藤原帰一のレビュー一覧

  • 世界の炎上 戦争・独裁・帝国

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    ネタバレ

     朝日新聞の月1回の連載「時事小言」を2020年から2025年2月までをまとめた新書。2025年2月の最新の記事が頭にあり、そこから過去の記事にさかのぼっていく、という体裁になっている。
    驚くべきは2020年のトランプ政権最後の年の藤原先生の分析が、最新の2025年のトランプ政権をそのまま正確に分析していることだ。これは凄い。トランプがその本質において変わっていないこと、藤原先生が2020年の段階でトランプの本質を最初から見抜いていたこと、両方がある。ただ、論文ではなく新聞の記事だから掘り下げた分析、ということはない。それでもこの本を2025年の記事から過去に向かって読み進めることには十分価値

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    2025年05月14日
  • 「正しい戦争」は本当にあるのか

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    面白かった!
    これを読んでしまったら,今までの自らの思考が全て陳腐化してしまって,政治や世界情勢の見え方が変わってしまった気すらするほどの面白さだった.
    聞き手の一人が,我らがロックの達人「渋谷陽一」となれば,それはもう俄然読みすすめる手にも力が入ってしまうというもの.
    右も左も,こういう座標軸で政治をやってくれたら政治ってすごく面白いし,盛り上がるのになぁと思う.

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    2022年07月24日
  • 戦争の条件

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    今年退官の藤原氏の講義録。論点を提示するスタイル(おそらく授業で討論?)。保護する責任と沈黙の陰謀は初耳、人道的介入は戦争回避と矛盾するがそこが課題。

    アメリカと同盟を結ぶ各国の存在から勢力均衡ではなく公共的覇権国の意義を見出すが、筆者はその意義を疑問視。覇権国による恣意的判断には不満が募るが、強制力に疑問符がつく多国間協調よりは実効性があるのではないか。

    民主主義による文民統制が平和を生むという仮説を三浦瑠璃の議論から反論する。民主主義は国際関係よりも国内社会を優先するため両者の調整には外交官が不可欠だと思う。

    権力移行論については両者が合理的行動を取れば覇権戦争は起きない立場をとって

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    2022年03月23日
  • 世界一ポップな国際ニュースの授業

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    東大の藤原教授と石田さんが対談形式で「世界のニュースを『アベンジャーズ』を一本見るくらいの気持ち」でまとめられた一冊。
    帯に書いてある「2時間でゼロからわかる世界情勢」のキャッチコピーに違わぬ素敵な内容だった。
    何より驚いたのはお二人の博識っぷり。学力と違ったインテリジェンスを感じた。
    誤解を恐れずに言えば本当に頭の良い人達ってこういう方達なんだろうな~という感想。
    とても憧れます。

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    2021年02月06日
  • 不安定化する世界 何が終わり、何が変わったのか

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    敬愛する藤原帰一先生のエッセイ集。
    戦争と平和、道に迷った時は先生の著作に戻っています。
    今作は、本当にありがたい一冊.
    ありがとうございます。

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    2020年05月15日
  • 戦争の条件

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    問1:
    A国がB国に軍時侵攻を開始した。
    B国はどうすればよいだろうか。

    この場合の答えは明確。
    反撃。

    問2:
    A国に軍時侵攻されたB国が、第三国Cに派兵を求めてきた。
    C国はどのような行動をとるだろうか。

    問3:
    A国が、A国国民に対して大規模な虐殺を開始した。
    B国はどのような選択をとるだろうか。


    このような問いが提示され、答えを考えながら読み進めていく。

    気持ちがいいぐらいに徹底的に論理的。

    思考力も鍛えられるし、現代国際社会の感覚をなんとなく見えてくる。

    名著だと思いました。

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    2013年09月06日
  • 戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在

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    戦争があったのは事実で、
    その戦争で亡くなった人がいるのも事実。
    人権侵害が行われたこともあったし、
    大量破壊兵器が作られ、使われたこともあった。

    それはいいとして。
    この事実をどう記憶するのか、ということについては、
    時代・地域によって様々だということを、この本は教えてくれる。

    戦争観ほど、相対化されてしかるべきものはないと思う。
    同じ事実を受け止めて、違う捉え方をしていい。
    どのように受け止めたところで、
    所詮は戦争という真理の一側面を、さらに断片的に知ったにすぎないからだ。
    しかし、政治的な動きはそれを許さない。
    特定の戦争観を礎にして共同体を作ることだってあるだろう。
    特定の戦争観

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    2011年08月15日
  • 戦争の条件

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    戦争がどんな場合に起こってしまうのか、それがタイトルと私なりに判断したが、著者は結びで戦争を避けるための条件、それでも戦争に訴えなければいけないときに満たす条件という2つの意味が込めているらしい。とにかく戦争を避けることは絶対条件であるという認識で、いろんなケース事例ごとに、A国、B国、C国と言う呼称を使って読者に考えさせるという本が明らかに米、ロシア、中国、北南朝鮮、イスラエル、イラン、旧ユーゴスラビア各国、その他の国々を想起させる。世界中から専制主義国が消えて民主主義国になれば戦争は無くなるという理想が本当にそうなのか?民衆が戦争を望んでいる場面がある!(かつての日本そして…)という残念な

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    2025年09月23日
  • 「正しい戦争」は本当にあるのか

