マリオ・バルガス=リョサのレビュー一覧

  • 楽園への道

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    フランスの社会運動家フローラ・トリスタンと、その孫であり芸術家のポール・ゴーギャン。作中ではこの2人の主人公の遍歴を交互に語る形で、物語が進んでいく。
    活動した時代や領域は異なっているものの、この祖母と孫の生き様は驚くほど似通っている。周囲の無理解や抑圧に苦しみながらも、自らの理想の世界(作中ではときに「楽園」として描かれる)を貪欲に追い求め、しかし志半ばで力尽きる。無謀だと思いながもその生き方に説得力を感じてしまうのは、史実として語られる出来事の隙間を満たす、作者の創造力の成せる技なのだろう。そもそも、この一見ちぐはぐとも言える祖母と孫を照応させて魅力ある作品を組み立てる試みに、作家としての

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    2025年10月29日
  • ケルト人の夢

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    コンゴとペルーにおける原住民の虐待を告発したアイルランド人にしてイギリス外交官、同性愛者の、実在した人物であるロジャー・ケイスメントの伝記小説。
    最後はアイルランド武装蜂起に関わって絞首刑になる。
    面白かったけど、ハードカバーの500ページ以上の本なので、読みにくい(物理的にね)事甚だし。
    リョサの本は「都会と犬ども」「緑の家」もおもしろかつた。

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    2025年04月26日
  • ケルト人の夢

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    想像をはるかに絶する
    衝撃的な残虐な行為が
    静かな筆致で描かれていく
    なんども 本を閉じて
    ふうっ の ため息が出てしまう

    「闇の奥」を書いたコンラッドは
    この本の主人公ロジャー・ケイスメントを
    「イギリスの(正しくはアイルランド)バルトロメ・デ・ラス・カサス」
    と呼んでいたそうだが
    ケイスメント本人ではなく、彼を主軸に置いて著者バルガス・リョサの筆致を通すゆえに、より鮮明に、より印象深く、「帝国主義」「被植民地」のおぞましい実態が浮かび上がってくる
     むろん、これはイギリス国を始めとする当時の植民地政策をとっていた全ての国の犯罪行為の暴露でもあるが、戦争行為を歴史の汚点と

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    2022年03月22日
  • ケルト人の夢

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    ネタバレ

    2010年のノーベル文学賞受賞作家の最新作。
    とはいってもスペイン語版がでたのが2010年なので
    もう11年も前です。
     これまでのリョサの本とは異なり、いわゆる歴史小越です。
    実在の人物アイルランド人のケイスメントの人生を振り返る話。ケイスメンとはコンゴでそしてペルーで原住民の人権が蹂躙されているのを見聞きし、その問題の解決に取り組む。
    その過程でアイルランドの問題も未開の部族の問題から敷衍すれば理解できることに想到する。コスモポリタンであるケイスメントがナショナリストになっていくという皮肉。
     そしてケイスメントは同性愛者である。
    理想と現実の間に挟まれながら、ケイスメントは突き進む。真剣

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    2021年12月22日
  • 楽園への道

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    長い小説だけど、もう少し読みたいもう少し読みたいと、惜しむように読んだ。
    読み終わってからも、しばらく余韻が残った。

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    2020年05月12日
  • 楽園への道

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    暑くなると、ラテンの文章を読みたくなる。
    ゴーギャンの章が特に良い。肌にまとわりつく熱気と湿気。彼は求めていたものを手に入れたのか?

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    2018年09月10日
  • 楽園への道

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    ネタバレ

    たぶん本書の「正しい邦題」は、「楽園への道なかば」、だと思う。
    「ここは楽園ですか」と問うが、
    「いいえ、楽園は次の角ですよ」と延々先送りされてしまう。
    叛逆者ふたりは、ふたりとも、至れない。

    楽園、なんてばかばかしいね、と生まれた瞬間から白けていた読者が、【1983年生まれが、2017年に読む】(何を見ても、はいはい「ここではないどこかへ症候群ね」)
    楽園、という概念は発生当初から頓挫していたのだ、とわかっている現代の作者が書いた、【1936生まれが、2003年に書いた】
    楽園、を求めて場所も身分も移動した画家の、身体的・精神的挫折や(とはいえ人食いへの無邪気な憧れは保たれていた)、【18

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    2017年07月12日
  • 楽園への道

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    原田マハの「たゆたえども沈まず」、サマセット・モームの「月と6ペンス」とはまた違ったゴーギャン像
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    芸術はパリの芸術家や批評家、学者、収集家たちによってはめこれている、窮屈な型や小さな視野を打ち砕かなければならない。

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    2025年09月11日
  • フリアとシナリオライター

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    バルガス・リョサの半自伝的小説とのこと。ラジオ局に務める青年、その青年のおばにあたる離婚歴のある女性(青年の妻になる)、ラジオドラマの人気シナリオライターが織りなすコミカルなストーリーに、ラジオドラマのストーリーが挿入されており、おもしろおかしく読める一冊。ストーリーが輻輳するという点で、お得感があります(笑)

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    2024年03月01日
  • 楽園への道

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    自らの意思を徹底して貫くという生き方は、どうしようもなく苦しいものだ。
    意思を貫き自分の理想とする楽園へと突き進む道のり、それはまさに地獄の道である。
    楽園への道とは、地獄なのだ。地獄が楽園へと誘ってくれるのだ。
    そう考えると、楽園と地獄は表裏一体なのかもしれない。

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    2020年02月05日
  • 楽園への道

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    画家ゴーギャンとその祖母のフローラの話。2人の物語を交互に紡いでいく。長編だったにも関わらずあっという間だった。あれだけ長い道のりを一貫した気持ちで生きた、と言うところに無駄がなく羨ましい。仕事頑張ろう!と、まぁたまには休んでもいっか!と繰り返し思わせてくれる作品。

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    2017年12月10日
  • 楽園への道

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    やっと読み終わった〜(1ヶ月以上かかった)

    実在した人物、女性社会改革運動家のフローラ・トリスタンと、その孫で画家のポール・ゴーギャンを題材にした小説。
    フローラは19世紀パリ周辺、ポールは主にタヒチが舞台。フローラは労働者の団結を呼びかけ各地を回る。ポールはブルジョワの地位を捨て絵を描く。異なる時代を生きる2人が「反逆者」として生きてきた過程を章ごとに交互に描いている。

    リョっさんの作品を読むのはは『街と犬たち』に続き2作目。正直なところ、読みながらもうラテアメ文学はしばらく読まない!と決めたほど読み進めるのが大変だったけど、読後感は悪くない。あとがき読むとリョっさんの他の作品読みたくな

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    2025年10月03日
  • フリアとシナリオライター

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    ネタバレ

    原題は「La tia Julia y el escribidor」。1977年発表。
    で、映画化されたのが、ジョン・アミエル監督「ラジオタウンで恋をして」(Tune In Tomorrow...)1990年。
    出演は、ピーター・フォーク、キアヌ・リーブス、バーバラ・ハーシー。

    バルガス=リョサ作品は邦訳された3分の1くらい読んだか?
    中では一番読みやすかった。
    読みやすかったから面白かったか? と問われたら、他の作品の難しさや重厚さ自体が面白かったので、本作は正直微妙。
    といっても面白くなかったわけではない、ひたすら微妙。
    まずは作者の自伝を反映している、義理の叔母フリアとの恋愛模様が、その

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    2024年01月23日