借りたもの。
エロ漫画定番の表現の種類・ルーツを体系的にまとめ分析した、ある種の禁忌?に踏み込んだ一冊。
それらは性への関心・好奇心、そしてファンタジー(妄想やマンガとしての面白さへの追及)と、規制との戦いが複雑に絡み合っていた。
女性の身体の性的に強調される部位の表現から、想像を掻き立てるための
...続きを読むものまで。
胸の大きさ、その立体感を出す陰影やハイライトから動きまで……私は名称が存在していたことに衝撃を受ける。
‘日本の伝統’と言われるタコ(触手)責めが葛飾北斎の専売特許ではないこと、欧米のデビルフィッシュのイメージとクトゥルフ神話のイメージが日本に輸入されていることを指摘。“性器ではない”こととそのインパクトがジャンルとして確立したことを指摘している。
そしてジャンルは進化し、触手もタコっぽかったり内臓っぽくなったりメカになったりと多様化していく。
「断面図」という解剖学的な表現はホラー的な要素も相まって、ハードコア化…エログロ化との親和性があったり。「どうなっているのか?」という好奇心と非現実化。その文脈で男性の身体を透明化している(「男捨離」と言われているらしい)表現に繋がっているのは驚いた。(ルーツは別だと思っていた)
歴史?ある表現だと小さいながらも掲載している図版の多さに驚く。開拓した第一人者へのインタビューも載っている。
エロ漫画特有の表情のリアルとの相互影響、2000年代からよく見かけるようになった擬音?のルーツなども順を追って説明している。
規制修正との苦闘の歴史、世界のマンガ文化への影響なども網羅している。
個人的な見解:「男捨離」は‘様子を上手く見せることができないため編み出された技法だ。見えにくいところを見やすくという意味では「断面図」の発想に近い(p.355)’とあったが、“男性が”描かれている透明化された男性に投影(同調)しやすくなるためではないか、と思う。
女性向けのコミックでは男性が透明化されていることがあまりないため。