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    国際政治学における「正戦論」「現実主義」の違いと歴史的な変遷を説明するもの。
    「絶対平和主義」と「相対主義」の違いと言い換えてもよいのだと思う。
    正義のために悪を制御するために行われる戦争という、目的のためには手段を選ばぬやり方は、言ってみれば十字軍であって、そこで掲げられる「正義」が相対的なものであるという話。

    これを総論として、各論としてポスト冷戦のあり方、日本の戦後の平和主義、東アジアの状況にまで論が及ぶ。
    日本についていえば、「戦争における加害者であったこと」をコントロールするために憲法9条が作られたということが話題にされる。
    一定以上の年齢の人には自明だし苦い記憶だからあまり語られ

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    2024年03月30日
  • 「正しい戦争」は本当にあるのか

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    まさにこのタイトル通り、「正しい戦争はあるのか」「喧嘩は許されないのになぜ戦争は許されるのか」というようなことを考えたい人には、うってつけの本である。

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    2022年12月24日
  • 「正しい戦争」は本当にあるのか

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    藤原 帰一さんは、日本の政治学者で、専門は国際政治学・比較政治学。朝日新聞夕刊に月一で「時事小言」が連載されており、以前から鋭い視点で国際情勢を捉えている方だなと思っていたが、その藤原さんの書籍で、しかもタイトルが『「正しい戦争」は本当にあるのか』と、今般ロシアがウクライナに侵攻・侵略している時勢にマッチしていることから、興味が湧き手にした。
    どの戦争が誤りで、どの戦争が必要なのか?正しい戦争は本当にあるのか?は、非常に難しい問いだ。明確な回答は示されてはいないが、我々がどう考えるべきかを、歴史の中における成功や失敗の事例を挙げながら、より平和な国であるべき方向に導いてくれる書だと感じた。

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    2022年06月16日
  • 世界一ポップな国際ニュースの授業

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    すらすら読めた。戦争なんて起きないだろうと考えて生きてきたけど、よく考えると大戦は意外とこないだの話。世界が平和であることをただただ願う。

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    2021年10月04日
  • 戦争の条件

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    「A国に軍事侵攻されたB国が、第三国Cに派兵を求めてきた。C国はどのような行動をとるだろうか」という様に、固有名詞を避けた問いかけを軸にして国際政治について考えてゆく一冊。
    様々な考え方を披露するものの、結論があるわけではなく、「まさに現代国際政治のジレンマそのもののなかに読者を放置したまま、この章を終えることとしたい」などと突き放してしまう。読んでいる途中は、正直言って疑問を感じていたが、「結び」を読んだ瞬間、著者のこの突き放しの意図がわかってスッと落ち、星の数もひとつ増えた。曰く「教育問題と並んで、国際問題は素人の発言が専門家と横並びにされる領域である。…(中略)…国際問題について行われる

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    2018年11月18日
  • 戦争の条件

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    具体的な国名を出さず、ある程度抽象的な議論を提示させて、国際紛争について考えさせる本。自分の頭で考えるという点でなかなか画期的な本だと思う。高校あたりの政治経済で、こういう本で勉強しても良いのではないだろうか?後半の、ユーゴの詳細な記載は、ボスニア問題を考える上で非常に参考になるだけでなく、民族自決ということの意味を考えるきっかけとなる非常に良い題材と思った。民族自決を唱えたウィルソンが、民族とは言っていなかったというところが興味深く、また自分の意見とも一致していると思えたのが興味深かった。

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    2018年11月12日
  • これは映画だ!

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    "国際政治学者の映画エッセイ。あとがきにあるが、映画をみる合間で、仕事をしていると言いきっている。確かに半端ない本数のエッセイだ。
    見習わなくては・・"

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    2018年10月23日
  • 戦争の条件

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    国際経済学の入門書。答えでない問を通して国際関係について考えるという手法を取っており、いろいろ考えることのきっかけになった。

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    2018年10月07日
  • 戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在

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    2001年出版の本だが、北朝鮮のミサイルの脅威の中で
    暮らす今に響くことが多い。

    戦後の歴史論争は今も続いている。

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    2018年02月14日
  • これは映画だ!

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    ネタバレ

    映画の知識の多さ、観点の鋭さ。
    映画にたいするフラットな興味(宣伝などではなく)、わくわく感が伝わってくる。

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    2016年07月10日
  • 戦争の条件

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     著者は国際政治学を専門とする東大教授である。本書は、A国やB国などさまざまな仮定の状況を設定し、どのような対応が起こるかを考察するという形式を繰り返して、国際政治の初歩を考える、という書である。本書を自ら読もうとする人ならば、専門家でなくてもすんなり理解できるような内容であり、そんなに難解な内容ではない。
     最近のマスコミや識者の論調には、自論に合った現実を提示し自説の正しさを強調するものが多く見られるが、その一方、反対者も同様なので議論は深まることなく互いに罵るだけ、という見苦しい状況にあるように感じているが、そのような不毛で本質に遠い論議にさらされている人やうんざりしている人にこそ、国際

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    2015年10月04日
  • 戦争の条件

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    具体性をそぎ落として、即ちなるべく主観やイメージが入り込まないように、問いが提示される。自分がこれまでメディアや教科書を通じて得た知識の枠の中でしか考えることができなかった国際問題が国際政治学上の問いに抽象化されていくのがおもしろかった。

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    2015年04月05日