檀上寛のレビュー一覧

  • 明の太祖 朱元璋

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    面白かった!ほんとうに
    朱元璋は、理想を現実にするために、常に前を向いて進み続けた人なんだと思った。実際どうかは知らないけど、そう考えると熱い気持ちになれるから良い。

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    2023年08月08日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    明初体制は「固い体制」 だった。それは里甲制、身分・職業・移動の規制、現物経済の維持、朝貢一元体制などあらゆる面で国家が社会に規制をかけるものだった。この体制はそれまでの①中華と夷狄の抗争、②華北と江南の対立、③大陸中国と海洋中国の相克、これらを克服するのに必要だったのである。それは「近代世界システム」と異なる「中華世界システム」を生み出した。この明代に一つの画期を求め1巻丸ごとその歴史に充てる。そして明初体制とその後の経済社会の変化や北虜南倭との関係、明朝崩壊との関係が背景を含め、わかりやすく説かれる。

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    2021年01月20日
  • 明の太祖 朱元璋

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    ネタバレ

    元朝政治が政治闘争で乱脈をきたし、統治能力を失い叛乱が多発したことから筆が始まる。
    明朝の構成員は功臣武官の淮西集団と知識人文官の浙東集団に大別。双方で対立はあったがいずれも南人であり、北方との統合を朱元璋は期す。
    科挙実施も、合格者(=官僚)が南人ばかりを見て中断。
    南人官僚や地主の不正蓄財を解消するために、胡藍の獄や六諭発行などの政策が行われたとの著者主張。
    朱元璋自身の猜疑心もあるが、何より各人が己の分を守る理想的な儒教国家を成立させるために法を用いた厳格な他律的国家を作ろうとした。

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    2020年09月21日
  • 明の太祖 朱元璋

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    明王朝を立てた朱元璋は、即位後の残虐性がことさら取り上げられるが、モンゴル支配以来の華南の官民社会構造や、彼の部下たちの派閥争いなどの背景があり、そのモンダイヲ乗り越えるために画一的な価値観を示そうと強権的な手法に走ったのだと理解した。現代中国の構造理解にまでつながる、貴重な伝記。

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    2023年03月16日
  • 明の太祖 朱元璋

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    1994年刊行のものの文庫版。元末の群雄割拠を勝ち抜いた明の建国者の伝記。知識人や江南人材との関わりを重点に、貧農から儒教的君主への展開が描写される。理想と現実の落差に苦しんだ人物という印象を持った。

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    2022年03月17日
  • 明の太祖 朱元璋

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    同じ著者の「永楽帝」が面白かったので,読んでみた.清朝の皇帝たちが朱元璋を高く評価していたということを初めて知った.

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    2021年06月29日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    第3巻は明代史。第1巻では中華と夷狄の抗争、第2巻では華北と江南の南北対立、第3巻では草原を含む大陸中国と東南沿岸の中国との相克を描く。筆者は、明初はこれらをなんとか統一王朝に整理・収斂され、多様化・多元化にも一元化・画一化の枠がはめられた時代と説く。この体制はやがて弛緩し、破綻して清朝の時代を迎えるわけだが、筆者はこの極度に統制を強めた明初体制が、中国社会の体制的帰結として表れているとも指摘している。強固に統治しないと、多様性・多元性が頭をもたげ体制をあやうくするのだ。現代中国の体制の要因を、歴史的見地から見事にひも解いてくれているように思う。

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    2021年03月14日
  • 明の太祖 朱元璋

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    疾病と政治的混乱の中、最下層民から成り上がった男の記録。日本でいえば豊臣秀吉にあたるがスケールは比べようも無い。
    聖賢と豪傑と盗賊の要素が入り混じっていたとあるが頷ける。戦乱の中で日々勉強して知見を広めた事、鉄の掟で経済力に勝る敵を打ち破る、明の建国後の復興に成功するなどはやはり英雄と言える。彼の資質もあったが妻である馬皇后と硬骨漢ともいうべき参謀劉基の存在が大きかったものと思われる。
    大量殺戮による事で評価が下がるが功臣たちの奢りも原因だった事は否めない。
    最後の皇孫に対する思いは秀吉の秀頼に対する思いに通じるものがある。
    それにしても彼の顔は実際のところどうだったのだろう。

