道添進のレビュー一覧
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ネタバレ内村鑑三による英語の著作。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の生涯が紹介されている。この5人に共通するのは「徳を大切にし、思いやりに満ちていた」こと「人づくりをしたこと」。「生涯を掛けてやってきたことを、次の世代が何かの役に立ててくれればいい」とそんな声が聞こえてきそうだ。
●西郷隆盛
西郷を語る上で欠かせないのが「陽明学」。「陽明学」はがキリスト教と似ている点が多く、崇高な良心、厳しくも慈悲深い天の教えを説く。革新的で可能性に富んだ教えだ。一方江戸時代の正学「朱子学」は保守的であり、支配層は陽明学がキリスト教に近かったために弾圧したとする。
西郷よりも優れた人物はいた。木戸孝允や大久保利通、三条実美や岩倉具視である。しかし、西郷なしには維新革命は起こらなかった。西郷こそが革命運動を始動させた人物だからだ。
東アジアの統合は、列強国に並ぶために必要な道であったと肯定しつつ、征韓論に関しても、朝鮮側が無礼を重ねたためであったとした上で、西郷の言動は天の法に則った行動であると記す。
西郷は勝海舟に向かって「もし戦火を交えたら、我々のせいで罪もない民が苦しむ羽目になるだろう」と。結局江戸の町は救われ、和平がもたらされた。西郷の強さの奥には、女性的な優しさが多く潜んでいた。
西南戦争で西郷は自害。最後の侍もいなくなってしまった。
「正義がきちんと行われていること」。西郷による文明化の定義だった。「どんな形であれ、一国の名誉が傷つけられた場合、政府が行うべきことははっきりしている。(略)正義と大義の道に従うのだ。戦いと聞いただけでびくびくし、安易に平和を金で買う者は商法管理機関とも呼ぶべきもので、断じて政府のやるべきことではない。
・「正しくあれ、恐れるな」(Be Just and Fear Not.)(シェイクスピア「ヘンリー八世」)。自分の心に恥じるところが
ないならば、どんな批判を浴びようとも恐
れずに前へ進もう。
・「敬天愛人」(天を敬い人を愛する)が西郷の生涯の徳目だった。
・「好機(機会)には2種類ある。思いがけずやってくるものと、自ら働きかけた結果やってくるものだ。世の中で好機と呼ばれているものは、おもに予期せずにやってくる者ものを指す。しかし本当の好機とは、時代の求めに応じ、しかるべき理由を見いだし、それを実現しようと行動を起こした結果なのだ。危機に直面した際は、好機を自ら引き起こさなければならない(61)
●上杉鷹山(米沢藩主)
上杉家は120万石の越後国を支配した謙信を家祖とする大大名。関ヶ原の戦いで西軍(反徳川)に付くなどして、15万石に削られる。家臣の数はそのままで、固定費がかかり、しきたりも長年変えることができず、財政破綻状態。
この中で、藩主・家臣・領国民の「心(道徳)の改革」「社会(財政)の改革」に成功した。心の改革については、藩主の地位について2年後、初めて米沢の地に向かう際のエピソードが紹介される。
「目の前の小さな炭火が今にも消えようとしているのに気づいた。大事にしてそれを取り上げ、そっと辛抱強く息を吹きかけると、実に嬉しいことには、よみがえらすことに成功した。”同じ方法で、わが治める土地と民とをよみがえらせるのは不可能だろうか”そう思うと希望が湧きあがってきたのである」(81-82)
・「徳によってきちんと社会が治まれば、統治の仕組みは却って邪魔になる。封建制度の優れた点は、この支配する者と支える者との個人的な人間関係にある」(75)
・どんな社会の仕組みも徳(精神の修養によってその身に得たすぐれた品性)に代わるものはない。徳によって社会が治まれば統治の仕組みは却って邪魔になる(74)。
・本当の忠義(主君や国家に対し真心を尽くして仕えること)とは、主君と家臣とが、直接向き合って初めて成り立つもの(74)。
・賢い者は樹をまず気遣うから果実が得られる。ここに鷹山が一連の産業革命を成し遂げられた理由がある。人々に「徳」を身につけさせることを目指していた(92)。
