J・D・ヴァンスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の無知が恥ずかしくなるが、アメリカ国内で白人労働者という貧富の差があると知らなかった。
アメリカの人種差別の歴史は映画であまりにも有名だが、ヒルビリー(田舎者)やレッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)ホワイトトラッシュ(白いゴミ)という呼び名があることを知り、見識を広げるのに役立った。
トランプ大統領になぜ熱狂的な支持者がいるのか、UKスチールを日本製鐵か買収することをなぜ拒むのか、繁栄から取り残された人たちの愛国心に共感するメッセージを発しているためかと少し理解出来たように思う。
筆者は、白人労働者が成功しないのは、育った環境や無知、周りの人間の考えの影響が強いとはいえ、自分自身のが変わろうとする努力をしないことが原因だと語る。
その後著者のネット記事等を読むと、トランプ氏に対して、自分たちの貧困を政治や生まれ等のせいにする他責思考を助長するだけだと批判した。しかし政治家として今はトランプ氏を支える副大統領。自分の立場のために、かつての考えは覆えざるを得なかったのか。
海兵隊ブートキャンプの厳しさと、貧しい家庭環境で育ったにも関わらず、自分を律することを学び、未来に失望せず努力することを実践した筆者は尊敬に値する。
また、生まれ育った貧しい階級から裕福な層へ以降していく中での彼の気づきは、社会を理解するのに役に立つ。読物としてはとても面白かった!
P345
エリート層になるためには、社会的ネットワークが重要。というのは日本でも同じ事。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、オハイオ州の小さな町で幼少期を過ごした著者のJ・D・ヴァンス氏が、自身の20代前半までの人生を振り返りながら、「ラストベルト(錆びれた地帯)」に住む人々がどのような価値観を持ち、どのような人生を送るかについて克明に記した作品であり、かつ彼自身がどのようにその環境から抜け出し、成功を掴んだのかについて克明に記した作品である。本書全体を通して非常にリアリティが高く、夢中になって読む事ができた。
著者謂く、「ラストベルト」に住む人々の価値観の根底には、消費主義、孤立、怒り、不信感の4つがあるという。そしてさらに、保守主義者たちの言動は、「ラストベルト」に暮らす人々が抱いている負の感情を煽る事に終始していて、それがかえって彼らのやる気を奪っているという懸念を指摘している。この点については、私も著者と同じ意見である。
著者のJ・D・ヴァンス氏は、トランプ政権において副大統領を務めることになるわけだが、「ラストベルト」に出自を持つという面と、イエール大学ロースクール卒というエリートとしての面の両方を持つ稀有な人材として政権を支えてくれる事を期待しながら、これからも彼の言動に注目していきたい。
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Posted by ブクログ
プア・ホワイト(白人労働者階級)が置かれている過酷な状況を鮮やかに描写している。著者が自身の人生を、驚くほど赤裸々に綴っている点には特に圧倒された。また、印象的だったのは、著者が自身の不遇なルーツを肯定的に受け入れている点だ。しかし、現代社会においてはその「変わらない気質」が時に障壁となる矛盾も描かれており、「それは本当に守るべきものなのか?」と考えさせられる場面もあった。なぜ彼らはトランプを熱狂的に支持し、大統領の座にまで押し上げたのか。その背景にある心理を知ることは、日本における右傾化の現在地を考える上でも、多くの共通点があると感じた。
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Posted by ブクログ
トランプ大統領が誕生したアメリカの土壌を知りたく、ずっと探していた本が書店に並んでいたので手に取った。
第二次トランプ政権の副大統領J .D.ヴァンス著。「ヒルビリー」とは田舎者、「エレジー」とは哀歌とか悲哀の意味。(アメリカの繁栄から取り残された白人たち)の副題にある通り、かつて鉄鋼業などで栄えたラストベルト地帯の荒廃、白人労働者の悲惨な日常生活を描く。ヴァンス自身が「本書の第一目的は、問題を抱えて生まれてきた人たちが自分たちの問題をどう感じているのかについて、真実の物語を伝えることにある。」と書いてあるとおり、自身が生まれ育った白人労働者階級としての半生を描き綴っている。
一歩引いて俯瞰してみると、日本も世界の繁栄から取り残されており、いわゆる中間層のサラリーマンの近未来が白人労働者と重なってみえた。
トランプ現象が世界に広がり日本にも影響を与えていることも必然に感じる。明らかなフェイクニュースや陰謀論、現状の不満は他者へ向かう。悪いのは人のせい。そう思わざるを得ない日常生活が白人労働者階級の人々の目の前に広がっていた。
海兵隊に入隊して心の奥底にヴァンス自身がもつ厭世的なものの見方が問題の根深さを著していた。
一 能力は関係ないといいたいわけではない。もちろんあるにこしたことはない。ただ、自分を過小評価していたと気づくことと、努力不足と能力不足とを取り違えていたと気づくこと。それにはとても大きな意味がある。
だから、白人労働者層のどこを1番変えたいかと問われるたびに、私はこう答えてきた。「自分の選択なんて意味がないという思い込みを変えたいです」海兵隊は、外科医が腫瘍を切除するように、その思い込みを私から取り除いてくれた。 -
Posted by ブクログ
ヴァンスの自叙伝。率直な言葉で、貧困家庭から階段を上ってきた過程を振り返り、何に驚き、自分の人生をどう軌道修正しようとしてきたのかを語っている。
経済的に恵まれず、ドラッグに手を出した母親と何度も変わる“父親候補”、という環境の下で幼少期から少年期を過ごした彼が、粗雑な性格ではあっても愛情を注いでくれた祖母に支えられて必死で生き抜いてきた姿は、そういう場所が、世界があると知識では知っていても、やはり想像を絶している。「こうすべきだ」と正論を述べるのは簡単だが、客観的に正しいと思われる行動を起こす、その行動を継続することがいかに難しいか、ましてや、意欲を削ぐような環境に置かれても、その正論を考え続けることができるのは、やはり相当な意思の強さがなければ不可能だろうと、読みながら考えた。
トランプの熱狂的な支持者が、何を考えトランプに何を託しているのか、今のアメリカには”荒療治”が必要と考えている人の背景が多少理解できたかもしれない。トランプの横に座るヴァンスは今、心の中で何を振り返り、どんなことを考えているのだろうか。