山川方夫のレビュー一覧

  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    大好きな作家。
    この人の作品は全体的に淡々としているような冷たさがある。でも話に引き込んでいく魅力がある。自分が一番衝撃を受けたのが「お守り」という作品。どの作品も人間の根底を暴いていくような一面があり、読んでいて少しヒヤッとする。でもこれがクセになる。この全集でなくても、買って読んでみてほしい。

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    2024年02月03日
  • 目的をもたない意志 増補版 ――山川方夫エッセイ・コレクション

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    山川方夫のエッセイ集。ここには30代で没した作家の永遠の若さが封じ込められていると言ってよい。しかし、その「若さ」は「未熟さ」とは異なる。『三田文学』の編集長を務め、江藤淳や曽野綾子などの才能を世に送り出した山川は、すでに20代のころから文学のその先を見通すことのできる、新鋭でありながら老練な作家でありプロデューサーであった。

    山川は高名な日本画家の息子として、裕福な家庭に育った。「神話」というエッセイで、戦前に鎌倉へ「36年型ビュイック」で叔父の家族と一緒にドライブに行き、8ミリでホームビデオを撮った時のエピソードが語られている。山川は、「その日、叔父の8ミリの目が私を狙い続けたことへの恐

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    2025年06月28日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    純文学作家のショート・ショート集。星新一のような統一された様式のようなものはなく、純文学短編のように読めるものから、SF、ミステリーまで、多岐にわたるジャンルごとに筆致も変化する。
    特に冒頭の「親しい友人たち」シリーズが様々なジャンルのあわいを行く、「奇妙な味」があり好ましかった。

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    2025年03月17日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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     終戦直前の疎開先で起きたある出来事のため、少年だった男は暗い記憶を持ち続けてきたが、長じてその地を再訪してある場面に遭遇し、自らの責任はなかったと解放の感を持ったのも束の間、思いがけない事実を知ってしまうという「夏の葬列」、教科書で読んだその作品が、作者の作品を読んだ初めてだった。どんでん返しの面白さとともに、戦争の悲劇とは言え救いようのない結末に恐ろしさを感じた記憶がある。

     その後、作者は山川方夫という人であり、芥川賞の候補に何度もなったこと、ショートショートと呼ばれる作品を多数書いたこと、若くして交通事故で亡くなってしまったことなどを知った。

     本書は、著者のショートショート全編を

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    2024年07月31日
  • 長くて短い一年 ──山川方夫ショートショート集成

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    山川方夫のショートショート集。山川方夫というと随分昔に代表作?である「夏の葬列」を文庫で読んできりで、イメージとしては純文学の人という認識だったので、文学的なものからミステリやSF仕立てのものまでこれほど多様なショートショートを書いていたとは知らなかったし意外であった。収録されたものではやはり「夏の葬列」の印象が強かったが、「頭の大きな学生」や「僧侶の夢」といったSF風の作品もなかなかのもの。
    巻末には都筑道夫、星新一との鼎談も収録されておりこちらも興味深い。

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    2024年05月15日
  • 目的をもたない意志 増補版 ――山川方夫エッセイ・コレクション

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    夭折の作家・山川方夫のエッセイ集。タイトル「目的をもたない意志」は映画批評を集めた第三章の章題でもある。ミケランジェロ・アントニオーニ「情事」、アラン・レネ「ヒロシマ・モン・アムール」、増村保造「妻は告白する」といった、1960年前後の作品を奔放に論じている。自分は映画評論家ではないのだからと、難解な文章ではあるが気兼ねなく書いているのが心地よい。
    芸術映画論だけでなく、怪獣映画好きであるが故の「キングコング対ゴジラ」批判も興味深い。

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    2025年10月01日
  • 長くて短い一年 ──山川方夫ショートショート集成

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     著者のショートショート全編を全2冊に集成するコレクションの二冊目。

     こうしてまとめて作品を読むと、作者がいろいろなタイプ、趣の作品を書こうとした苦心が伝わってくるようだ。短い中にも人物の心理の襞が感じられるものが多い。

     EQMMに連載されていた「トコという男」は、ちょっと変わったミステリ評論風なエッセイなのだが、少し才が走った論の展開で、読むのに少し苦労した。

     ショートショートを二冊にまとめた贅沢な作品集であり、山川方夫という作家の魅力が十分に伝わってくる。
     純文学とされる他の作品も読んでみたくなった。

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    2024年07月30日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    すごく面白いけど、暗いねん。
    何かじとーっと暗い。。。
    ホラー要素が必要とあるけど、ホラー嫌いやねん。。泣

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    2023年12月31日
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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    山川氏は所謂純文学とエンタメの境界領域で活躍した作家さん。教科書に採用されたこともあって、代表作と目される「夏の葬列」も〝オチ〟の後に、主人公の独白が続くという、ショートショートとしては異形なもの。巻末の座談会にもあるようにショートショートに明快な定義なんてないのだけれど。とはいえ、望まない結婚を強いられそうになっている女性の屈折と飼い猫の死を重ね合わせた「猫の死と」や、発表媒体が三田文学だという「昼の花火」が、一般的なショートショートの概念を外れているのは間違いのないところ。他にもショートショートとしては歪さを感じさせる作が多い。むしろ、きちっとまとまっている方の作が、今の眼では古さを感じさ

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    2022年12月20日