・全ての学問が目指すものは、徳を修めることに他ならない(103)
・汝の夫は父として領民を導き、汝は母として民を慈しみなさい。その時民は汝らを親として敬うであろう。これに勝る喜びがあるだろうか(104)。
●二宮金次郎(農村改革の指導者)
16歳のころに父親を亡くし、叔父の世話を受けます。叔父に世話にならないよう働き、夜に油を使って本を読むことを叔父に咎められたため、山に行く往復の道で本を読んでいた。休みの日には、菜種を育てるという試みを通じて、真面目に働くことは価値があるのだと学んだ。
それから叔父の家を離れ、荒れ地を整え資産を得、超貧乏だったところから勤勉と倹約で公の仕事に抜擢された。
「仁術(道徳)さえ施せば、この貧しい村の人々に平和で豊かな暮らしを取り戻させることができるはずです。補助金を与えたり、年貢を免除したりしても、苦しんでいる人々を救うのに何の役にも立ちません。それどころか、金銭援助を一切しないことこそ、救済の手立ての一つとなります。(略)荒れ地は、荒れ地そのものが本来もっている力で切り開くものです。貧困も自力で立ち直らせなくてはなりません」。優しくも、厳しいリーダーの弁だ。
●中江藤樹(儒学者)
中江藤樹(1608-48)は、日本における「陽明学」の開祖。
米子藩、大洲藩に赴いた後、郷里である近江国高島郡小川村(現在の滋賀県高島郡安曇川町上小川)近江に戻り、私塾を開く。これが、藤樹書院である。
1642年のある日、不思議な縁で遠方の侍が弟子になる。これが熊沢蕃山(1619-91)で、藤田東湖(1806-55)がその思想に傾倒したのだとか。その藤田東湖の影響を受けたのが西郷隆盛(1818-77)。岡山藩主池田光政も門人として名を連ねる。
王陽明は、孔子の先取りに富む気性を丹念にすくい上げたその上で、自己流の後ろ向きな解釈をしがちな人々に、希望を抱かせた。(略)こうして近江聖人は実践の人となった(p.177)。
「道(心理)は法とは別物(略)「法」は時とともに変わる。これに対して「道」は永遠から生まれ出るものだ。徳と呼ばれるものに先だって、広く行き渡っていたのが「道」である」(pp.177-178)。
教えで重視したのは、一人一人の徳と人格。それは人間一人一人が独立した個性であって、比較できるものではない。生活を正し、日々小さな善行を積むことで人格が形成され、真に人を感化させる影響力を持つようになる。
●日蓮
仏の教えは一つしかないにも関わらず、なぜ複数の宗派が乱立するのか。ただ仏の言葉のみ耳を傾けるべきだという並々ならぬ意志が芽生える。しかしこの動機は既存の仏教を批判するということに他ならない。日蓮は故郷で自分の考えを述べると村を追い出される。さらに辻説法が評判を呼ぶと高僧たちからは睨まれる始末。
さらにまったく後ろ盾がないまま時の権力者・北条時頼に既存仏教に批判的な『立正安国論』を第5代将軍・時頼に提出(1260)。その結果伊豆流罪(1261-63)、佐渡流罪(1271-74年3月)に。
元寇の危機が迫り鎌倉に戻る。鎌倉に戻ってまもなく、日蓮は教義を国中に広げることを許される。篤い信仰心がついに勝利を収めた。
しかし、まもなく文永の役(1274年10月)、弘安の役(1281)、鎌倉大地震(1293)がおきるなど、『立正安国論』に記された不安は続く。この不安は、日連宗信者を増やしたのでしょう。
本質はたった一つでしかない。仏陀が残した最後の経文『法華経』しか信じないという排他性が、本願寺焼討ち(1532)や天文法華の乱(1536)に繋がったことも否めない。「排他的」は「ほどほど」に。多様性を受けいれるというのが、今のご時勢・世情には適っているように思うのだが。 -
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■感想
青天を衝けのネタバレでもあるかもしれないので注意。
渋沢栄一がかなりすごい偉人なのに、小中学校の社会の教科書に一度も出てなかったのが疑問。今はもう出てるのかな?