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    2021年03月08日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    中華王朝の特徴として本シリーズでは3つの対抗基軸があげられている。
    ①中華と夷狄、②華北と江南、③大陸中国と海洋中国
    この3つにまがりなりにもケリをつけたのが明王朝というわけだ。北の権力で豊かな南方を支配する体制だけど、経済と流通の発展が国のあり方を変えていくことになる。そして最後の中華王朝になるわけだ。けど北による南方支配って現代にもつながる仕組みだよね。それは明から始まったんだね。

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    2020年09月10日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    これまで詳しくなかった明朝について、見通しを得た。
    モンゴル(元朝)の退潮後、どのように立て直すか?が課題だった明初。中国の秦に発する国家が社会をコントロールする流れ、それは見た目は儒家で、やっていることは国家の支配論理(法家)。これはおそらく現代の中国でも流れている、西洋の近代思想とは違う流れ。中間団体の存在を許さず、支配者と被支配者が直接対面する。
    気候の冷涼が終わり、社会全体が「銀」の世界的繋がり、貨幣経済の興隆を受け、社会の要請と、明朝の仕組みが不適合を起こし、対応できないまま、滅んでいく。

    大きな世界史的視点で言えば、モンゴルの時代=大陸の時代から、大航海時代=海の時代に力点が切り

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    2020年09月05日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    明という時代の重みが伝わるコンパクトだが考えさせられる良書。
    明が何を背景に生まれ、何を重荷として滅亡に至るのかを考える重要性を学んだ。

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    2020年06月16日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    岩波新書の「シリーズ中国の歴史④」は、「陸海の交錯ー明朝の興亡」と題された1冊。これまでの3冊とは異なり、単一の明朝300年の歴史叙述にフォーカスされる。

    ①中華と夷狄の抗争、②華北と江南の南北の対立、③草原を含む大陸中国と東南沿海の海洋中国との相克、以上の3つの対抗軸が「明初体制」によっていったんは一元化・画一化される。

    この明初の「絶対帝制」は、儒教の論理に裏打ちされていた(本書でしばしば参照されるp.34の図8)。国家の側からの「支配の論理」と社会の側からの「被支配の論理」が、儒教の理想世界と現実世界への適用、これが明初に厳格な体制として確立し、海外を含む「中華世界システム」も朝貢一

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    2020年06月02日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    明というのは混迷を窮めた時代であったことが痛切に描かれている。
    特に、時の権力者たちについては手厳しい論評が目立つ。

    経済の発展、社会階層の融和。現代の感覚でいうと是であるこれらの要素が国家衰亡の一因であるというのには不思議な感覚をおぼえるが、こと民主的な社会においては治世の巧拙が命綱ということなのだろう。

    儒教思想により中華世界を描き出そうとしつつ、時の権力者たちは私利私欲にまみれ、結果として失脚と破局を招く。なんと因果なことであろうか。

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    2020年06月01日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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    「儒教的秩序」というのがどういうことなのかについての理解を深められた。自分には朱元璋みたいな人が一番の理想家のようにも見える。

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    2023年10月25日
  • 陸海の交錯 明朝の興亡

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     明朝というと、洪武帝が創業の功臣や臣下を何度もかつ大量に処罰し、皇帝専制体制を打ち立てたこと、甥建文帝から永楽帝が帝位を簒奪したこと、鄭和の大遠征、北虜南倭、前期倭寇・後期倭寇、秀吉の朝鮮出兵といった断片的なトピックとしての知識くらいしかなかった。

     
     著者は本書において、明朝の歴史的意義を次のように説明する。①中華と夷狄の抗争、②中国史を貫く華北と江南の南北対立、③草原を含む大陸中国と東南沿海の海洋中国の相克、この3つのせめぎ合いが、14世紀の危機において飽和点に達し、元明革命の王朝交代となったこと、そしてこれらの課題に一定の解答として出されたのが明初体制だとする。

     農業に基礎を置

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    2020年09月28日