マックス・ヴェーバーのレビュー一覧

  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    労働が美徳なのは、他者への貢献と共に「禁欲自体」が美徳だからとも言える。自らの労働を売り渡す行為は、その契約の範囲での脱人格化を含むが、脱人格化は「禁欲」の類型である。本源的な生存競争をいかに強化するか、そのために集団化し、国家は成立してきた。それを統制するために共同幻想が必要となり、それぞれの領域間での交換が行われてきた。この共同幻想に従う個体には「忠実性」が求められる。つまり、競争のために労働に費やす脱人格化はすなわち忠誠であり、これを美徳として組み込んだものが、あらゆるイデオロギーの根本にある、と考える。この「禁欲」を考察したのがマックス・ヴェーバーだ。

    イデオロギーと書いたが、同書が

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    2025年02月03日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    キリスト教を背景として論が進められる点、なるほどヨーロッパらしい視点だ、という感想です。特に天職の件と、禁欲倫理との結びつきの件は面白かったです。現在に通じる起源を見る感じがしました。

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    2022年08月30日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    現代がいかにキリスト教世界の理論を原理として成立してきたのかを理解できる。自身の世界の成り立ちと現代における社会に対する評価基準を再考できる。

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    2022年02月06日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    広義の資本主義は歴史上どこでもあったが、近代の資本主義は様相が異なる。昔は幸せに暮らせれば働くことは最低限に、という捉え方。今ではとにかく働くことが第一優先みたいな捉え方。自らの職種を天職と捉え、労働に勤しみ、合理的な手段で営利を獲得し、日々の生活では禁欲的な行動を促す倫理観、世の中の雰囲気、資本主義精神はプロテスタンティズムの倫理から生み出され、のちに近代資本主義社会のシステムが構築されると、宗教的な思想は排除されて、ひたすら営利を求める精神だけ残ったという話。

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    2021年01月31日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    今年は著者没後100年(1920年6月14日没)。

    これまでは、資本主義の歴史、宗教教示の諸相、近代社会についての著者の警鐘といった点に注目していたが、再読にあたっては”労働”や”日常生活”をキーワードにしたい。

    経済成長には、永続的な生産性向上や効率化が必要ならば、それは可能なのだろうか。否応のない技術革新によって労働環境が変わるとき、労働者ーそしてもちろん使用者および資本家ーの”精神”へどのような影響を及ぼすのだろうか。一方で、今日の技術革新は現代人の”精神”とどのような関係を見いだせるのか。
    そして、今においては”鉄の檻”はどのような姿をしているのだろうか。

    幾度となく一面的な社会

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    2020年06月10日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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     本書を初めて読んだのはもう30年近く前のこと。少しは自分も成長したから感じるところに違いもあるだろう、と思ったが読後感は当時とほとんど変わらないものだった。すごく「綺麗」で「強い」本だ、という印象。しかも、一旦興奮が覚めた後には「しかしこれで本当に説明になっているのだろうか?」という、疑いが尾を引く感じもまた甦ってきたのだ。

     確かに美しい。神の思し召す「合理的」な目的に沿うよう勤労し禁欲すべし、というプロテスタンティズムの規範すなわち「目的」が、いつの間にかその規範自体の作動を強化するself drivenな起動力──すなわち「原因」となっているという「不合理」。目的と原因の転倒のみなら

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    2025年03月16日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    古くから経済活動は行われていたが、近代資本主義のような拡大性を有さなかった。では近代資本主義を勃興させた駆動力はなんだったのか?
    近代的企業家の多くがプロテスタント的色彩帯びている事に着目し、その精神性から駆動力を紐解いた論文。

    清貧を掲げるキリスト教と、富を増大させる資本主義は一見相反するが、なぜ企業家の多くはプロテスタント的色彩を帯びていることが多いのか?
    善行を積むことで神に選ばれるとしたカトリックに対し、プロテスタントは神の絶対性重視から、人の行動など神判に影響しないとする「予定説」を採択する。

