小杉泰のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
講談社の「興亡の世界史」シリーズはやはりハズレがない。
正直、日本人にとって、中東とかイスラームとか、いまいち理解しにくい面がある。
しかしながら、小杉泰先生の魅力的な文章が、中東の世界にさりげなく誘う。アラビアンナイトや月の砂漠を行くラクダを脳裏に浮かべ、想像の翼をはためかせてくれる。
7世紀、アッラーの啓示で人間の平等と弱者救済を説いたムハマンド。迫害の中で創られたイスラーム共同体は後継者たちの大征服でアラビア半島の外に拡大。わずか1世紀でイベリア半島から中央アジアまで広大な帝国を築き、10世紀にはアッバース朝の黄金期へ。
ビザンツ帝国とササン朝ペルシアの狭間に位置するアラビア半島は、 -
Posted by ブクログ
デジタル本で購入したまま読みかけのまま放置していた本でしたが、一週間程で読み終わりました。私たち日本人はたいへんな宗教音痴なのですが、その中でもイスラム教のことは少しもわかっていないのです。だからジハードなんて聞くとかつて日本にあった学生運動の過激派のような印象しか受けません。
しかし、イスラム教こそが歴史的に最も他の宗教に対して穏和に接してきた宗教です。そしてキリスト教のように職業的な宣教者はいないため、信者は全て神のもとに平等です。だから職業的な宣教師がいなくてもジワジワと信者が増えています。
そしてソ連が崩壊して、世界中の国々が強欲資本主義の元でお金儲けを追求しているので貧富の差は -
購入済み
イスラムを知りたくて読んでみた
現代世界における各宗教の勢力を (信仰心の強さ)X(信者の人数)で計算すると、きっとイスラム教が第一位になると思う。そのイスラム教の歴史的背景を知りたくて本書を読んでみた。
イスラム教の始まりから発展期辺りの様子は大変によく分かった。
教祖が世捨て人だった仏教や、ローマ帝国への犯罪者だったキリスト教と違い、ムハンマドは小なりといえども一族の族長であった。
仏教やキリスト教と違ってイスラム教が政治.経済.風俗.日常生活に細かい規定を設けている理由が分かった気がした。
本書の後半はやや散漫なのが残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレポイント①ムハンマドは、宗教と社会の統合をめざした。あるいは、すべての面において宗教に立脚する社会をめざした、と言いかえてもよい。しかし、そのことは同時に、社会のすべての領域にムハンマドの指導を及ぼすため、「宗教」の内実が他の多くの地域で言う「宗教」とは非常に異なるものとなる結果をもたらした。
ポイント②ジハードとはもともと、自己の心の悪と戦い、また社会的公正を樹立するために奮闘努力することを意味し、その原理は戦争の論理ではない。ジハードを分類すれば、心の悪と戦う「内面のジハード」、社会的な善行を行い、公正の樹立のために努力する「社会的ジハード」、そして「剣のジハード」に区分することができる。