J・D・ヴァンスのレビュー一覧
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トランプ政権がなぜ誕生したのか、少し理解できた。自分たちはシリコンバレーやLA、NYのアメリカのキラキラした側面しか知らないのだなと感じた。アメリカの貧困層は白人のアメリカ人の割合が最も高いというのも自分たちが持っている先入観を覆すものだった。ラストベルトでかつて栄えアメリカを支えた地域がいまや見捨てられ、アルコールと薬物が充満し、その子供たちもアメリカンドリームなんていうのはまさに夢のまた夢になってしまった現実がある。よく考えれば日本でも地方に行った時の過疎化は惨憺たるものでより国土が広いアメリカがさらに酷いのは当然と言えば当然なのかも知れなかった。次期大統領のNo. 1候補のこの人が、次の大統領となったらアメリカは一体どうなるのだろうか。
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Posted by ブクログ
トランプに投票する人たちの気持ちを知りたくて読んだのだけれど、貧困層の生活の闇をありありと見せつけられて、ノックアウトされた。ほぼ同世代の私は、彼が海兵隊に行っていた頃、親のお金で留学していた。錆びついた工業地帯に含まれているペンシルバニアやデトロイトへは旅行で訪れたことがある。街自体は死んでいて、たまに人を見かけると明らかに薬物でキマっている人やホームレス、恐ろしく太った女性など、それはそれは恐ろしかった。今思えば、有色人種ではなく白人が多かった。私はその状況を「怖っ」と眺め、みてはいけないものとして目をそらし、別世界として線を引いた。
これまで、ニューヨークやカリフォルニア、ポートランドなど、リベラルで民主的なアメリカに憧れを持ってきた私は、トランプ政権でとても裏切られたような気がしていた。だけど、リベラル層がトランプに負けた理由は、彼らの存在を見ないふりしていたことにあるのだろう。
環境保護や気候正義、LGBTQ +、ジェンダー、人種など、誰一人取り残さない社会と謳いながら、ごっそり抜け落ちている自国の人たちがいる。貧困が進む日本でも全く同じだ。上から目線で正義や綺麗事を語る前に、この状況をお前こそ自分ごととして考えろよと、突きつけられた気がする。特権的立場から物事を見ている自分を恥ずかしくも感じた。
ただ、敵をつくることで自国を守ってるふりをするのは、愚かだ。 -
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面白く現在のアメリカを知る参考にもなった。
J.D.ヴァンスがまだ無名の弁護士だった2017年に書かれた回想録。
田舎の荒れた地域のやんちゃだった兄ちゃんが、よき人々との出会いとサポートを得て、成長できる環境を自ら獲得し、アメリカンドリームをつかむというよくある物語だけでなく、その背景となっている貧困地域に住む白人労働者たちの日常生活が解像度の高いリアリティを持って語られている。
ひどい環境の中に埋没していると何をやってもダメだと絶望してしまう感覚が、本人の実体験をベースにしているので、とても生々しい。
ただし、諸々の歴史や環境が生む文化資本の差によって、99.9%のヒルビリーはJ.D.ヴァンスのようにはなれないことも、悲しいが現実であることも突きつけられている。 -
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トランプ政権の副大統領J・D・ヴァンスの自叙伝。いわゆる社会から取り残された白人層。グローバル化による格差拡大の最も大きな影響を受けたラストベルトと呼ばれる地域の白人とともに、オハイオ州ミドルタウンおよびケンタッキー州ジャクソンはアパラチアのいわゆる「ヒルビリー」(田舎者)と呼ばれる独特の白人たちの居住地域で、ヴァンスはそこで育った。西海岸や東部の白人たちとは全く価値観の違う社会で、薬物中毒で次々に男を変えて行く母親の元でさまざまなトラウマを抱えながら成長するヴァンス少年。しかし、彼を救い人生の成功者の道へ導く盾になってくれたのは彼の祖父母(特に祖母)や姉(リンジー)である。