    「予定説」において、死後救済されるか否かは既に決定しており、現世の行動は審判に影響し

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    2020年05月13日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    一章は面白く読んだが、二章にはいってキリスト教の色いろな宗派や人物が出てきて詰んだ。でもそこを我慢するとまた面白くなった。禁欲が資本主義の精神に繋がったという逆説はとにかく緻密で説得力があり、こんな社会で生きてゆくには読んでおくべきだと感じる。

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    2019年08月02日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    近代資本主義の出自を、
    カトリックからプロテスタントへの転換、ピューリタニズムへの先鋭化から表出した
    世俗的禁欲からの発露だと主張する名著。
    丁寧、多角的に分析・批判され導出される論理にはやはり説得力があり
    いわゆる儲け事などは良しとしない禁欲的精神から逆説的に資本主義が発達していったというのは大変興味深い。

    私にとってはかなり難解であり、また本文と注釈の頻繁な交代は読むことへの忍耐力を試されているようにも感じた。
    が、先に巻末の解説(これがとても端的で理解しやすい)に目を通していたためどうにか少しずつ理解を深め通読することができた。

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    2018年07月28日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    【再読】初めてこの本を読んだのは大学2年生の時。日本語なのに最初から最後まで何が書いてあるかさっぱりわからなくて辛かった。“一冊の本を理解するためにはその本を読むだけでは十分でない”ということを教えてくれた転機となる本。以来、「自分がどの程度まで来たか」ということを確かめるために、繰り返し読んでいる。今回は「どこがわかってどこがわからないか」がはっきりしたのでそれだけでも大収穫ではなかろうか(笑)宗教改革にまつわる理解が圧倒的に乏しく、でも受容のプロセスと近代資本主義の精神は大分掴めるようになったみたい。

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    2017年02月23日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    作者自身が書いているが、プロテスタンティズムが唯一決定的な作用を果たした訳では無いでしょう。
    しかし、禁欲主義を徹底したカルヴァン派が、結果として資本蓄積のプロセスを合理的にし、地上の富を築くことになるといった、一見逆説にみえるこの論は、繁栄し前期的資本に充分でありながら資本主義に至りえなかったそれまでの歴史についても、資本主義が明確な計画意思や、利潤などの欲求追求のみだけではなく、信仰といった一種の不合理さを必要とした事にも説得力があり、とても良い本だと思いました。

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    2015年11月19日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    ネタバレ

    初めてこの本を手に取ったのは高校生の時だ。当時ハマっていたアニメの中で、マックス・ウェーバーを引用していたのがきっかけで、気になって読んでみたが、当時は修行というか苦行に耐えるような気持ちで読んだ覚えがある。ただ、今振り返ってみるとこの経験がきっかけとなって、難しい本の楽しみ方を知ったようにも思うため、今となっては思い出深い本である。
    ウェーバーが天才的だと思うのは、彼が生きていた19世紀半ば〜20世紀初頭において、プロテスタントの勤勉かつ禁欲的な思想が資本主義を駆動するための精神的な背景として機能したことを明らかにしたことだ。あらゆる社会現象について言えることだが、後講釈として振り返ることは

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    2024年11月27日
  • 職業としての政治

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    別の書籍で紹介されていたことをきっかけに読みました。
    久しぶりの古典だったということもあり、いつもより読み終えるのに時間がかかりましたが、読んで良かったと思える内容でした。
    本書の最後に解説があるので、それを読んだ後改めて読み返すと、より理解が深まると思います。

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    2024年11月15日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    解説が丁寧で分かりやすい。武器としての哲学の推薦本であったが、解説によると宗教社会学であり、社会学の一部分である。近代資本主義が発展したのはカトリックからプロテスタンティズムになったためである、ということが首尾一貫して書かれている。いまではだれでもが知っていることであるがそれを説明した最初の本である。カトリックは享楽主義でその日暮らし、プロテスタントは禁欲主義で勤労主義ということで、キリギリスとアリのたとえでもいいのかもしれない。
     解説にあったように注を読み返す、ということが必要な本である。

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    2023年07月07日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    最も有名な古典の一つ。近代資本主義がどのように出現したか、何にドライブされて形成されてきたかをマックス・ヴェーバーが解き明かした一冊。

