ジョアン・マグレッタのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世の中にはマーケティング手法、考え方が溢れ、洪水が起きている。そんな中、ポーターは「独自性を持ち、他社(者)とは違ったポジションを取りなさい」と勧める。
かの有名な孔子の言葉で「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。」という名言がある。
まさにこれを体現しているのが、ポーターの競争戦略である。
本書の最後らへんのインタビューの部分で「戦略を定めるからには、対象とする顧客とニーズを定めなくてはならない。それ以外の顧客のニーズについては、期待に添えないという現実を受け入れなければならない。それは、実にいいことなのだ。」とポーターが言っていた。
本書を短く要約するなら、これに尽きると感じた。
以下、競争戦略の具体的な内容。
①最高を目指す競争は価格競争に陥り、競走の収斂という結末が待っている。
②利益を生まない規模拡大(シェア率拡大)は無意味
③競争優位はライバルを打ち負かすためでなく、独自の価値を顧客に提供するためにある
④特別に調整されたバリューチェーンがなければ、それはただの業務改善である
⑤あらゆる顧客を満足させようとしない。一部の顧客が不満足を感じる戦略が、優れた戦略である
⑥トレードオフによって、組織がやらないことをハッキリと誇示する
⑦コアコンピタンスは1つの要因だけではなく、多くの要因が相互補完していることで成り立つ -
Posted by ブクログ
マイケル・ポーター、久しぶりである。
ポーターは、戦略というか、経営について考えるときに、知っていなければ、話しにならないのだけど、なんか理屈ぽい、というか、市場をいろいろ分析して、知的に自分のポジション、戦略を設定する、という合理主義的・客観主義なフレームの人という印象であった。で、現場力というより、知的なトップによるトップダウン経営というイメージ。
戦略論的には、ポーターより、コアコンピタンスとか、リソース・ベースト・ビューみたいな内部的な「強み」に注目するアプローチのほうが、好きだし、ミンツバーグ的なやっているうちにできてしまう、という創発的な考え方により共感している。
というある種のネガティブイメージをもちつつ、頭の整理のために、コンパクトにまとまっていそうな本書を読んでみた。この本の著者は、ポーターではなくて、近年、一緒に活動することが多いジョアン・マグレッタによるもの。最近のポーターの考え方もアップデートして、ポーターの主要な概念を解説している。
書いてあることは、一応、どこかで読んだ(主に、HBRの論文)ことなんだけど、こうして、ポーターのいっていることを、全体としてまとめると、「そうだったのか!そこがそうつながるのか!」とかなり目から鱗が落ちる感覚があった。
で、ポーターの言っていることと、自分が考えているというか、大事だと考えていることに大きな違いがないことが分かって、驚いた。これまで、食わず嫌いだったことを反省した。
主に共感したところは、
・要するに戦略とはナンバーワンになることでなく、オンリーワンになることである。自社にしかできない価値をお客様に継続的に提供すること
・5フォースとかの環境分析をなんか考えて、うまいポジションを見つければいい、というようなものではなく、一つの正解があるわけではないんだから、経営層がしっかり議論して合意するしかない
・戦略を決めるのに、未来の予測は必要なく、こういう方向に変って行くとか、こういう顧客のニーズが増えて行くという方向感があれば、十分で、それに向かって一種の賭けとして、戦略を決める
・で、議論をつくしたうえで、役員で合意する。そして、その戦略に納得しない役員はやめていただく
・戦略を決めたら、顧客への提供価値を他に模倣されないようなヴァリューチェーンをつくっていく
・戦略は、何をするか、というより何をしないか、ということで、トレードオフが存在する。そうした選択にもとづいて、たくさんの他の会社にできないような選択をヴァリュー・チェインのなかに組み込むこむ。具体的には、様々な活動を一つの戦略に埋め込んで行く
・一旦、戦略を決めたら、ある程度の期間、それを継続して、同じことを何度も何度も言い続けて、従業員に浸透させていく
・といっても、業界全体の効率性の追求というところで、他社に遅れてはいけない。トレードオフの選択に関係のない業務の効率化は徹底すべき
・戦略はむしろオープンにしたほうがいい。外部に対して、こういうポジションで、ここに集中すること、徹底することを宣言すれば、他社がそこに入っていこうという意志を削ぐことができる
・長期に継続的に戦略を維持することは、時代の変化、破壊的なイノベーションに遅れを取るという意見もあるが、本当に本質的な環境変化はあまりなく、戦略を明確にしたほうが、顧客価値をどうしたら変化のなかで維持するか、ということに絞って取り組む。このことによって、逆説的ではあるが、変化への対応力が高くなる
という感じ。
そんなことだったんだ。
と納得するとともに、「まあ、そういうことであれば、とくに異論はありません」というか、「RBVのバーニーとの論争って、結局、なんだったんですか?」とか、「本当に最初からそう思っていたんですか?」「年とって丸くなったんじゃないですか?」、みたいな気持ちになりました。
よくまとまった本だと思います。ポーターを読もうと思う人は、これから始めるといいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ基本的なフレームワークである5Fを学ぶために。
オリジナルは、高価である上に、読みにくそうだったので。
こちらを手に取った。まとまっていて読みやすく、全体感を把握するためには良かった。
とはいえ、これの使い方をマスターするにはこれでは不十分。もっとケースを知り、考えていく必要はある。
これを読みながら、「ブルーオーシャン戦略」や「ストーリーとしての競争戦略」をほうふつとする部分が出てきて、
やはり、古典を読むことの重要性を感じた
最高を目指して競争してはいけない。
平均的な人の最高の商品は、万人にとってのベストではない。無駄な機能が搭載されているということになる。
競争の収斂、皆が同じところを目指して争えば、最終的に商品が差別化できずに、価格競争になり、利益が出ない。
他者に勝つとことではなくて、利益を上げることが目的。独自性をp目指す。
5つの競争要因
・市場の強豪との競争
・買い手の交渉力
・サプライヤーの交渉力
・代替品の脅威
・新規参入障壁
境界によって、利益構造は決まっていて、
それは硬直的である。
状況を分析するだけでなく、それが、今後どのように変化していくのか?を予想して、競争戦略に反映させることが大事
(とても大変そうだ)
競争優位
・高い価格を出してもよいと思わせる価値を提供できる
・想定的に低い価格で売り出せるコスト構造を作れるか?
そのどちらかしかない。
戦略とは、他社と異なる道筋をとること
・特徴ある価値提案
・特別に調整されたバリューチェーン
・トレードオフ
・適合性
・継続性
やらないことを決める。ことで、特定のお客様にとって必要な価値提案の質を高めることができる。
トレードオフによって得られたコスト減ををもとに、価値強化に割り振る。
バリューチェーン全体を通じて、その価値提案の向上につなげる。一貫して。全体の適合性が上がることで、
さらにそれぞれの要素の価値が引き上げられる。
一つの要素だけで差別化した場合にはそれを模倣することは容易であるかもしれないが、複数の要素のつながりで差別化できる場合にはそれを模倣することは難しい。
継続することで、自社内にノウハウがたまること、ブランド力の向上などでの優位性ができるほかに、関連会社もその方向性を理解することで、競争優位に貢献できるようになる。
この辺りは、「ブルーオーシャン戦略」「ストーリーとしての競争戦略」をほうふつとさせる。
5Fは、あくまで、ポーターの理論の一部でしかなく、
さらにバリューチェーンの考え方も今となっては、
当たり前だが、それを提唱したのもポーターである
。