牧野千穂のレビュー一覧
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ミサイル攻撃がなくても、地震国に暮らしている以上、常に危機にはさらされているはずなのだけれど、どこか他人事のように感じている(そうでなければ生きていけないとも思うけれど)。
「我々がやってきたことの報いだな…歴史にも学ばず、警告にも耳を貸さず、現実に起きていることに目を閉ざしてきた、その結末ということか」
"この世にはまだ―よりよいことを選択しながら生きて行く可能性が残されている"
「―結局、我々は『よりよいこと』を選択せずに、ここまで来てしまったのだ。」
地震のような不可避のことはともかく、戦争のような人的なことで世界が滅ぶことのないように、と改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ船と海に魅了された男たちと、世界情勢。
ヨットレース出場に向けてそれぞれが日程を調整しながら、日々準備を進めていく6人。
自営業の村雲、最年長の相原、公務員の三好、研究者の諸橋、IT企業の研人、ヨットニートの洋平。
それぞれの家族と共に、思い出深いヨットレースになるはずだった離島で知ったのは、
突然おきた核兵器による攻撃で壊滅的被害を受けた日本、
混乱する世界と途切れる情報。
大好きな船と海と、希望を抱えて本土に向かう決意。
まさか核攻撃受けちゃうとは、平凡なヨットレースの話だと思ってたら、あらまあ。
危機感の薄い平和ボケしている身としては、
最後があまりにも唐突に感じたけど、未来は誰にもなんとも、ね。 -
Posted by ブクログ
紹介で「デストピア小説」と聞いていたので、分かった上で読み進める。へー、こういうのをデストピア小説というのか。
風景描写が丁寧で、登場人物の海とヨットへの愛が良く分かる。一人ひとりは、感情移入するほど描かれているわけでもないが、魅力的に書かれており良いチームだな、と思わせる。村雲と女性(名前忘れた)については綺麗過ぎるというかできすぎてるというか、そんな二人なかなかいないでしょう、というかで、なんだか現実味もなく小説の中でのおさまりも悪いのでは?と思ったのは私が意地悪いのでしょうか笑。
最近書かれた小説だからか、今の日本の状況に合っていてあり得ない事ではない、という点でも興味持って読める。テンポも良く、登場人物の会話も楽しく、たまにこういう本もいいな、と思った。 -
Posted by ブクログ
男と女、そして一匹の猫の、悲しくも心温まるお話しです。
お見合いをして、互いに一目惚れ、心惹かれあい、すぐに結婚した二人。どちらにも離婚歴があり、とくに夫の方は、孤児として育った、不幸な生立ちをもつ日系アメリカ人です。いまは弁護士として、それなりに豊かな暮らしをしていますが、胸の中には誰にも埋められない空洞があります。また、妻は事情があって、子供を産むことができません。これまで生きてきて、けっして無傷ではいられなかった二人でした。
新婚早々アメリカで暮らし始めた二人は、猫を飼い始めます。ペットショップで手に入れたのではなく、捨て猫を保護する施設から貰い受けてきた仔猫でした。運よく新しい飼い主が決まった猫は良いですが、そうでない猫は、一定期間保護された後処分されてしまいます。物語の中では、常に男女の考え方の違い、アメリカ人と日本人の考え方の違いが対比されます。互いに愛し合い、支えあいながら生きる二人にとって、猫は掛け替えのない存在でした。けれど、二人は言葉にはしないまでも、仔猫を飼い始めた当初から、いつかこの愛しい存在と別れなければならない日が必ずやって来ることを、常に心のどこかで意識していました。このあたりのことは、ペットを飼ったことのある人には、よ~く理解できることだと思います。
これは単なるペットロスのお話ではありません。幸せは分かちあえばさらに大きなものになりますが、悲しみはそうではありません。悲しみは分かちあい、理解しあえるものではないのです。それは、それぞれが抱え込み、背負わなければならない個人の問題だからです。愛とは何か?結婚とは何か?理解とは?ペットと暮らすとはどういうことか?ということを、深~く考えさせられる一冊でした。