今井照のレビュー一覧
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「自治体は何のためにあるのか」
今井照(岩波新書)
横山勲の「過疎ビジネス」は痛快なドラマのような本だが、
本書は自治体問題の研究者の書であり
幅広い知識を与えてくれる。
地方自治体議員をはじめ多くの市民の必読の内容だと思う。
玉野市のメチャクチャな学校統廃合問題で頻出した「地域」「コミュニティ」などの概念の曖昧なままに、市の政策に巻き込まれる現実への疑念が解き明かされるということがあるし、そもそも国との関係で「自治」というものの根本的な意味を考えさせられる。
2024年の自治法改正が、
①デジタル化
②国と自治体との関係の特例
③公共私連携
のいずれも大きな問題を孕むもので -
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未曾有の複合災害を通じて、自治体の存在意義に光を当てた本。筆者は原発事故の経験から、いざと言う時に住民の命を救うのは最前線にある自治体であると強調し、自治体再編の議論に一石を投じる。
インタビューでは自治体副首長の葛藤が生々しく描かれており、公人であり私人である自治体副首長の役割葛藤と、同じ被災地域でも自治体毎に異なる利害関係が存在する実情を捉えている。
特に原発立地自治体の大熊町と隣接自治体の浪江町のインタビューが続けて取り上げられることで、お互いがお互いをどのように捉えていたかが読み取れる点は史料として重宝される。
当面は難しいだろうが、もう数十年を経たら、当時の国、県、東電の関係者 -
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ちょいちょい同意できない箇所はあったが、読みやすく、著者の課題認識がよくわかった。
国と地方を対等にしようとするところまでは良かったが、徐々に方向がずれていき結局は主従関係に近いような状態になってしまっていると言う話。
普段の仕事でも役割分担は難しいところがあって曖昧になるときもあるが、そういったことが同じように起きているんだと思った。そして、結局こういうときに自治体に皺寄せが来るっていうのは、やはり対等になっていないんだなと。
日本の公務員数が少ないと言う話もあったが、冒頭紹介された「過疎ビジネス」でのコンサルとか、しょうもない中小企業とかそういうのはバンバン消して少し公務員の数を増やして、 -
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# 自治体は、稼ぐためにあるのか
——今井照『自治体は何のためにあるのか』を読んで
「自治体は何のためにあるのか」
本書のタイトルは、あまりに根本的である。しかし読み進めると、私たちがこの問いを長い間、正面から考えないまま来たことに気づかされる。
今井照さんの答えは明快だ。自治体の使命は「稼ぐこと」ではない。そこで暮らす市民に、今日と同じように明日も暮らし続けられることを保障することである。市場や制度が生み出すひずみを補修し、その隙間に落ちてしまった人の生活を支える。それこそが自治体という政府の仕事だという。
本書が厳しく批判するのは、2014年に始まった「地方創生」である。この頃か -
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地方自治のあるべき姿について、事例や政策の変遷などから語った本。自治体のミッションは「今日と同じように、明日も生きられることを市民に保障する」ことであり、国と自治体の役割を融合から分離へと転換させ、自治体がディフェンダーに特化できるに改めるべきという「自治体ディフェンダー論」を軸に展開される。
国が自治体に対して「稼ぐ」ことや計画を策定することを求める地域政策への批判や、2000年の分権改革からの変遷の解説など、納得感のある内容で理解しやすかった。主軸の自治体ディフェンダー論に関しては、網羅性やセーフティネットの観点からはすごく納得ができるものの、地域事業者や地域ソリューションの適切な競争市場 -
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2018年初版の本。2018年当時に読んでから、2024年に改めて読み直しましたが、本書の内容は色褪せることなく、むしろより切実に感じられました。
国が出すドキュメントなどをそのまま鵜呑みにするのでなく、(本書のように)批判的な意見も読むことで、より自治体への理解を深めることができると思います。特に(自治体を顧客に持つITベンダーの社員である)自分に響いたのは次の内容でした。
①少子高齢化により労働力に制約が生じるから「業務のあり方」を変革するというのはおかしい。公的部門の役割は、市場原理の社会から疎外されたりする社会的弱者を支えるところにある。そのような「本来担うべき機能」を精査して、そ -
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ネタバレ地方自治よりも国政だと思っていたため、市議会や県議会に全く興味が持てていなかったけれど、この本を読んで地方自治の重要性を知った。
行政はもともと
小単位である市町が行い、
それでできないことを都道府県が担い
それでもできないことを国が行う
という概念だそう。
今は国がトップダウン式に地方のお金の使い方に影響を与えているが、地方自治体こそ地方に住んでいる住民の声を一番反映しやすく、その土地土地にあった最適な仕組みをつくることができると指摘されていた。
自分たちの住む街を快適にするためにもまずは地元の行政に興味を持って、国会議員だけでなく地方議会の選挙にも積極的に参加していこうと思った。 -
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ネタバレ・自治体の役割と合意形成について
我々は社会的な動物であって、組織的集団に属して生活していく以上、意思の調整が必要になる。とりわけ、個人の資力では対応できないときに自治体が必要となるのであるが、それは、個人の負担と受益が一致しないこともあるから自治体が必要であるという帰結にもなる(すなわち、自分の負担と受益が一致するのであれば、役場はいらず特定の事業を遂行する民間でよいが、その地方全体のことを総合的に判断して最適に財源を振り分ける機関が必要なのである)。そして、健全な民主主義の下で合意形成を行うことは、誰もが不満を抱える状態のことである。したがって、選択された結果に対して自分の意見は違うが仕 -
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自治体と地方自治の観点から現在の課題と今後の方向性を考える趣旨で書かれた本。
導入部は、以前に読んだ「過疎ビジネス」という本に示されている東北地方の小さな自治体で起きた事件の紹介。
著者は、国が「官民共創」の名の下、自治体に対し、「稼ぐ」ことを求め、結果として、計画策定、アドバイザー派遣、専門家への事業受託に翻弄されている自治体の現状を憂える。
その上で、自治体に「稼ぐ」責任はあるのかという疑問を呈し、地域経済において自治体に求められるのは、「信頼を付与する役割」だという原点回帰を訴える。
次章では、事件が起きた背景や構造を考え、2000年の分権改革や2014年に開始された国の地方創生政策 -
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本書は、2018年7月に総務省の自治体戦略2040構想研究会報告書の方向性に対して、批判的なスタンスである。
本書の中で、特に注目するのが、「6章 自治のゆくえ」のうち「計画による統制」である。国が自治体に策定を求める計画が増加しており、法令上は「任意(できる規定)」や「努力義務」規定であっても、地方創生の地方版総合戦略のように、事実上全自治体での策定が求められているものがあることを、国と自治体は「対等・協力」の関係とした分権改革と遠い世界になってしまったと表現し、厳しく非難している。単に仕事を増やすだけでなく、計画策定を通して、国から自治体に責任が転化されることを問題視しており、著者の指摘は