    ヴェーバーによれば、近代資本主義の勃興を促進した心理的起動力はキリスト教的禁欲主義だった。

    ルッターによる宗教革命の際、はじめて「天職思想」(世俗的職業の内部における義務の遂行こそが最高の実践道徳であるという思想)が打ち出され、これが以後のプロテスタンティズムの中心的意義となった。
    これがキリスト教的禁欲主義と結びつく。つまり、外物への執着や金銭を追求する欲から自分自身を忌避させる方法として労働を推奨した。またカルヴィニズムにおける「予定説」もこの思想を強

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    2022年07月22日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    カトリックの国でもギリシャ・ローマでもなく、仏教の国でもなく、なぜ資本主義はプロテスタントの国から発生したのか?神の栄光のために禁欲的に、勤勉に生きる人々が結果として、富を蓄積し、その生き方が資本主義を発展させる流れに強く結びついたからである。
    マックス・ウェーバーの名著で、以前、小室直樹氏の書で感銘を受け、いつか読んでみたいものだと思っていたが、ようやく実現できた。学生時代は社会学を学んでいたにも関わらず、こういう名著に触れることなく、勉学としては無為に時間を過ごしてしまった。これからの後半生、なるべく多くの名著に、少しでもいいから触れていきたい。

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    2022年05月17日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    非常に難解。
    本文読む→訳者解説読む→本文精読→注釈も合わせて精読 が良さそう。

    資本主義の精神の促進を担ったのは、実は営利的な精神を批判する、キリスト教(特にプロテスタンティズム)の禁欲的精神だった。

    しかし、資本主義はキリスト教精神の賜物とまで考えるのは拡大解釈である。(私も読前には、本書は上記のことを言ってるものだと勘違いしていた)

    そして、「歴史的にキリスト教的基盤を持ち得ない地域(例えば日本)でも資本主義は成立しているから、ヴェーバーは間違っている」との批判も当たらない。

    なぜならば、本書最終章でヴェーバーが述べるように、キリスト教的禁欲精神が資本主義の社会構造を強固なものと

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    2023年10月26日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    社会学は多元論。〜宗教、経済の因果は単純ではない〜

    ■所感と評価
    ウェーバーは多元論を用いるが単純化しないと理解難しいので、あえて単純化すると「天職を全うするという倫理が世俗内に広まった結果、富の蓄積につながり、皮肉にも営利主義→資本主義の精神を生んだ」と強引に解釈できる。ただこれだと語弊があり過ぎるので、様々なキーワードの定義とそれらが生まれた背景と与えた影響を丁寧に見ないといけない。
    そもそも我々は戦後のパラダイムやレジームが当たり前の様に感じるが、歴史で見るとまだまだ浅く、今後新しい概念が何から生まれるかは非常に複雑であり、単純にVUCAや情報化社会といったことからだけでは予測できない

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    2022年02月20日
  • 職業としての政治

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    もうずいぶん昔のことになるのですが、池上彰さんが選挙特番で小泉進次郎議員を取材した際に話題にしていて、気になっていた本書。
    ちょうど夏に文庫フェアが開催されていて、比較的ページ数が少なめだったこともあり、気軽な気持ちで手にとってみました。

    著者のマックス・ヴェーバー(1864-1920)はドイツの政治・社会・経済学者。
    本書は彼が1919年に行った学生向けの講演が元になっています。
    当時のドイツは、第一次世界大戦での敗戦後、ドイツ革命と後に呼ばれた動乱のさなか。

    ・「政治」とは「権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」
    ・「国家」とは、「ある一定の領域の内部

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    2021年10月24日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    ネタバレ

    世界史や思想史で頻繁に言及される本書。高校時代や予備校で耳にしたことがある方も多いと思います。で、その趣旨たるや、「天が授けた過分の賜物。この賜物を用いて天職を全うし蓄財することこそ神の栄光に適う行為である。そしてこのエートスこそ、近代資本主義の一因となった。」
    こんな感じだと思います。

    私は、まっさらな状態から本を読みだすというより、本当に上記のようなことが書いてあるのかな、と探り探り読んでいく形のアプローチをとってみました。

    その点で結論を言えば、大体書いてあった。こう言えると思います。

    ・・・
    その中でも、本書での一番の出色は、資本主義の発展(「お金」)とプロテスタントの倫理規範(

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    2021年09月29日