この本には渋沢栄一自身がどういう人物であったかを自分なりに解釈して説明している。ここが「青天を衝け」の吉沢亮さんの演技が間違ってないことがわかる。吉沢亮さんもこの本を読んだのではと思います。
今の若者は〜という文章が度々出てきますが、明治の頃から若者に対して、「今の若者は〜」って言われるんですね。
■名言・実践
論語は決して難しい学問や理論ではない。論語の教えは広く世間に効能があるので、元来わかりやすいものである。
才能の向き不向きを観察して、適材を適所に置かなくてはならない。
正義を断行する勇気を育むには、武術の稽古や下腹部の鍛錬といった肉体の鍛錬とともに、心の修養をしなければならない。精神をしっかりと鍛え、心身が一致した行動に導いてくれる。そこから自信が生まれ、勇猛心が向上する。
ただの肉魂
■不明
唯々諾々、虚飾、利殖、轍、崇高 -
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ネタバレ起業家の方、会社を経営してる方向け
豊かになる源は仁義や道徳
道理=人のふみ行うべき正しい道、
すじが通っていること。正論であること。
[デジタル大辞典より]
道理と共に行動する人は栄える。
競争心、警戒心が身を引き締め、成長に繋がる。
誠心誠意、誠を持って自分を律する
人生がうまくいってると、侮りがち。節操ある行動を心がける。
①道理に叶うか
②世の中のためになるか
③自分のためになるか
つねに学問を探究し、精神を衰えさせない
経世済民=世の中を治めて人々を救うこと
千里の道も一歩から
どんなに小さな事でも誠意を持って勤勉に、忠実に行う事。
自信過剰になりすぎない。
揺るがない信念、軸が大事
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『風姿花伝』は、本書の冒頭にも書かれているように、「いかにして美しい芸の花を咲かせ続けるかを語った本」です。
会議の際の話の花、プレゼンの説明ポイントの花、酒宴の際の会話の花など至る所で花を咲かせている人がいる。
本書はそんな花を、自分で咲かせてみようというのがテーマになっています。
また、本書には沢山の名言があります。
自身の心に響く名言に出逢える楽しさもあるかと思います。
そもそも『風姿花伝』は、能芸で有名な世阿弥が、たった一人の跡継ぎのために書いた秘伝書です。
それが、今や世界最古のビジネス書と言われているそうです。
本書は序の章とそれに続く7つの巻から構成されています。
具体的にはこんな感じです。
序:斯道を極めるための心得について
第一:年齢に応じた学び
第ニ:模倣と創造
第三:勝負の心得
第四:原点を問い直す
第五:ターゲットを明確にする
第六:強味を持つ
第七:まとめ(信条や志を記したまとめ)
特に私が感銘を受けたのは、「能の命は“花”にこそある」という言葉であり、その解説でした。
年季の入った名人と言われる役者でも、近頃出てきた若い役者との立ち合い勝負に負けることがある。
これを「時分の花」というそうです。
年季の入った役者は、新鮮味がない。そこへ真新しい花が挑戦する。すると若い役者が勝ってしまうことがある。
本当の目利きの観客ならば見抜けるがそうはならないのが世の中。
「どんな銘木であろうとも、人は花が咲いていない時の木など見はしない」
また、沢山の花を持っているつもりでも、それを観客にとって花に見える工夫をしなければ、誰にも見られることなく、無駄に咲き誇っているだけになってしまうと著者は述べています。
だから、「能の命は“花”にこそある」なんですね。
これはまさにビジネスの世界でも同じことが言える。
今の自分の置かれている状態と合致している。そう感じたと共に明日からの活力を与えてくれた一冊でした。
ちなみに第三部は、世阿弥の名言集になっているので、お時間ない方はそちらを読むだけでも一読の価値ありだと思います。 -
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唐の皇帝太宗とその家臣たちの問答集。時代が違ってもこのリーダー論、あるいは部下としての振る舞いが組織の良し悪しを決めるのだろう。
会社という組織では我々は上司と部下という立場になるが、どちらも誠実でなければならない。
