与那原恵のレビュー一覧
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アントニン・レーモンド設計の旧赤星鉄馬邸の一般公開が終わる5月16日直前の日曜日に慌てて吉祥寺に向かいました。ものすごい行列でしたが、でも戦前の富裕層の日常生活の空気をちょっとでも吸った気持ちになり大満足でした。レーモンドのお師匠さんのライトの設計による自由学園明日館の公共性や、現在、庭園美術館になっている旧朝香宮邸のアールデコの芸術性とまた違う、人の暮らしを感じさせる建造物でした。と、いうことでここを建て、生活していた「赤星鉄馬」という人物に俄然、興味を持った訳です。ん?その人の本、だいぶ前に積んでいたよな、ということでの本書。めちゃくちゃ労作の名作です。以前、考古学者の本(たぶん「生命の大
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本書は、鎌倉芳太郎の事績にスポットをあて、彼の生涯を軸に、琉球王朝の時代から続く、貴重な琉球・沖縄の芸術・文化などの調査・継承・発展に尽力した人々を描いた本です。
かなり読みごたえはありますが、沖縄にルーツを持つ、著者・与那原恵さんの描く沖縄の風景や人々は生き生きとしており、目の前にその光景が浮かび上がってくるような本です。
この本の物語は鎌倉を中心に展開しますが、同時に、多くの琉球・沖縄文化に携わる人々が描かれ、その人々の沖縄に対する愛情と情熱を感じずにはいられません。
また、本書には書かれていないけれども、沖縄の文化を守り伝えることに力を尽くした、多くの名もなき人々にも思いが及びます -
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シリーズ作の「美麗島まで」と対をなす沖縄にルーツを待つ著者の作品。
「美麗島まで」が母方の医師であった祖父の人生を追いかける形でロシア、台湾、そして沖縄へと戦前・戦中・戦後と歴史に翻弄される中での沖縄の人々の営みが著者自らが現地に足を運び聞き取った詳細な証言とともに語られる。
全く知らなかった、思いもかけなかった形での琉球とロシア、台湾との関わり、繋がりに心を打たれる。
そして本作はまさに「戦後」の米軍統治下から「本土復帰」までの時代を「琉球切手」発行者たちの歴史と重ねて丁寧に聞き取り、膨大な資料から明らかにしていく過程は「琉球・沖縄の戦後史」そのもの。
ここでもまた「台湾」と「琉球」の関わり -
Posted by ブクログ
米軍施政下に置かれた沖縄で1948年から、
1972年の本土復帰まで発行された259種の琉球切手。
琉球切手の旅をテーマに語る、本土復帰までの人々の歩み。
第一章 琉球切手の旅へ 第二章 琉球切手誕生
第三章 一九五〇年の沖縄
第四章 文化財復興とペリー来琉百年
第五章 コロニア・オキナワ、琉球芸能の復活
第六章 島ぐるみ闘争とドル切り替え
第七章 屋良朝苗と復帰運動の一体化
第八章 オリンピックとベトナム戦争
第九章 返還合意 第十章 琉球切手
主要参考文献有り。
日本から米軍施政下の沖縄に帰ることが、困難だった時代。
沖縄から運ばれた「言葉」と貼られた琉球切手が、
故郷との縁となって