祖母の保護もおかげで精神的に安定して高校生活を過ごすことができたヴァンスは海兵隊に入隊(当時、アメリカはイラク戦争の最中であったので祖母は大反対であったが)し、そこでの厳しい訓練と生活で鍛え直されることで、今までとは違う人生に対する前向きな価値観を獲得する。その後、オハイオ州立大学からイェール大学のロースクールに進学することが出来た彼は「ヒルビリー」からの「エリート」の道を進むことに成功した稀有な存在である。しかし、そんな経歴の彼であるから、取り残された白人層の実態や心理を嫌というほど理解できており、また、海兵隊員としてイラクに派遣された際に戦争に巻き込まれた現地の子供達を暖かく見守る思いやりのある人柄であることから、彼が、ポストトランプの次期大統領になる事でアメリカ社会の再建の可能性に期待できる希望が持てた。ウクライナ大統領のゼレンスキーとの口論から、あまり良い印象を持っていなかったが、本書を読むことでヴァンス氏に対する認識が大きく変わることになる。
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アメリカ、ラストベルトの白人労働者の文化を綴った本。民俗学と言ってもよいのかもしれない。
自分の人生なのに、自分ではどうにもならないと考え、なんでも他人のせいにしようとする。p15
「政府は生活保護をもらって何もしない連中に金を払ってる。やつらは、おれたちの社会をバカにしてる。働き者はみんな、あいつら毎日働いてるぜって笑いものにされてるんだ」p238
能力は関係ないと言いたいわけではない。もちろんあるにこしたことはない。ただ、自分を過小評価していたと気づくことと、努力不足と能力不足とを取りちがえていたと気づくこと。それにはとても大きな意味がある。p299
アメリカのヴァンス副大統領が、この世界の文化で育ち、そこから抜け出していくストーリー。
面白い。
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2025年現在のアメリカ副大統領が2016年に発表した半生記。
アメリカのラストベルトに暮らす、貧しい白人労働者階級の生活を描いている。
この本がアメリカでベストセラーになったのは、幼少期における貧困層の生活と、大学以降、特にエリート層が大半を占めるイェール大学での生活を比較し、そこにいる人々の特徴や人生を描いたからだろう。
この本を読んで感じるのは、貧困層から抜け出す難しさやエリート層には一般的な家庭では得られない社会的な資本があるという事。
また、良くも悪くも人生における家族の存在の大きさである。筆者は祖父母に特別な感謝を示しており、本書を書く理由として二人の存在を世界に知って欲しかったからだろう。
社会の最小単位である家族や生活の場である家庭が、その人の人生にどれほど大きな影響があるのか、改めて考えさせられた。
親の子どもへの愛情は、家庭の貧富に関係無く絶対に必要なものであると感じた。もっと言うと、日々の生活圏にいる子どもたちを大切に思う気持ちも大事だろう。社会を良くしていく第一歩は、我々一人ひとりの子どもたちへの思いにかかっている。
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Posted by ブクログ
私が知ってるアメリカは自由で危険でいろいろ雑な国。アメリカ人はプレゼンや議論上手で立ち回りが得意だけど、地道な作業は苦手。
そんな自分が知っているアメリカとは全く違う世界を、今まで発信されてこなかった声なきアメリカ人の世界を、この本は示してくれた。
白人労働者階級、貧困層を体験して苦しんで来た著者だからこそ言える気持ちを、コミュニティやそこで住む人々に愛情を持つからこそ言える思いを、この本は示してくれた。
代々続く貧困と諦めの連鎖。離婚や家庭崩壊、ドラッグの連鎖。外を知らないからこそ、抜け出し方も分からない若者や子どもたち。虐待的な環境にいるから自分の感情コントロールも学べない子どもたち。
努力しないからいけない、と切り捨てることでは解決しない重い重い問題がそこにはあることが分かりました。
バンズは副大統領として、意地悪で怒りっぽく高飛車だと、悪い印象しかなかったけど、あの酷い家庭環境のサバイバーであり、白人貧困層の代弁者だと思うと、少し理解できる気がする。
アメリカの白人貧困層はどこへ向かうんだろう。日本も同じ道を辿りつつあるんだろうか。
非常に新しい発見があり、考えさせられる一冊でした。