辺見庸のレビュー一覧

  • 反逆する風景

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    長らく読みさしていたものを、ようやく気分が乗ってきて読み終えることができた。筆者の場合は世界を見て回りながらの経験だが、私にも時々、見慣れたはずの光景が、出来事の中で全く違った意味を持って反逆してくるように感じることがある。そういうのを捕まえるには晴耕雨読か昼耕夜読か知らないけれど、たくさん読んで、たくさん自分の身体で経験して生きること。考えたことを文字にすること。その他特記事項としては石巻高校→早大卒っていう経歴が「あぁいかにもそんな感じね」って妙に納得してしまうバンカラさを漂わす本でしたw

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    2016年09月30日
  • 自動起床装置

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    よく、小説では、人間的根源の要素をテーマにする、といった事が多いが、その大概は、性欲であったり、広大な煩悩に対する欲望に焦点が当てられており、他が蔑ろにされている気がしていた。その点では、表題作は、人間の三大欲求に分類される、「睡眠」という分野の荒野をただ突き詰めた、という斬新さを得た。まだ未読だが、作者は他にも「食」について注目した、「もの食う人びと」という作品もあり、いずれ読んでみようと思う。
    さて、本書についての感想だが、現代社会の睡眠に対する意識の低さというのが、注目されるべきだと主張だと思われたのだが、私生活を覗いて見ると、社会人であれば、時間に余裕が無い場合、その余裕をどこから作り

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    2015年11月05日
  • 反逆する風景

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    ネタバレ

    出だしの表題作は良かったが、ほとんど駄文が多い。
    再読したくない。

    複数の週刊誌に書いているせいか、似たようなネタを使い回しているのも散見される。
    話題になった『もの食う人々』の裏バージョンというべきで、あちらは新聞記者として肩の凝った書き方にしてあるが、こちらは週刊誌だからだろうか、かなり下策というか下世話な話が多い。

    エッセイを買う時に、どこで発表されたのかを参考にせねばならないと勉強させられた一冊。いまさらだが。

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    2014年05月10日
  • 自動起床装置

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    併録されている「迷い旅」という作品に心を動かされた。
    味気ないスルメが結論めいた味という表現。
    グッドスメル。

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    2013年12月20日
  • 自動起床装置

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    ネタバレ

    通信社で『起こし屋』として働く主人公と、聡。
    仕事柄ある時間に起きなくてはいけない人々を、眠りを妨げることなく快適な目覚めと共に覚醒の世界に呼び戻すアルバイトに従事する2人。
    眠りということに並々ならぬ哲学を持つ聡。その哲学に頷きながらも、どこか適当で迎合的なところがある主人公。
    聡の並々ならぬ起こし技術と眠りへの哲学に影響されて、主人公と、もちろん聡は「起こし屋」としてのプライドを持ち、淡々と、しかし確実に仕事をこなしていく。
    しかし、「自動起床装置」と呼ばれる定刻にゴム袋が膨らんだりしぼんだりすることで寝ている人を自動的に起こす装置の導入により、ささやかな抵抗を試みるも2人は起こし屋として

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    2013年05月25日
  • 反逆する風景

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    作家のオリジナリティはどのように主張するのか。題材の選択、筆致に加えて、事件に遭遇する”ツキ”もあるか。”事実とは、限りなく無意味に近い”という言葉を換言すると、世の事象は各自がてんでバラバラに存在し、統一的な意思を欠くという事だろう。実存主義、だったか。

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    2013年08月02日
  • 反逆する風景

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    ネタバレ

    共同通信の記者でもある著者の体験、感情、ジャーナリズムに対する考えが垣間見える一冊。

    記者だけあって、文章の書き方は流石に巧い。また、論理的な志向分析みたいな個所もあり、読みがいがある。やはり自身の体験に基づく情景、心情描写が圧巻だった。特に死にゆく2人の女性の顔なんかは印象深い。

    いい文章を読んだという気になった。

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    2010年12月11日
  • 反逆する風景

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    風景が言葉を決めることってありますよね?下町での会話と山の頂で語るのとは、まったく言葉が変わります。

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    2010年01月20日
  • 反逆する風景

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    この本を(そしてこの方を)ジャーナリズムと定義するには少し文章がくどいかも知れない。
    でも、多分本人でも止められていないんだろう(と推測する)筆力がビシバシ伝わってきって、とても憎めはしない。

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    2009年10月04日