あらすじ
我々はこれまでとはまったく別の世界に生きている。
文章、画像、動画、音楽など、これまで人間しか作ることができないと考えられていたものを、簡単な指示を出すだけでAI(人工知能)が易々と作り出すようになった。実際に、インターネットはいつの間にかたくさんのAI生成物であふれている。
AI生成物について「そのまま使っても大丈夫なのか?」「他人の権利を侵害しないだろうか?」と不安になっている方も少なくないだろう。そう考えてしまうのは、AIが何かを作り出す際、人間が生み出したものをいわゆる「元ネタ」として利用していることを理解しているからに他ならない。本書のテーマである「知財」とは、ひっきりなしに目に飛び込んでくる文字、映像、なにげなく耳に入ってくる音楽など、AIの学習対象となり得る「元ネタ」の情報を含むものである。
そのほか、ふだん使用している服や靴、机やいす、テレビやスマホはもちろん、街中にあるビルやモニュメントなども「知財」に関係している。このように日常には「知財」があふれているが、そもそも「知財」とは何であろうか?
本書は「知財」を巡る現状と今後の方向性に関する最新知識を楽しく学んでいただくことで、一般の読者の皆さんの「知財」のリテラシーをアップグレードしてもらうことを目指したものである。様々な「知財」について網羅的に取り上げながら、我々が新しい時代にどう備えていくべきかについても解き明かしていきたい。
「 知財トラブル 」の地雷を 踏まないための基礎知識
あなたはわかりますか?
●AI 生成物に著作権はあるのか
●無制限にAI に学習をさせてもよいのか
●「○○風画像」はクリエイターの権利を侵害するのか
●『鬼滅の刃』の着物の柄の模倣は許されるのか
●流行語は商標登録できるのか
●「声」に権利はあるのか
●Vチューバーにはどんな権利があるのか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表紙に惹かれて手に取ってみました。
感情的には、「ジブリ風」のAI騒動はかなり不快感を抱いていましたが、本家本元が訴えなかったので静観するしか…と思っていましたが、この本を読んで何故かがわかりました。
漫画アニメ映画が好きで二次創作も見るので、著作権はよく聞くものかなと思っていましたが創作物だけに限らず人間の営みに知財は関係し続けるということがわかり、自分が見ていた・知っていた世界は狭かったな!と思いました。
おわりに の冒頭の言葉通り、『世界は「知財」でできている』のだなとしみじみ。
日本国内だけではなく、技術やネットの発展に伴い海外や仮想空間でのものをどう扱うか、考えるか、止まらない進化を思うと指を咥えてみているのではなく積極的に勉強して理解していかなくてはいけないなと思わされました。
日本国内における商標権の話で、新聞の価値?地位が高いのが不思議でした。先細っていく中で、ずっとそれが保たれるのか、新聞を見る人が減ったことで新聞の価値が下がったら今度は何をもとに判断されるのか?有象無象が書いたコタツ記事なんて価値もないし…どう担保されていくのか気になります。
法律で定められているものの場合、感情論通りにはいかず、モヤモヤしたり納得いかないこともありますが、不思議とこの本は、ドライな感じがしないなーと思っていたら、おわりにの言葉で何故かなんとなくわかりました。
p297
AIの使い方によるとは思いますが、人間の創造的な行為がリスペクトされない社会になってしまうと、ただでさえ衰退してきていると感じられる人類の知性が、さらに後退していくのではないかと、個人的にはとても心配しています。
この部分です。
人の努力や営みに対するリスペクトと共に、それらにフリーライドする不届きものに対する愚かさと、それに踊らされる市井の人達への哀れみが感じられて良いなと思いました。
私もごく普通の一般人ですが、当たり前のことですが違法アップロードには手を出さず、極力製作者の元にお金が入る正規ルートで音楽も聞くし漫画も本も映画も見ます。
自分だけが良ければ良い、という考えで罪を犯しているのに平気でいられれような大人には皆さんならないでくださいね。
ひとりひとり意識を持って良い世界にしていきましょう。
Posted by ブクログ
普段読まない知財について、難しい表現もあったけどわかりやすく説明されている本だと思った。
アテンション・エコノミー、注意経済、関心経済といい、人々の注意、関心か大きな経済的価値を持つことに注目した結果、アテンションを獲得するための真偽不明な刺激的なコンテンツで溢れかえっておること、それによって質の高いコンテンツが減っていくことを危惧している点。
また、生成AIに頼り切ることの危険さについて、人間の創造的な行為がリスペクトされない社会になってしまうと、ただでさえ衰退してきていると感じられる人類の知性が、さらに後退してくのではないかと心配している点については同感と感じた。
Posted by ブクログ
知的財産に関する割と最近の話題をいくつか取り上げた新書。
仕事柄、知財に触れることも少なくないので興味深く読めました。
気になったネタはAI作品と知財に関するもの。
AIで作られた画像や文章に著作権が認められるのか?
現状の答えは「否」とのこと。
作者の創作的寄与が小さいことが理由のようです。
線引きが難しい事例が出てきそうですが、主筋は納得。
その他、鬼滅の模様問題、ヴィトンの市松模様問題、ゆっくり茶番劇騒動など、一般でも知られている話も出てきて、敷居の低い雑学書的な読感です。
企業の知財戦略や特許訴訟のような話題も取り上げているので、知財全体の雰囲気を掴むのに良い一書と思います。
Posted by ブクログ
今まさに知っておきたい「知財」について知りたいと思い購入!
生成AIをはじめ、「鬼滅の刃」「マツキヨ」「シャインマスカット」などなど、身近な具体例を挙げてくれているので分かりやすく、興味深い内容でした。
初めて知ることも多くて勉強になりました。
Posted by ブクログ
著作権=思想・感情を創作的に表現したもの 創作の主体が人間であること
プロンプト入力で作られたものは著作物性は無い?
AI開発/学習段階:著作物を読む見る聴く行為(享受)は著作権の問題にならない
生成/利用段階 :?
作風・画風は具体的な表現ではないため権利なし
声優=実演家(著作物を演ずる者)の権利「著作隣接権」
AIによるそっくりの声 ビジネスにすると侵害に 「音商権」CMなど
Vチューバー キズナアイ
人名の著作権は拒絶 マツモトキヨシ 音商権のみ登録へ 広く認識されていること
医薬品 物質特許 用途特許 製剤特許 製法特許
電子機器 パテントテーブル SEP(標準必須特許)の公益性↔交渉に応じない
ユニクロセルフレジ アスタリスクの特許 RFタグ/アンテナ/シールド部 和解へ
シャインマスカット 中韓への流出で年間1000億円以上の損失 輸出を想定せず
育成者権は日本国内のみ 商標登録なし 商品の輸入は阻止できる
あまおう:商標登録済
無方向性電磁鋼鈑 宝山鋼鉄が日本製鉄のパラメータ特許侵害 トヨタが購入
方向性電磁鋼鈑 日本製鉄からポスコ経由で宝山鉄鋼へ漏洩
ドワンゴ 対FC2 コメント表示機能 我が国(の端末)の特許権の効力
漫画村 星野氏 懲役3年罰金1000万、追徴6257万円 出版社から17.4億
メタバースでの仮想商品=無体物も商品も知財の保護下に
景色としての商標は該当しない