげる。
これらの中で定義されていく、モノからコト、UX、ユビキタス、IoT、デザイン思考、これらの概念がすべてつながっていく。こんなにすっきりと世界観を定義できるのかと感心することしきり。
今までいまいち腑に落ちなかったインターフェースの話が何故もやもやしていたのかも非常にクリアになっていく。
誰のためのデザイン?を読んで影響を受けた人、意味もなく「UIはサクサ -