稲穂健市のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表紙に惹かれて手に取ってみました。
感情的には、「ジブリ風」のAI騒動はかなり不快感を抱いていましたが、本家本元が訴えなかったので静観するしか…と思っていましたが、この本を読んで何故かがわかりました。
漫画アニメ映画が好きで二次創作も見るので、著作権はよく聞くものかなと思っていましたが創作物だけに限らず人間の営みに知財は関係し続けるということがわかり、自分が見ていた・知っていた世界は狭かったな!と思いました。
おわりに の冒頭の言葉通り、『世界は「知財」でできている』のだなとしみじみ。
日本国内だけではなく、技術やネットの発展に伴い海外や仮想空間でのものをどう扱うか、考えるか、止まらない進 -
Posted by ブクログ
ネタバレ普段読まない知財について、難しい表現もあったけどわかりやすく説明されている本だと思った。
アテンション・エコノミー、注意経済、関心経済といい、人々の注意、関心か大きな経済的価値を持つことに注目した結果、アテンションを獲得するための真偽不明な刺激的なコンテンツで溢れかえっておること、それによって質の高いコンテンツが減っていくことを危惧している点。
また、生成AIに頼り切ることの危険さについて、人間の創造的な行為がリスペクトされない社会になってしまうと、ただでさえ衰退してきていると感じられる人類の知性が、さらに後退してくのではないかと心配している点については同感と感じた。 -
Posted by ブクログ
知的財産権について説明した本。知的財産権には、著作権をはじめ、特許権や商標権、肖像権などがあるが、これを体系的にまとめ、わかりやすく説明している。適当に例をあげているし、分析も深く、正確で学術的な記述が心地よい。参考となった一冊。
「メディアなどで注目を浴びた人が、いったん「パクリをする人物」というレッテルを貼られると、再起不能なまでに叩き潰される傾向にある。パクリは不倫と並んで、血祭りに上げられた人間が、その一生を棒に振ってしまうかもしれないリスクファクターと認識されつつある」p6
「ほとんど同じにしか見えない中央大学の「C」マーク、広島東洋カープの「C」マーク、米大リーグのシンシナティ・ -
Posted by ブクログ
知的財産権に関する、良い導入書です。
とにかく実例が豊富な本です。当事者、特許庁、裁判所といった関係者がどのような判断をして、どういう結果となったかを見ていくスタイルになっています。現実の事例なので、話の背景が見えてなかなか面白かったです。ニュースでも話題になった有名な話も多数登場します。
きっちりとした法律用語を使ったり、実際の条文を示したりということは極力せず、噛み砕いた分かりやすい表現で書かれており、あまり前提知識を必要とせず読めるようになっています。堅苦しくないので、気楽に読めます。
ただ、検索性はちょっと悪いです。目次には、章単位でのページ番号しか書かれておらず、各事例のタイト -
Posted by ブクログ
タイトルどおり知的財産について楽しく学べました。著作権、特許、実用新案権、意匠権、商標権、不正競争防止法、肖像権、パブリシティ権などの「だいたい同じように感じられて、良くわからない」権利を具体的(かつ絶妙な)事例を挙げながら解説してくれる。
・知的財産の世界は感情と法に大きな乖離があるように思える(個人的には)
・商品やサービスを世に出すとき抑えとくべき権利をしっかり検討したがよい
・商標登録をうまく使うと半永久的に権益を維持できる(こともある)
・何か困ればちゃんと勉強したほうが良い
・安易に「それってオレの著作権侵害してんじゃん」などと言わない
知的財産戦略と言う言葉が個人的にとっても好き -
Posted by ブクログ
ちょっと勉強がてらと読み始めたが、あまりの面白さに一気読み。いやー、久々に素晴らしい新書に出会った気分。去年の春先にはやはり現代新書で文明探偵の冒険という当たりを引いたが、老舗新書の中でも一般向けの現代新書らしいいい本。
なにが良かったかというと、第1には著者が読者を本当に楽しませようと思って書いていることだと思う。ともすれば無味乾燥した内容になりがちな法律関連の入門書にも関わらず、至る所で著者の顔が見える。なによりも、著者が疑問に思ったことはジャニーズ事務所だろうがなんだろうが、一応、当たっていてそのやり取りが記されているのが面白い。さらには、これは読者によっては本筋から離れるので嫌う人もい -
Posted by ブクログ
知的財産に関する割と最近の話題をいくつか取り上げた新書。
仕事柄、知財に触れることも少なくないので興味深く読めました。
気になったネタはAI作品と知財に関するもの。
AIで作られた画像や文章に著作権が認められるのか?
現状の答えは「否」とのこと。
作者の創作的寄与が小さいことが理由のようです。
線引きが難しい事例が出てきそうですが、主筋は納得。
その他、鬼滅の模様問題、ヴィトンの市松模様問題、ゆっくり茶番劇騒動など、一般でも知られている話も出てきて、敷居の低い雑学書的な読感です。
企業の知財戦略や特許訴訟のような話題も取り上げているので、知財全体の雰囲気を掴むのに良い一書と思います。 -
Posted by ブクログ
著作権=思想・感情を創作的に表現したもの 創作の主体が人間であること
プロンプト入力で作られたものは著作物性は無い?
AI開発/学習段階:著作物を読む見る聴く行為(享受)は著作権の問題にならない
生成/利用段階 :?
作風・画風は具体的な表現ではないため権利なし
声優=実演家(著作物を演ずる者)の権利「著作隣接権」
AIによるそっくりの声 ビジネスにすると侵害に 「音商権」CMなど
Vチューバー キズナアイ
人名の著作権は拒絶 マツモトキヨシ 音商権のみ登録へ 広く認識されていること
医薬品 物質特許 用途特許 製剤特許 製法特許
電子機器 パテントテーブル SEP(標 -
Posted by ブクログ
せっかく知財の勉強も力を入れてきたところだったのに異動先は全然違う部署。
でも、知財の知識は決して無駄じゃない。
勉強し続ける、これって、とっても大事なこと。なぜなら。
著作権で多くの場合に問題になるのは、依拠性、類似性。
アイデアだけでは著作性はない。
例えば、未来から来たロボットが男の子を助ける話と言うだけなら法律的には問題ない。
だが、多分、いや、今の世の中間違いなくパクリと言われるだろう。
シャーロック・ホームズも「相棒」もみんなエドガー・アラン・ポーのパクリになっちゃうだろ、
と説いたところで、炎上は間違いない。
法律上のOKと、感情論(一般的な心情)でのOKにはだいぶ乖離がある印