上司は強力なリーダーシップが求められる時もあれば、部下の失敗やミスに対して寛容さが必要なときもあるし、忠言に耳を傾けるだけの器量も必須だ。逆に部下は与えられた仕事に対してまじめに取り組み成果を上げると同時に、上司が誤った道を選んだ時には恐れず進言することも時には必要だ。流水清濁在其源也(流水の清濁はその源にあり)という言葉で川の流れの清さは源流にあるということだ。中間管理にあたる人を含めて多くの人に読んでほしい一冊。 -
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日本人の優れている点を外国人に説明する場合、やはり同じ思想的土俵に立つことが近道・・ということで、キリスト教徒でもある内村鑑三が英語で書いた本の日本語翻訳が本書です。そして、代表的日本人の選定基準は人徳の有無のようです。
まずは、西郷隆盛、江戸幕府を無血開城させた官軍の功労者です。このことで、当時、日本を狙う列強に隙を与えず有能な人材を殺さずに済んだ点は、その後の日本の発展を考えれば妥当な選出でしょう。朝鮮問題の立場については賛否両論あるようですが、相手国から不当に扱われても平和路線にしがみつく軟弱外交への歴史的転換期、つまり日本人の中のサムライスピリッツの喪失がこの時点から静かに始まりました。また、組織における人材の重要性を見抜いていた人物でもあります。
続いて、米沢藩主の上杉鷹山、農民聖人の二宮金次郎、日本の陽明学の始祖である中江藤樹、仏教の正当性にこだわった日蓮宗の開祖である日蓮らの生きざまと言動が手際よく紹介されます。
最後に、翻訳者が本書を簡単にまとめていますが、欲を言えば、内村鑑三のプロフィールと英語で書かれた時代背景に照準を合わせた方が本書の価値と意味がより理解されたと思います。 -
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ネタバレ栗山監督が選手に送る本であり自身も何度も読み返す本と知り購入。
気に入った文章として、
順調だからといって気を緩めず、失敗したからといって落胆せず、常に節操ある行動を心がけるべき
どんな小さな仕事でも軽蔑することなく勤勉に忠実に誠意を込めて1つひとつ完全に成し遂げなくてはならない。
仕事とは地道に努力を重ねれば精通していくが気を緩めると荒んでしまう
人道は忠恕から成り立っている。貧困者と接する時、真心や思いやりの気持ちを持って哀れみの情を持つべきだ
などがあった。
人として大事なことは時代を超えて変わらない。ビジネスにおいてお金と正義が両立できることを立証した本だが、人生の哲学本としても読む価値の高い本である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ代表的日本人についての本。徳と素直さが驚くレベルですごい。
<メモ>
・徳を高める
徳は自立から磨かれる
日々の積み重ねが成長に
・試練を好機と捉える
苦しい時こそ希望を見出す
目の前の課題に全力で当たる
・ゆるぎない信念を抱く
民の声は天の声
成功体験が信念を醸成する。
・リーダーシップを育む
今最も適したものを考え出す
命にかえる覚悟をもつ
・実践の人となる
現場での気づきを大切にする
判断基準は動機が誠実かどうか
新しい解釈を世に問う
・ひとに自分に素直であること。慎ましい努力を
自然はその法に従うものに豊かな恵みで返礼してくれる。
忍耐強さ、勤勉さ、信念。
・誠意は天地をも動かす。という一途な思い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ栗山監督のバイブルを読もうと思って。大谷に様々なルールを課して自律心を鍛えさせた、そのもとを知ろうと思って。
みんなに知ってほしい。経済は必ず道徳観とセットで語られるものだということを。
そして、渋沢栄一も日本に良い経済を広めるために、人々に道徳を大事にすることを求めた。
「常識が大事」ってのはシンプルすぎて驚いた。でも、合理的だった。日本が何で宗教もなくこれほどに道徳をもてるのか。そういうところも察することができた。
もう一点驚いたのが、渋沢栄一の考えていること、不安視していることが、21世紀の現代日本にも当てはまるということ。
画一的な教育じゃなくて一握りのエリートを育てて、世界に通用する日本人を育成する必要があること。近代化して技術発展によって高齢化が問題になるから、老人は生涯働いて自立すべきだという考え。
逆かな、社会問題というか、社会の課題ってのはいつの時代も根本は変わらないんだよな。その時代ごとに、時代の特徴にあった問題解決をしていかなきゃあいけないってことを認識できた。